労働安全衛生規則、2025年4月から改正 一人親方にも危険個所で保護義務
厚生労働省によると、労働安全衛生規則等の一部が2025年4月に改正され、作業を請け負わせる一人親方等や、同じ場所で作業を行う労働者以外の人に対しても、労働者と同等の保護が図られるよう、必要な措置を実施することが事業者に義務付けられます。事業者がどのような義務を負うことになるのかを整理しました。
厚生労働省によると、労働安全衛生規則等の一部が2025年4月に改正され、作業を請け負わせる一人親方等や、同じ場所で作業を行う労働者以外の人に対しても、労働者と同等の保護が図られるよう、必要な措置を実施することが事業者に義務付けられます。事業者がどのような義務を負うことになるのかを整理しました。
厚生労働省の公式サイトによると、2025年4月からの労働安全衛生法にもとづく労働安全衛生規則・ボイラー及び圧力容器安全規則・クレーン等安全規則・ゴンドラ安全規則を改正する省令のポイントは、大きく分けて2つあります。
危険箇所等で作業をする場合、事業者は、一人親方や他社の労働者、資材搬入業者、警備員など同じ作業場所にいる労働者以外の人にも以下の対応をすることが義務付けられます。
立入禁止とする危険箇所等で、例外的に作業を行わせるために労働者に保護具等を使用させる義務がある場合は、一人親方、下請業者などの請負人にも保護具等を使用する必要がある旨を周知することが義務付けられます。
立ち入り禁止以外の場面でも、以下の場面では、保護具等の使用が必要である旨や、特定の作業手順、作業方法によらなければならない旨を周知することが推奨されます。
労働安全衛生規則等で定められている周知は以下の通りです。周知内容が複雑な場合は、1.~3.の方法を選んでください。
多重請負の場合、退避や立入禁止等の義務が複数の事業者に課されているときは、立入禁止の表示や掲示を事業者ごとに複数行う必要はなく、元方事業者がまとめて実施するなど、共同で表示や掲示を行っても差し支えないと定められています。
ただし、周知義務については、個々の事業者が請負契約の相手方に対して措置すべきものです。たとえば、三次下請まで作業に従事する場合は、一次下請は二次下請に対する義務を負い、三次下請に対する義務はありません。二次下請が三次下請に対する義務を負います。
このほか、事業者が作業の全部を請負人に請け負わせるときは、事業者は単なる注文者の立場にあたるため、この作業は事業者としての措置義務の対象となりません。
これまで、労働安全衛生法は、「職場における労働者の安全と健康を確保する」ことを第一の目的としてきました。
しかし、2021年5月に出された「建設アスベスト訴訟」の最高裁判決では、労働安全衛生法上の「労働者」に限らず、個人事業主の「一人親方」らについても、「人体への危険は(法的な)労働者か否かで変わらない」などとして国の責任を認め、石綿のばく露により健康被害を受けた作業員やその家族が国に賠償を求めました。
これを受けて2023年4月には、危険有害作業を請け負わせる一人親方等や、同じ場所で作業を行う労働者以外の人に対しても、労働者と同等の保護が図られるよう、労働安全衛生法第22条に規定する健康障害を防止するための措置を実施することが事業者に義務付けられていました。
さらに、危険箇所での作業の一部を請け負わせる一人親方等や、同じ場所で作業を行う労働者以外の人に対しても、労働者と同等の保護が図られるよう、退避や危険箇所への立入禁止等の措置を実施することが事業者に義務付けられたのが今回の改正内容となります。
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