説得力ある話し方とは 相手を納得させる人の特徴とトレーニング方法
説得力のある話し方は、ビジネスにおける重要なスキルです。特に経営者・管理職者は、社内外問わずさまざまな場面で、聞き手に納得してもらえる話をすることが求められます。この記事では、説得力がある話とはどのようなものか、そして説得力を手に入れるためにはどのようなトレーニングをしたらよいかを紹介します。
説得力のある話し方は、ビジネスにおける重要なスキルです。特に経営者・管理職者は、社内外問わずさまざまな場面で、聞き手に納得してもらえる話をすることが求められます。この記事では、説得力がある話とはどのようなものか、そして説得力を手に入れるためにはどのようなトレーニングをしたらよいかを紹介します。
目次
ビジネスシーンにおいて説得力が重要な理由は、一言で表すならば、自社のビジネスを発展させるために必要だからといえます。
そもそも説得力とは「会話や文章などで、相手を納得させたり受け入れさせたりする力」のことです(参照:デジタル大辞泉)。これをビジネスシーンに置き換えると、「相手に分かってもらい、納得してもらい、決断・行動してもらうための伝える力」と言えるでしょう。
この力が求められる場面は多々あります。お客様へのプレゼンテーションが、その一つです。プレゼンテーションとは自社の商品・サービス等の魅力を伝え、購入や契約を提案することですが、その際、相手に「この商品を使ってみよう」と思ってもらえる伝え方をする必要があります。
または、チーム内のコミュニケーション。部署内での決定事項、行動指針などを伝える場面においても、チームメンバーが納得し、業務遂行のモチベーションが高まるような伝え方が欠かせません。会議を開くときも、説得力ある話ができると、自分の意見が採用される可能性が高まるでしょう。
役員・経営者であれば、資金調達における投資家との交渉場面においても説得力が求められます。自社のビジョンや事業計画を分かりやすく伝えるだけでなく、説得力があると、相手の決断を後押しできます。
このように、自社のビジネスを、周囲の協力も得ながら力強く推し進めるためには、説得力が欠かせないと言えます。
説得力を感じる人は、聞き手の信頼感を高める話の内容や堂々とした話し方、立ち居振る舞いなど、さまざまな点に特徴があります。その特徴を挙げていきます。
説得力がある人の特徴 |
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・実績や実力があり、それを人に伝えている ・自信を持ち、堂々と話している ・伝えたいことに対する理由や根拠が明確である ・話す前によく聞き、情報収集している |
話に説得力がある人は、仕事でなんらかの成果を出していたり、実力が伴っていたりすることが多いものです。
例えば、皆さんの会社で「部下のやる気を引き出すコミュニケーション術」という研修が開かれるとします。その講師が大人気で、3年間で100社以上からオファーを受けて研修を行っているとしたら、講師が話す内容に説得力が出てきそうだと思いませんか。
話者の実績があれば、「この人の話は信頼できそうだ」と感じたり「このような実績を持っている〇〇さんの話には説得力がある」と思われたりしやすいのです。
哲学者のアリストテレスは「弁論術」のなかで、言論を通して得られる説得には三つの種類があると述べています。その三つとは、エトス(信頼)、パトス(感情)、ロゴス(論理)です。このうちエトスとは、人に対する信頼のことです。
説得力のある話とは、聴き手の感情に訴えかけ、論理的であるだけでなく、話者自身が信頼に値する人かどうかも関わってくると言えるでしょう。何を話すか、と同時に「誰が話すか」も、説得力においては欠かせない要素なのです(参照:「弁論術」p.32,p.410丨アリストテレス、戸塚七郎訳)。
ここで一つの鍵となるのが、実績を「言葉にして伝える」ということです。どんなに素晴らしい経験を重ねてきても、それを隠していては人に伝わることはありません。
「言わなくても分かる」「背中で語る」といった考え方もありますが、特に初対面の相手や関係が深くない相手には、やはり言葉で伝えていくことが重要です。説得力ある人は、そういった意味での自己開示を丁寧に行い、聞き手の信頼を獲得しています。
