収受日付印、2025年1月から税務署で廃止 補助金・融資申請に注意
国税庁によると、収受日付印とは、税務署が開業届や確定申告書、様々な税金の申告書などを受け取ったときに受領した証として申告書やその控えに押す印のことです。これまで、金融機関への融資申し込みや補助金申請などでは、収受日付印のある申告書の控えの提出を求められる場合がありました。しかし、国税庁は2025年1月から収受日付印を廃止します。そこで、提出年月日を証明できる別の方法について紹介します。
国税庁によると、収受日付印とは、税務署が開業届や確定申告書、様々な税金の申告書などを受け取ったときに受領した証として申告書やその控えに押す印のことです。これまで、金融機関への融資申し込みや補助金申請などでは、収受日付印のある申告書の控えの提出を求められる場合がありました。しかし、国税庁は2025年1月から収受日付印を廃止します。そこで、提出年月日を証明できる別の方法について紹介します。
目次
収受日付印とは、申告書・申請書・請求書・届出書など税務署に提出・送付した文書やその控えに押される受領印のようなものです。
郵送で提出した場合でも、控えと返信用の封筒を同封すれば、収受日付印が押印してある控えを返送してもらえていました。
収受日付印が必要となるのは、金融機関への融資申し込みや、行政機関への補助金・助成金などの申請時です。コロナ禍の補助金・助成金の申請で収受日付印の押捺(おうなつ)の入った申告書の提出を求められた事業者も多いので、イメージしやすいかもしれません。
収受日付印は、内容証明にはなりませんが、税務署に申告した内容と融資や補助金申請の内容が同じで、虚偽ではないことを確認するために使われてきた経緯があります。
国税庁は、税務行政のDXを進めるなかで、2022年度のe-Tax利用率は、所得税申告で65.7%、法人税申告で91.1%と浸透してきました。そこで、国税に関する手続の見直しの一環として、収受日付印の廃止を決めました。
しかし、国会に提出された請願によると、長年にわたって収受日付印のある申告書控えの提出が必要とされてきた(提出したことを証明する真実性が担保される)として、収受日付印を続けるよう求める声が出ています。
全国商工団体連合会(全商連)の公式サイトでも、国税庁に対し、収受日付印の廃止を撤回し、押印を継続することを求めた内容が紹介されています。
一方、国税庁は「国税当局から、金融機関や補助金・助成金などを担当する行政機関などに対して事前に説明を行っております。2025年1月以降も、収受日付印の押なつされた控えの提出を求める各種の機関を把握した場合、国税当局から個別に説明を行う予定です」として、予定通り2025年1月の収受日付印に向けて準備を進めています。
実際に、中小機構の公式サイトでは、小規模企業共済や経営セーフティ共済の加入などで「電子申告(e‐Tax)をした際の日付・受付番号が印刷されていれば、確定申告書のみでも可」と通知しています。
国税庁は、2025年1月から税務署に、書面で申告書を提出または送付する場合は、申告書等の正本(提出用)のみを提出・送付するよう求めています。申告書の控えへ収受日付印は押しませんが、必要に応じて、自分で控えの作成・保管するよう求めています。
これまでのように収受日付印を求めて、申告書を郵送したときに「返信用封筒」と「申告書等の控え」を同封すると、税務署は当面の間、日付・税務署名を記載したリーフレットを同封して返送します。
2025年1月からは収受日付印を使った提出確認ができなくなるため、国税庁の公式サイトでは以下の5つの方法を勧めています。
もっとも申請者の負担が軽いのが、e-Taxで申告・申請手続後の受信通知を利用する方法です。
e-Taxは申告データの送信が完了した後、送信されたデータの受信通知がメッセージボックスに格納されます。受信通知では、申告書等を提出した者の氏名、名称、受付番号、受付日時等を確認できます。受信通知から電子申請等証明書の交付を請求することもできます。
ただし、受信通知及び申告に関するお知らせについては、メッセージボックスに格納された日から120日を経過すると「メッセージボックス(過去分)」画面に移され、格納されてから1900日間(約5年間)を経過すると既読・未読に関わらず削除されるため、データの保管には十分注意してください。
e-Taxの公式サイトによると、受信通知を確認するには、たとえば、利用者識別番号及びパスワードでログインする場合は以下の手順で進めてください。ただし、詳細を確認するには、マイナンバーカードなどでの認証が必要になります。
所得税の確定申告書、青色申告決算書及び収支内訳書を書面で提出している場合でも、パソコン・スマートフォンからe-Taxを利用してPDFファイルを無料で取得できます。ただし、マイナンバーカードが必要です。「申告書等情報取得サービス」(e-Tax公式サイト)によれば、以下の手続きが必要です。
税務署に開示請求すれば、1ヵ月程度で写しが交付され、提出した申告書等の内容を確認することができますが、法人の申告書等には利用できません。手数料は300円(オンライン申請の場合は200円)です。
税務署の窓口で、過去に提出した以下のような申告書を閲覧することができます。
詳細は「申告書等閲覧サービスの実施について(事務運営指針)」(国税庁ホームページ)で確認してください。
納税証明書の交付請求することで、確定申告書等を提出した場合の納税額、所得金額または未納の税額がないことの証明書を取得できます。手数料は、税目ごと1年度1枚につき400円(オンライン申請の場合は370円)です。
納税証明書のオンライン請求については「オンラインでの交付請求」(国税庁ホームページ)で確認してください。
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