目次

  1. 資金繰りとは
  2. 2025年1月以降の資金繰り支援
    1. 経営改善サポート保証
    2. コロナ借換保証
    3. プロパー融資を引き出す保証制度
    4. コロナ特別貸付
    5. コロナ資本性劣後ローン
    6. セーフティネット貸付

 経済産業省のミラサポplusの公式サイトによると、資金繰りとは、企業の血液ともいえる「カネの流れ」を管理することだといいます。

 「いつまでに」「いくら」の入金があるのか、「いつまでに」「いくら」支払う必要かを記した資金繰り表をつくることで資金の流れを把握しやすくなります。

 しかし、新型コロナや災害などが起きれば、資産に余裕のない事業者は大きな影響を受けてしまいます。そのため、政府は民間金融機関や政策金融機関からの融資を保証・補助する制度など様々な支援策を用意していました。

 コロナ禍からの社会経済活動がもとに戻ろうとしている一方で、経営上の課題が売上減少から人手不足・賃上げ・原材料費高騰等への対応に移っています。そこで経産省は、コロナ禍で続けてきた資金繰り支援策を、経営改善・再生、成長促進などに軸足を移そうとしています。

資金繰り支援のチラシ
資金繰り支援のチラシ(中小企業庁の公式サイトから https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/support.html)

 2025年1月以降の資金繰り支援は、政府系金融機関と民間金融機関が実施するものを合わせると6つのメニューがあります。

  1. 経営改善サポート保証
  2. コロナ借換保証
  3. プロパー融資を引き出す保証制度
  4. コロナ特別貸付
  5. コロナ資本性劣後ローン
  6. セーフティネット貸付

 それぞれの支援策について紹介します。

 経営改善サポート保証制度とは、経営サポート会議や中⼩企業活性化協議会等の⽀援により作成した経営改善・再⽣計画にもとづき、中⼩企業が経営改善・事業再⽣を実⾏するために必要な資⾦を、保証付融資で⽀援し、経営改善・事業再⽣の取組を後押しする制度です。

 「経営改善サポート保証(コロナ対応)」は、2025年3月まで延長し、その終了後は、経営改善サポート保証(経営改善・再生強化型)を新たに始めます。

 経営改善・再生強化型とは、中小企業活性化協議会の支援や経営改善計画策定支援事業(405事業)等で策定した計画の実行に必要な資金を、保証付融資で支援する制度です。

 とくに経営改善・再生計画を作った上での借換の支援に重点を置きます。100%保証は100%保証で借換し、保証料0.3%、上限2.8億円、保証期間15年となります。保証率のみ経営改善サポート保証(コロナ対応)と比べて0.1ポイント上がります。

 コロナ借換保証とは、新型コロナの影響で債務が増大した中小企業者の収益力改善などを支援するための借り換え需要に加え、新たな資金需要にも対応する制度です。

 100%保証は100%保証で借換、保証料0.2%、上限1億円、保証期間10年となります。

 石川県の一部など令和6年能登半島地震の影響が残る地域のみで継続中の「コロナ借換保証」を2025年3月まで継続します。

 プロパー融資とは、信用保証協会による保証がなく、民間金融機関が実施する融資のことを指します。

 2025年から「プロパー融資を引き出す保証制度」(仮称)をあらたに設け、人手不足に対応する省力化投資など、多岐にわたる経営課題に対応した資金繰りを支援します。

 80%保証、保証料の引き下げ、上限2.8億円、保証期間10年という支援を想定しています。

 日本公庫等の「コロナ特別貸付」は、2024年12月で終了します。その後、その用途の多くが借換えであることを踏まえて新たに設ける「危機対応後経営安定貸付」で支援します。限度額20億円、貸付期間20年、基準金利を適用する予定です。

 小規模事業者には、コロナ前からある「小口零細企業保証」(100%保証)を活用し、借換等を支援する予定です。

 小口零細企業保証とは、小規模事業者従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の事業者等を対象とした、100%の保証が可能な制度です。

 保証上限2000万円(既存の保証付融資と合計で2,000万円の範囲内)で、100%保証の融資は100%保証で借換が可能です。

 資本性劣後ローンとは、資産査定上「資本」とみなされ、民間金融機関の支援を促進する融資制度です。

 日本公庫等の「コロナ資本性劣後ローン」は、2025年2月まで延長し、その終了後に「通常資本性劣後ローン」として、省力化投資等の成長資金を必要とする事業者を対象に追加します。

 適用利率の見直し、限度額の拡充(10億円→15億円)を検討しています。

 資材費等の価格高騰対策として実施している日本公庫等の「セーフティネット貸付」は、基準金利から0.4%引き下げた融資制度で、2025年3月まで継続する予定です。

 ウクライナ情勢・原油価格上昇の影響で、利益率が減少した事業者を対象としています。融資上限は、中小事業で7.2億円、国民事業で4800万円となります。

 貸付期間は設備資金15年以内、運転資金8年以内、据置期間最大3年です。