目次

  1. 2025年問題とは
  2. 昭和100年問題も2025年に懸念
  3. 2025年1月から変わること
    1. ガソリン補助金、1月16日からさらに縮小
    2. 離職票を離職者のマイナポータルに直接送付可能に
    3. 補助金・融資申請の確認に使われる収受日付印が税務署で廃止
    4. 入社祝い金(就職お祝い金)の規制強化
    5. 介護事業者の経営情報の報告の義務化
    6. 不動産の「囲い込み」防止へ レインズへの物件取引状況の登録義務化
    7. 建築工事届・建築物除却届が新しい様式へ
    8. 技術検定の受検手数料が値上げ
    9. ミニマムタックスが適用予定
    10. 自動車保険が値上げ 軽自動車の保険料率は7区分へ拡大
    11. 養育特例の申出書から戸籍抄本などの添付書類を省略可能に
    12. 労働者死傷病報告の電子申請が義務化
    13. イギリス政府、入国時に「ETA」取得を義務化
  4. 2025年2月から変わること
    1. 特定建設業許可、下請代金の下限を5千万円へ引き上げ
    2. 電気工事士試験、学科試験免除の対象試験を拡大へ
    3. 電波利用ホームページがリニューアル 「電波利用ポータル」へ
  5. 2025年3月から変わること
    1. 中小企業向け資金繰り支援が一部変更
    2. マイナ免許証が導入
    3. 65歳までの雇用確保義務の経過措置が終了
    4. ゆうちょ銀行が回収事務手数料を請求へ
  6. 2025年4月から変わること
    1. 建築基準法・建築物省エネ法が改正 省エネ基準適合の義務付け
    2. 残業免除の拡大など育児介護休業法等改正で8つのポイント
    3. 育児休業等給付、手取り10割へ上乗せ
    4. 育児休業給付の延長手続きが厳格化
    5. 貨物軽運送の「安全管理者」選任を義務化
    6. 車の保管場所標章(車庫証明シール)が廃止
    7. 車検更新、「1ヵ月前から」を「2ヵ月前から」に緩和
    8. 高年齢雇用継続給付、「賃金の原則10%」へ縮小
    9. 福祉・介護職員等処遇改善加算へ完全移行
    10. 労働安全衛生規則が改正 一人親方にも危険個所で保護義務
    11. 雇用保険法の4つの改正内容
    12. 職業紹介事業者の紹介手数料率の実績公開へ
    13. 障害者雇用の除外率、一律10ポイント引き下げ
    14. 公益法人制度が改正
    15. 東京湾アクアライン、時間帯別料金幅が拡大へ
  7. 2025年5月から変わること
    1. 流通業務総合効率化法・貨物自動車運送事業法が5月までに改正
    2. 戸籍に氏名のふりがなを追加
  8. 2025年6月から変わること
    1. ゆうちょ銀行が振替小切手帳の交付などの料金値上げ
  9. 2025年7月から変わること
    1. 高速道路の深夜割引を見直し
  10. 2025年8月から変わること
    1. 衣類の取り扱い表示のJIS改正 経過措置は2025年8月まで
  11. 2025年10月から変わること
    1. 改正住宅セーフティネット法、高齢者などの入居を支援
    2. 教育訓練中の生活を支えるための給付の創設
    3. マイクロソフト、Windows10のサポート終了
  12. 2025年12月から変わること
    1. 従来の健康保険証の有効期限切れ マイナ保険証に移行も
  13. 2026年から変わること

 2025年問題とは、団塊世代が後期高齢者となることで、社会保障費の負担増や人材不足が深刻化する問題のことをいいます。

 女性や高齢者の労働参加が進んでも働き手は減少するとみられ、1人あたりの社会保障負担はますます重くなるほか、以下の課題が心配されています。

  • 社会保障費(医療費や介護費など)の負担増大
  • 医療・介護体制の維持の困難化
  • 後継者不足による廃業がもたらす雇用とGDPの喪失

 2025年の法改正・制度改正はこうした問題に対処するためのものもあります。

 2025年は、昭和100年問題が起こるリスクもあります。

 昭和100年問題とは、2025年にコンピューターのシステム障害が起こる可能性がある問題です。日本の官公庁や企業のシステムでは、元号による年表記が一般的です。元号は突然変わり、大規模な改修を回避するために、昭和のまま年数カウント基準を継続し内部処理で新元号へ反映させる方法が採られました。

