目次

  1. サンドウィッチマンが人気に火
  2. 震災翌年、突然の社長就任
  3. コンビニスイーツ台頭で経営改革
  4. 「呪術廻戦」で売り上げが急伸
  5. SNSやコラボも社員主導で
  6. 大型施設でつくりだしたにぎわい
  7. 工場建設も関東進出も動き出す

 お茶の井ヶ田のルーツは、1920(大正9)年、仙台市で開業した繁田園(1815年に創業した日本茶専門店)の分店です。1935年から初売りで豪華な景品としての茶箱の提供を始め、今も仙台名物となっています。1948年、井ヶ田茶舗に改組し、1967年には製茶工場を立ち上げ、翌年には井ヶ田製茶に社名変更しました。

創業当時の「繁田園分店」(お茶の井ヶ田提供)
創業当時の「繁田園分店」(お茶の井ヶ田提供)

 1977年、井ヶ田製茶の子会社として「お茶の井ヶ田」を設立し、製造と販売を分けました。現在はお茶のほか、菓子や雑貨、農産物などを扱い、仙台市内を中心に約50店舗を構えます。年商は約60億円、従業員数は約600人です。

 今でこそ菓子販売が売り上げの4分の3を占めますが、創業から70年ほどはお茶の製造一筋でした。茶葉の酸化を防ぐため、製茶工場と保管用の冷蔵庫を設置し、現在も高品質なお茶づくりにこだわっています。

 1993年に店頭で抹茶ソフトクリームの販売を始め、その後「喜久福」やどら焼きの「どら茶ん」などの人気スイーツを次々と開発。1996年には郊外型の直営店「喜久水庵」を開業しました。

喜久水庵1号店のオープン直後(お茶の井ヶ田提供)
喜久水庵1号店のオープン直後(お茶の井ヶ田提供)

 長男の井ヶ田さんは、子どものころから初売りを手伝うなど家業に親しんできました。「お茶は体に良いとされ、菓子の取り扱いも始めるとメディアでもたびたび話題になりました。良い商売をしているのだろう、という印象でした」

 出生時の名字は父方の今野姓でしたが、祖父母への養子縁組で屋号と同じ井ヶ田姓になったことも、家業を継ぐ後押しとなりました。

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