目次

  1. ピクトグラムとは オリンピックでも注目
  2. 観光庁が観光事業者向けにピクトグラムを無償配布
  3. ピクトグラム活用時の注意点
    1. 多言語表記との併用
    2. 視認性

 国土交通省の公式サイトによると、ピクトグラムとは、情報や注意を示すための案内記号です。文字の代わりに視覚的な図記号で表現することで、言葉の違いや年齢等による制約を受けにくくなります。

観光・文化・スポーツ施設のピクトグラム
観光・文化・スポーツ施設のピクトグラム(国交省の公式サイトから https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000145.html)

 視力の低下した高齢者や障害者、外国人観光客等も理解が容易な情報提供手法として、日本を含め世界中の公共交通機関、観光施設等で広く掲示されています。

 2021年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、外国人旅行者にもより分かりやすくするため、ピクトグラムに関するJIS規格(日本工業規格)が改正されました。

 このほか、東京オリンピック・パラリンピックでは、競技を表すスポーツピクトグラムにも注目があつまりました。

 日本政府観光局(JNTO)の公式サイトによると、2024年1~11月までの訪日外客数は累計3337万9900人となり、これまでの過去最高だった2019年の年間累計を上回り、過去最多となりました。

 インバウンド需要が高まる一方、文化や習慣の違う訪日旅行者のマナー違反も観光地で課題となっています。

 こうしたなか、観光庁は2024年11月、訪日外国人旅行者をはじめとする観光客に意識してほしいマナー等を7つの行動例で示したポスター·リーフレット(5言語)を作成した「未来のための旅のエチケット」と、禁止する事項(14種類)や推奨する行動(8種類)を図式化したピクトグラムを、補助表記(5言語)と併せ作成した「観光ピクトグラム」を公表しました。

観光客向けピクトグラムの例
観光客向けピクトグラムの例

 観光庁の特設サイトから、無料でダウンロードできます。以下のようなピクトグラムがあります。

  • 自撮り棒の使用を禁止
  • 撮影の際は周りに注意
  • 勝手にえさをやらないで
  • 線路への立入り禁止
  • 私有地への立入り禁止
  • 人の流れを塞がないで
  • 落書き禁止
  • 食べながら歩かないで
  • 歩きスマホ禁止
  • ここから先は滑走禁止
  • 割り込み禁止
  • 荷物を預けて手ぶらで観光しよう
  • リサイクルを心がけよう
  • マイボトルで給水しよう
  • 早朝から観光できます
  • 夜間でも観光できます
  • ここで公共交通に乗り換えよう

 ピクトグラムは非常に便利なツールですが、効果的に活用するためには、以下の点に注意が必要です。

 ピクトグラムだけでは意味が伝わりにくい場合もあるので、必要に応じて多言語表記を併記します。多数の訪日旅行客が集まる東京都の「国内外旅行者のためのわかりやすい案内サイン標準化指針」では、基本は日本語と英語の2言語表記としつつも、観光地の特性に合わせて中国語、韓国語、その他の言語も検討することを勧めています。

 固有名詞(地名、駅名、施設名など)は日本語の読み方を各言語で表現し、普通名詞(設備の名称など)は各言語に翻訳します。

 ピクトグラムは見つけやすい場所に配置するほか、ピクトグラムのサイズや色を適切に調整し、見やすくします。背景色とのコントラストを考慮し、高齢者や色覚異常の方にも分かりやすい配色にします。一方で、周りの景観に配慮する必要もあるため、場所によっては観光庁の茶色版のピクトグラムを活用してください。

 また、案内サインは、年月の経過により、汚損し老朽化する。張り紙や落書き等への配慮も必要であり、清掃や点検・修繕を定期的にする仕組みを整えておきましょう。