メインバンクとは トップは地銀の40%ながら低下 ネット銀行は微増
メインバンクとは、企業が取引している金融機関のなかで最も主要な取引をしているところを指します。低金利・ゼロ金利から「金利のある世界」に移りつつあるなか、帝国データバンクの調査では「地方銀行」のシェアは最も高い40.28%ながら、11年ぶりに前年比より下がりました。代わりに信用金庫とネット銀行が微増しています。
メインバンクとは、企業が取引している金融機関のなかで最も主要な取引をしているところを指します。低金利・ゼロ金利から「金利のある世界」に移りつつあるなか、帝国データバンクの調査では「地方銀行」のシェアは最も高い40.28%ながら、11年ぶりに前年比より下がりました。代わりに信用金庫とネット銀行が微増しています。
内閣府の公式サイトに掲載された「平成8年度年次経済報告」に掲載された通商産業省委託の富士総合研究所の調査によると、メインバンクの要件としてアンケート回答企業数の多くが挙げたのが「外債発行時の保証銀行である」「取引銀行の中で融資量が最大である」「社債発行時の受託先」などです。
年次経済報告は、メインバンクの機能として以下の3つを挙げています。
たとえば、エージェンシー・コストとは、投資家と企業の間にある情報の非対称性のことを指しており、金融機関が借手企業をモニタリングすることで、投資家と企業の間の情報の非対称性を補完していると指摘しています。
ただし、日本経済で長く続いてきたメインバンクシステムも金融自由化や、一部企業の財務強化、日本経済の不確実性の増大、銀行間のサービス提供力の格差などから従来のような形では有効に機能し得なくなっている可能性も否定できないとも報告しています。
こうしたなか、帝国データバンクは2024年、企業が「メインバンク」と認識する金融機関を分析しました。今回で16回目となり、約147万社を収録した企業データベースを活用しました。
業態別でみると、シェアが最も高かったのは「地方銀行」で40.28%でした。全業態で唯一シェア40%以上を維持したものの、2016~2022年にかけて続いたシェア拡大の動きは2023年にストップし、2024年は11年ぶりにシェア低下へと転じたといいます。
それぞれの2024年のシェアは以下の通りです。()内は前年比
地方銀行…40.28%(▲0.24ポイント)
信用金庫…23.60%(+0.01ポイント)
メガバンク…18.86%(▲0.24ポイント)
第二地銀…9.54%(▲0.06ポイント)
信用組合…2.43%(▲0.02ポイント)
ネット銀行…0.28%(0.06ポイント)
「メガバンク」「第二地銀」のシェアは調査を開始した2009年以降で最小となったほか、「信用組合」は2年連続でシェアが低下しています。
一方、信用金庫とネット銀行はわすかながらシェアを拡大しました。
帝国データバンクはネット銀行のシェア拡大に着目しています。
ネット銀行のメインバンクシェアは、調査を開始した2009年から社数で約27倍、2014年からは5.4倍に増えました。
ネット銀行では楽天グループの「楽天銀行」が1368社・シェア0.09%でトップとなり、ソフトバンクグループの「PayPay銀行」、三井住友信託銀行とSBIホールディングスが共同出資する「住信SBIネット銀行」、「GMOあおぞらネット銀行」の上位4行でネット銀全体の約99%を占めました。
たとえば、PayPay銀行は決済手数料や基本利用料の低さを背景に、多額の融資を必要とせず、決済手段として法人口座が必要な零細企業を中心に、ネット銀行の口座開設を進める動きが加速したとみられると指摘しています。
メインバンクだけでなく、サブバンクとして法人口座を開設するなど、ネット銀行を取引行とする中小企業も増えているといい、ネット銀行との取引社数は1.3万社を超えました。
帝国データバンクの分析によれば、2024年10月末時点の全国メインバンク社数トップは「三菱UFJ銀行」となりました。企業数は9万3498社となり、2009年の調査開始以降16年連続のトップでした。
しかし、全国シェアでは6.33%と前年から0.11ポイント下がり、15年連続のシェア縮小となったほか、低下幅は2023年に続き全金融機関で最大でした。
一方、2023年と比べて社数が最も増えたのが「埼玉りそな銀行」です。地方・第二地方銀行では、「北洋銀行」が最多で、「福岡銀行」、「千葉銀行」、「西日本シティ銀行」が続きました。信用金庫では、「京都中央信金」が最多で、「多摩信金」、「大阪シティ信金」が続きました。信用組合では「茨城県信組」が最多でした。
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