目次

  1. 労働者死傷病報告とは
  2. 電子申請義務化の背景と目的
  3. 電子申請の方法
  4. 略図の記入例
  5. 労働者死傷病報告の項目も改正
    1. 事業の種類
    2. 被災者の職種
    3. 傷病名及び傷病部位
    4. 災害発生状況及び原因
    5. 国籍・在留資格
  6. 労働者死傷病報告のほかに電子申請が義務化された報告一覧

 厚生労働省によると、事業者は、以下のような場合に、労働者死傷病報告を労働基準監督署長に提出する必要があります。

  • 労働者が労働災害により死亡し、または休業したとき
  • 労働者が就業中に負傷、窒息または急性中毒により死亡し、または休業したとき
  • 労働者が事業場内またはその附属建設物内で負傷、窒息、急性中毒により死亡、または休業したとき

 労働者死傷病報告を提出しないか、虚偽の報告をした場合は、いわゆる「労災かくし」として、50万円以下の罰金に処されることがあります。

 2025年1月1日からは、原則として電子申請による報告が義務付けられます。厚労省は電子申請で報告することの事業者側のメリットを以下のように説明しています。

労働者死傷病報告の改正
労働者死傷病報告の改正
  • 「帳票入力支援サービス」の活用で作成が簡単になる
  • スマートフォン、パソコンから報告可能となる
  • 労働基準監督署に行く手間・時間を短縮できる
  • 郵送費がかからない

 2025年1月1日以降は電子申請が義務付けられますが、当面の間、電子申請が困難な場合は経過措置として書面による報告も可能です。

 電子申請は、厚生労働省の「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」から進めてください。

 電子申請には、事前にe-GovアカウントまたはGビズIDの取得が必要です。具体的な申請手順は以下の通りです。

労働者死傷病報告を選択
労働者死傷病報告を選択
  1. 厚生労働省の入力支援サービスにアクセス
  2. 「帳票作成メニューへ(電子申請を利用する方はこちら)」からログイン
  3. 「労働者死傷病報告」から死亡及び休業4日以上、または休業4日未満を選択
  4. 画面の指示に従って、各項目を入力
  5. 必要な添付書類をアップロード
  6. 申請内容(入力データ)を出力する
  7. 帳票入力データを保存する
  8. 内容を確認する申請する
帳票入力支援サービスの入力画面の説明
帳票入力支援サービスの入力画面の説明

 入力途中のデータは一時保存することができ、再開時に利用できます。また、入力した内容はPDFで出力し、印刷することも可能です。入力エラーがある場合は、画面上部にエラーメッセージが表示されますので、修正してから申請してください。

労働者死傷病報告の入力(PDFの保存・印刷、帳票入力データの保存・申請)
労働者死傷病報告の入力(PDFの保存・印刷、帳票入力データの保存・申請)
略図の記入例
略図の記入例

 災害現場の写真をそのまま添付すると、どの部分で事故が起きたなど、説明の意図するところがよくわからないことがありますので、簡略化した情報である「略図」のデータが推奨されています。

 これまでの手書きデータとは異なり、イラスト等の「略図」のデータが添付できるようになりました。ただし、必要に応じて補足説明も追記してください。

 「略図」を手書きで作成後、スキャナで読み込んで画像データとして添付することも可能ですし、スマートフォンで写真を撮って、そのデータを添付することもできます。

今回の電子申請義務化に伴い、報告書の記載事項も一部変更されています。自由記述欄がコード選択式に変わった項目が中心です。

労働者死傷病報告の改正項目
労働者死傷病報告の改正項目

 これまでは手入力でしたが、日本標準産業分類に基づいた細分類コードを選択する形式に変更されました。入力支援サービスには、分類項目表も掲載されていますので、参考にしてください。

 これも手入力から、日本標準職業分類に基づいた小分類コードを選択する形式に変更されました。入力支援サービスには、分類項目表も掲載されています。

 手入力ではなく、プルダウンメニューから選択する形式になりました。

 記入欄が5つの項目に分割され、災害発生状況をより詳細に記載する形式に変更されました。具体的な記入例が示されていますので、参考にしてください。

 外国人労働者の場合、国籍と在留資格をプルダウンメニューから選択する形式になりました。

 労働者死傷病報告のほかに、2025年1月1日から電子申請が義務化された報告は以下の通りです。

  • 総括安全衛生管理者/安全管理者/衛生管理者/産業医の選任報告
  • 定期健康診断結果報告
  • 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告
  • 有害な業務に係る歯科健康診断結果報告
  • 有機溶剤等健康診断結果報告
  • じん肺健康管理実施状況報告
  • 事業の附属寄宿舎内での災害報告

 これらの報告も、厚生労働省の入力支援サービスから申請できます。