 例えば、昭和65年を平成2年、昭和66年を平成3年と換算するような方法です。そのため、2025年にはその基準値が「昭和100年」に到達します。2桁処理ではオーバーフロー、または一巡して「昭和00年」と処理される可能性があり、システム誤作動の原因となる心配があります。

 2025年1月17日は、阪神・淡路大震災から30年となります。また、2024年11月に当選したアメリカ大統領が1月20日に就任予定で、今後の政策に注目が集まります。

 政府はガソリン補助金の補助率を段階的に縮小していくことを公表しています。2024年12月19日からガソリンの全国平均小売価格が5円程度上昇しました。2025年1月16日からはさらに5円程度上昇し、合計10円程度上昇する見込みです。

 離職時に離職者が希望する場合、事業所を経由せずハローワークから離職者のマイナポータルに「離職票」を直接送付できる制度が2025年1月20日から始まります。届け出たマイナンバーが被保険者番号と紐付いているなどの条件をクリアする必要がありますが、事業所にとっては離職者に離職票を郵送する事務手続きがなくなります。

 収受日付印とは、税務署が開業届や確定申告書、様々な税金の申告書などを受け取ったときに受領した証として申告書やその控えに押す印のことです。

 これまで、金融機関への融資申し込みや補助金申請などでは、収受日付印のある申告書の控えの提出を求められる場合がありました。しかし、国税庁は2025年1月から収受日付印を廃止します。

 厚生労働省は2025年1月1日から、職業安定法指針に規定されている「転職勧奨の禁止」と「お祝い金等の提供の禁止」を許可条件に追加します。

 原則すべての介護事業者は介護保険法にもとづき、2025年1月から「介護事業財務情報データベースシステム」を使って、会計年度ごとに都道府県への経営情報の報告が義務化されます。

 不動産仲介の「囲い込み」防止のため、2025年1月4日から宅建業者にレインズへの物件の取引状況の登録を義務付けます。売主が取引状況を確認しやすくするため、宅建業者が渡す登録証明書に2次元コードも掲載します。

 国土交通省は2025年1月から建築工事届・建築物除却届が新しい様式に変えます。ポイントは以下の4つです。

  1. 担当者の指名と連絡先を記入する欄の追加
  2. 主要用途の欄は、大分類項目のみの区分に
  3. 用途欄を建築確認申請の用途区分と同じ分類に変更
  4. 建築物ごとに物件名を記入

 土木施工管理や電気工事施工管理、電気通信工事施工管理など技術検定の受検手数料が2025年1月1日から値上げされます。

 おおむね年間30億円超の所得がある超富裕層に対し追加で課税される措置、通称「ミニマムタックス」が2025年の所得から適用予定です。

 物価上昇に伴う修理費の増加や自然災害の頻発化などを理由に、大手損害保険各社は2025年1月から自動車保険料を平均3.5~5%程度上げます。このほか、軽自動車の保険料を計算するときの重要な要素である「型式別料率クラス」も2025年1月から、3区分から7区分へとより細かく分けます。

 社会保険被保険者が育児中、標準報酬月額が下がったときに活用できる「養育期間標準報酬月額特例(養育特例)」の申出書などについて、2025年1月から戸籍抄本などの添付書類を省略できるようになりました。

 労働者が労働災害などで死亡、または休業したときに事業者が所轄の労働基準監督署に提出が義務付けられている労働者死傷病報告の電子申請手続きが2025年1月1日から、義務化されます。労働者死傷病報告の記載についても一部改正があります。

 イギリスへ入国する際は「ETA」による渡航許可の取得が義務化されます。ETAは短期滞在やトランジットなどの目的であっても取得する必要があるため、ビジネスや旅行でイギリスへの渡航を考えている場合は注意が必要です。

 特定建設業許可の金額要件が見直されます。これまで、特定建設業許可を要する下請代金額の下限は、4500万円(建築工事業の場合は7000万円)でしたが、2025年2月1日から5000万円(建築工事業の場合は8000万円)に引き上げられます。

 電気工事士試験(第一種、第二種)に2024年度上期学科試験合格者から学科試験が免除される試験の範囲が拡大されます。2025年の第一種電気工事士(電工一種)の上期の申込受付期間は2025年2月14日10時〜3月3日17時、第二種電気工事士(電工二種)の上期の申込受付期間は2025年3月17日10時〜4月7日17時です。