説得力がある人は、自分の伝えたいことに自信を持っています。そして、それが話すときの声や姿勢、表情、目線、間の取り方などに表れています。
基本的なことですが、声が聞き取りやすい、姿勢が良い、表情が明るい(話題にもよりますが)、目が泳ぎすぎず聞き手を見ている、といったことができている人は、自信があるように見えます。それにより、言葉にも説得力が出やすいのです。
自信がなぜ説得力につながるのか。それは、話者が心から信じていること、確信していることを伝えているからだと筆者は考えています。では、何をすると自分の意見や主張に確信を持てるようになるか。その答えは複数あるはずですが、一つは入念な準備です。これについては後述します。
また、自信があるように見える人、堂々と話す人は、間の取り方も堂々としています。間を恐れていない、という印象は、自信を持って話しているように見えます。
説得力のある話をする人は、伝えたいこと(意見、主張)を裏付ける理由や根拠を分かりやすく、詳しく伝えています。そして、それらを示す具体例を盛り込むことも上手です。
アンケートや調査結果、著名人の名言の引用をしたり、ときに自分のエピソードも交えたりしながら、聞き手が深く頷くような理由・根拠を伝えています。
「説得力ある話」と一言で言っても、聞き手によって、心に届く言葉は異なります。説得力ある人はそのことを理解し、相手が求めているものを把握するなど情報を集めたうえで、目の前の人に合わせた伝え方をしています。
ここからは、説得力のある話し方のポイントを紹介していきます。「何を話すか」「どう話すか」それぞれの視点から解説していきます。
説得力のある話し方 4つのポイント |
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・自己紹介を丁寧に行う ・準備を入念に行う ・「思います」を減らす ・間を取りながら話す |
説得力がある人の特徴として「実績を伝えていること」を挙げた通り、これまでの経験について話すことは、自分への信頼を高める要素になり得ます。ですので、自分の経歴は丁寧に伝えてください。それが話者の信頼感に、ひいては話の内容の説得力にもつながります。
「聞き手は、自分には興味が無いはずだ。だから自己紹介は短く済ませよう」「自分のことを話すと、自慢しているように聞こえるかもしれない」と思う人もいるかもしれません。
しかし、丁寧な自己紹介=単なる自己主張ではなく“聞き手のためである”と捉え、これまでの活動や、仕事に置いて出した成果、受賞歴など、自分のことはためらわずに伝えていってください。
説得力ある話は、伝えたいことに対する理由や根拠が明確な話であること、具体例が上手く盛り込まれていることを先述しました。そのような話をするためには、話す前の準備に時間をかけることが欠かせません。
例えば、理由や根拠になり得る情報を集めたり、具体例となるエピソードを思い出して言語化したりすると良いでしょう。
プレゼンテーションなど商品・サービスの魅力を伝える場面では、アンケートやインタビューを行い、ユーザーの声を多く集めるのも効果的です。「満足度98%」や「当社のサービスを5年間利用してくださっている〇〇様によると…(以下、〇〇様の感想」といった第三者の声があると、話の説得力が高まります。
人前で話すときに使いがちな「~だと思います」。もちろん、使ってはいけない言葉ではありません。しかし、「思います」と言わなくても良いところでは「~です・ます」と言い切るようにすると、自分の伝えたいことに自信を持っているように見え、堂々とした印象を与え、それが説得力ある話し方につながることがあります。
ちなみに「~という風に思っております」の「という風に」も、人前で話すときに使いがちな表現ですが、こちらも、言わなくても伝わります。このように、なんとなく言ってしまっているけれど、実は言わなくても問題ない表現を使ってしまうことはよくあります。そして、そういった表現を減らすことで、伝えたい言葉が目立つようになります。
「話し方を学ぶことは、非常に大事だ、という風に思っております」より「話し方を学ぶことは非常に大事です」のほうが、自信を持って言いきっているような感じがしませんか。小さな意識ではありますが、こういったところで話の説得力がより高まることもあるのです。
