給付制限とは 教育訓練を受けると解除 厚労省、2025年4月から
杉本崇
(最終更新:)
2025年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できることを紹介するリーフレット(厚労省の公式サイトから https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00045.html)
雇用保険の被保険者が自己の都合によって退職した場合、基本手当の受給資格決定日から7日間の待期期間満了後1~3ヵ月間は基本手当が支給されません。これを給付制限と呼びます。厚生労働省によると、2025年4月以降は、給付制限が短縮されるだけでなく、リスキリングのために教育訓練等を受ける場合は給付制限が解除され、7日間の待期期間を過ぎると、基本手当を受給できるようになりました。対象となる訓練や教育訓練等を受けた(受けている)場合の申し出方法について整理して紹介します。
給付制限とは
厚労省の公式サイトによると、給付制限とは、雇用保険の被保険者が正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合には、基本手当の受給資格決定日から7日間の待期期間満了後1~3ヵ月間は基本手当を支給されないという制度です。
この給付制限は、退職日が2025年3月31日以前である場合は原則2ヵ月でした。ただし、退職日から遡って5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合退職し受給資格決定を受けた場合、給付制限は3ヵ月となります。
また、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇(重責解雇)された場合も給付制限は3ヵ月です。
2025年4月からの変更点 教育訓練による給付制限解除
2025年4月の雇用保険制度の改正のポイントは大きく分けて2つあります。
自己都合退職者への給付制限短縮
まず、通達の改正により、原則の給付制限期間を2ヵ月から1ヵ月へ短縮します。ただし、5年間で3回以上の自己都合離職の場合には給付制限期間を3ヵ月とします。
教育訓練等を受ける場合の給付制限を解除
つぎに、教育訓練を開始した場合に給付制限を解除します。これは、労働者のリスキリング(学び直し)を支援するためです。厚労省の公式サイトによると、対象となる教育訓練は以下の通りです。
- 教育訓練給付金の対象となる教育訓練
- 公共職業訓練
- 短期訓練受講費の対象となる教育訓練
- その他、職業安定局長が定める訓練
給付制限解除の条件は、離職日以前1年以内に上記の教育訓練を受けている、または離職日以降に受けていることです。また、教育訓練の受講開始日が、受給資格決定日以降である必要があります。
教育訓練等を受けた(受けている)場合の申し出
受講開始以降、受給資格決定日や受給資格決定後の初回認定日(初回認定日以降に受講を開始した場合は、その受講開始日の直後の認定日)までに申し出る必要があります。
給付制限期間が2か月以上で、初回認定日以降かつ給付制限期間中に教育訓練等の受講を開始する場合には、申し出の期限に注意が必要です。
受講開始日が「初回認定日」以降かつ「認定日の相当日」前である場合、受講開始日直後の「失業認定日に相当する日」までに申し出をする必要があります。
「認定日の相当日」以降かつ「給付制限期間満了後の失業認定日」前である場合、「給付制限期間満了後の失業認定日」までに申し出をする必要があります。
失業の認定は4週間ごとに受ける必要があります。本来、給付制限期間中の認定日はありませんが、給付制限期間中であっても、訓練の受講開始直後の週型と曜日が同一である「認定日の相当日」までに訓練受講を申し出て給付制限を解除し、訓練受講開始日以降、基本手当を受給することができます。
この場合、通常の失業認定と同様、認定日数に応じた職業相談等の求職活動実績が必要です。
教育訓練給付金の申請は、ハローワークで行います。受講開始前に、支給要件確認の手続きが必要です。詳細については、厚生労働省の公式サイトをご覧ください。
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この記事を書いた人
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杉本崇
ツギノジダイ編集長
1980年、大阪府東大阪市生まれ。2004年朝日新聞社に記者として入社。医療や災害、科学技術・AI、環境分野、エネルギーを中心に取材。町工場の工場長を父に持ち、ライフワークとして数々の中小企業も取材を続けてきた。
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