 総務省は、2025年1月6日から電波利用ホームページや電子申請・届出システムなど電波利用に関わる電子申請・届出システムをリニューアルしました。

 中小企業庁は2025年1月以降に適用される中小企業向けの資金繰り支援策をまとめました。それによると、3月ごろから、経営改善サポート保証を経営改善・再生強化型を切り替えたり、プロパー融資を引き出す保証制度を新たに設けたり、コロナ資本性劣後ローンを「通常資本性劣後ローン」に切り替えたりする動きがありそうです。

 運転免許証とマイナンバーカードを一体化した「マイナ免許証」が2025年3月24日から免許センターや一部警察署で交付を申請できます。マイナ免許証を取得する際、自治体側から警察への情報提供に同意すれば、これまで住所変更時に必要だった警察への届け出が不要になり、自治体だけの手続きで済むようになる見込みです。

 免許の更新時にマイナ免許証にする際の手数料は2100円で、これまでより400円安くなります。

 65歳までの雇用確保義務について、継続雇用制度の対象者を限定できていた経過措置は2025年3月末に終了します。2025年4月からは新たに、希望者全員の65歳までの継続雇用制度を導入するなどの雇用確保措置をとる必要があります。

 ゆうちょ銀行は2025年3月26日支払い分から、残高不足によりJP BANK VISAカード・マスターカード利用料金の引き落としができなかった場合、再度の請求にかかる費用を「回収事務手数料」として請求します。

 2025年4月13日から大阪万博が開催します(10月13日まで)。法改正や制度改正は以下の通りです。

 建築関連の大きな法改正が建築基準法と建築物省エネ法です。

 改正建築基準法では、4号特例の縮小や構造規制の合理化など大きく変わります。

 建築物省エネ法では、2025年4月以降に着工する原則すべての住宅・建築物に省エネ基準適合が義務付けられます。建築確認手続きの中で省エネ基準への適合性審査をするため、2025年4月以降に工事着手が見込まれる場合は、法施行前からあらかじめ省エネ基準に適合した設計とする必要があります。

 育児介護休業法と次世代育成支援対策推進法の改正が2025年4月と10月に施行されます。男女ともに仕事と育児・介護を両立できるよう8つの変更点があります。

  1. 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
  2. 育児のためのテレワーク等の導入の努力義務化
  3. 子の看護休暇の取得事由及び対象となる子の範囲の拡大等
  4. 育児休業取得状況の公表義務を300人超の企業に拡大
  5. 介護離職防止のための個別の周知・意向確認、雇用環境整備等の措置の義務付け
  6. 育児休業取得等に関する状況把握・数値目標設定の義務付け
  7. 柔軟な働き方を実現するための措置等の義務付け
  8. 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務付け

 厚生労働省によると、2025年4月1日から出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金を創設し、手取り換算で支給額を10割まで引き上げる予定です。

 2025年4月から育児休業給付の延長手続きが厳格化され、自治体の入所保留通知書のみではなく、本人の申告内容なども提出が必要となり、ハローワークで延長の適否を判断することになります。

 EC市場規模の拡大により宅配便の取扱個数が増える一方、軽自動車による死亡・重傷事故件数も増加しています。そこで、国土交通省は2025年4月から、貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するため、安全管理者の選任・届出を義務付けるなど自動車事故報告規則などの一部を改正する省令を施行します。

 保管場所標章(車庫証明シール)とは、車庫証明を発行したときに交付された自動車であることを示すシールです。政府は、自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)の改正により、車庫証明シールの廃止期日を2025年4月1日とすることを閣議で決めました。

 車検更新(車検の継続検査)について、国土交通省は2025年4月1日から、車検を受けられる期間を「車検の有効期間満了日の2ヵ月前から」に緩和します。年度末に集中する車検需要の平準化が目的です。

 高年齢雇用継続給付は、60歳のときよりも賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳末満の一定の一般被保険者に支給される給付です。2003年以降の給付率は賃金の15%でしたが、2025年4月からは10%に縮小されます。

 福祉・介護職員の処遇改善のための3つの加算を、4段階の「福祉・介護職員等処遇改善加算」に一本化する福祉・介護職員等処遇改善が2025年4月から始まります。厚生労働省は2025年度以降の新加算の完全施行までに計画的な準備を進めるよう事業主に呼び掛けています。