伝えたいことの前後など、ここぞという場で間を取りながら話すと、説得力が出やすくなります。その理由はいくつかあります。一つ目は、大事な言葉の前後で間を取ると、聞き手がその言葉により注目し、印象に残りやすくなるからです。聞き手の注意を引いたあとで伝えると、言葉の伝わり方が変わります。それにより、説得力が出てきます。
二つ目の理由は、先述もしましたが、間を取りながら話す人は堂々とした印象を与えやすいからです。間を恐れず、むしろ大切にしながら話す。そのことによって、人前でも落ち着いて堂々と話している人だと思われやすくなります。そして、その思いが、話の説得力を生み出すことがあります。
説得力のある話し方を習得するために、以下の点を意識しましょう。
説得力のある話し方を習得するトレーニング方法 |
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・説得力のある人の話を研究する ・普段から「PREP法」で話す ・自分の話し方を録画する ・実績を言語化しておく |
説得力があると思う人の話を研究してみてください。職場の上司など身近な人でも良いですし、Youtubeや音声配信をしている人の話し方に注目するのも良いでしょう。前者は、直接「話し方のコツ」を聞けるチャンスがあると思います。後者の動画や音声コンテンツは、繰り返し見たり聞いたりできるので、深く研究しやすいのがメリットです。
その際、「なぜ説得力があると感じたのか」を考えてみてください。声、話すスピード、表情、目線、抑揚など、話者の表現を注意深く見てみましょう。話の構成や言葉の選び方も見てみるのも有効です。そして、どうして説得力を感じるのかを自分なりに深掘りして言語化すると、自分でも真似をしやすくなります。
そして、もし動画や音声を通して学ぶなら、できれば一つのコンテンツを繰り返し視聴してください。同じ人の違う動画ではなく、同じ人の同じ動画を何度も見る、ということです。なぜなら、同じコンテンツを繰り返し見ることで、1回目や2回目の視聴では気づけなかった点に気付けるからです。
PREP法という話の型をご存じでしょうか。これはPoint、Reason、Example、Pointという単語の頭文字をとったものです。結論(自分の意見、主張)→ 理由 → 具体例 → 結論の流れで話すと説得力が出ると言われており、プレゼンテーション等において推奨されるフレームワークです。
これまでに述べたように、説得力ある話は理由と根拠が明確であり、それらを裏付ける具体例も盛り込まれた話です。PREP法には、結論に対する理由・具体例が盛り込まれています。理由や会議での意見発表をはじめ、普段からこのフレームワークを用いて、伝えたいことに対する理由を述べる習慣をつけておくと、ここぞという場面でも説得力ある話をしやすくなります。
自分が話している様子を録画して見てみてください。録画が難しければ録音でも良いですが、話すときの目線や表情も確認できると、より多くの発見があるでしょう。そして、説得力ある話し方に近づくために必要なことは何かを見つけてみてください。
「トレーニング」という言葉で表すことではないかもしれませんが、自分のこれまでの経験、残してきた結果などは、いつでも伝えられるようにしてくと良いでしょう。一度、時間を取って、過去のことをじっくり思い出してみてください。
時間が経つと、自分の経験を忘れてしまったり、曖昧にしか覚えていなかったりするものです。ですが、数字や固有名詞を用いながら伝えられる話は説得力が増すため、なんとなくではなく、具体的に、正確に思い出すことをおすすめします。
話し方について解説しましたが、やはり説得力のある話は、理由や根拠を明確にする、自己紹介を丁寧に行うなど、話す前に入念な準備を行うことで作られるように思います。そして「これだけの準備をした」という実感が自信につながり、その自信が堂々とした話し方に繋がることもあります。
まずは、時間をかけて準備をしてみてください。そのうえで、記事の中で紹介したトレーニング方法や、具体的な話し方を取り入れていただけたら幸いです。
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