 労働安全衛生規則等の一部が2025年4月に改正され、作業を請け負わせる一人親方等や、同じ場所で作業を行う労働者以外の人に対しても、労働者と同等の保護が図られるよう、必要な措置を実施することが事業者に義務付けられます。

 雇用保険の対象拡大や教育訓練、リスキリング支援の充実などを盛り込んだ改正雇用保険法が2024年5月の参議院本会議で可決・成立しました。2025年4月から施行されるのは以下の4つです。

  1. 自己都合離職者の給付制限の見直し
  2. 育児休業給付の財政基盤の強化
  3. 雇止めによる離職者の基本手当改正
  4. 就業促進手当の廃止等

 転職エージェントや人材紹介会社など職業紹介事業者は、2025年4月から「紹介手数料率の実績公開」と「違約金規約の明示」という新たな義務が課せられることになります。職業紹介事業者が2024年度に徴収した紹介手数料の実績は、厚生労働省の特設サイト「人材サービス総合サイト」に掲載される予定です。

 障害者雇用促進法で法定雇用率を設定していますが、障害者の就業が一般的に困難な業種について、事業主の障害者の雇用義務を軽減する「除外率」が設けられています。2025年4月からこの除外率が一律10ポイント引き下げられます。

 公益法人制度が2025年4月から変わる予定です。資金活用の自由度が増し、柔軟に事業展開しやすくなる一方、ガバナンスの充実や透明性の向上を図るよう努めるべき旨を規定で設けるなど3つの改正のポイントがあります。

 東京湾アクアラインは2025年4月1日から新料金となります。ポイントは、ETC搭載車を対象にした料金変動制(ダイナミックプライシング)について、上り線の時間帯別料金の幅を拡大したうえで、下り線も新たに時間帯別料金を導入します。

 改正物流総合効率化法と改正貨物自動車運送事業法が2025年5月15日までに施行されます。2024年問題に対応し、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容について、抜本的・総合的に見直すための改正です。

 戸籍に氏名のふりがなを追加する改正戸籍法が2025年5月26日から施行されます。ポイントの一つとして、氏名の振り仮名は「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」との規律が設けられます。

 ゆうちょ銀行は、貯金商品、証券、法人向け送金決済サービスに関わる一部商品の料金改定や新設を行うと発表しました。2025年6月には振替小切手帳の交付や公共料金の通常払込みなどの料金が改定されます。さらに、2026年1月には貯金小切手振出料金などが新設されます。

 1960年に開業した東京・銀座にある映画館「丸の内TOEI」が、東映会館の再開発に伴い、7月27日(日)に閉館します。

 国土交通省は、高速道路の深夜割引の仕組みを見直します。0時前に深夜割引適用待ちの車が料金所出口に滞留するのを防ぐためとして、割引が適用される条件を変更し、対象時間を拡大します。

 2025年8月は、広島、長崎に原爆投下されてから80年となります。

 経済産業省と消費者庁は2024年8月20日に洗濯時などの衣類の取り扱い表示に関わる「JIS L0001」を改正しました。新しい記号の追加や記号の意味の変更など4つのポイントがあります。経過措置は2025年8月19日までとなります。

 住宅セーフティネット法は、高齢者、障害者、低所得者など住宅の確保に特に配慮を必要とする人に対して、民間賃貸住宅への入居を支援するための法律です。高齢者の入居が拒否されてしまうといった課題に対応するため、2025年10月に法改正します。

 改正雇用保険法により、労働者が自発的に、教育訓練に専念するために仕事から離れる場合、生活費の不安なく専念できるよう2025年10月から教育訓練中の生活を支えるための給付を創設します。

 Microsoftは2025年10月14日(米国時間)、Windows10のサポートを終了します。サポート終了後は新たな脆弱性が見つかっても、更新されません。

 Microsoftは、Windows11への移行を推奨していますが、移行できない顧客向けにWindows 10の有償の拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)を提供し、さらに3年間サポートを継続すると発表しました。

 健康保険証の新規発行が2024年12月2日に停止されており、発行済みの健康保険証も2025年12月までに切れることとなります。政府はマイナ保険証への切り替えか、希望しない人には資格確認書を利用することなどを呼び掛けています。

 2026年もすでに改正が決まっていることがあります。

公益信託を使いやすくする法律、2026年4月施行へ 担い手の範囲拡大
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リース会計基準が2026年に改正 変更点や企業がすべき準備を解説
蛍光灯の製造・輸出入が2027年末までに段階的に廃止