目次

  1. インバウンド客に人気のだるま店
  2. だるま市で募らせた危機感
  3. 通年で売れるだるまを開発
  4. チェコで受けたカルチャーショック
  5. 「1人でも始めよう」と決意
  6. 「マーライオンだるま」が自信に
  7. 動画制作で商機をつかむ
  8. だるま文化を世界に

 年間90万個の高崎だるまが作られる群馬県高崎市の豊岡・八幡エリア。乗用車1台がやっと通れるほどの道を突き当たりまで進むと、瓦屋根の下に赤色のだるまが置かれた店舗がありました。

 だるまの販売店と工房を兼ねた「今井だるま店NAYA」です。見つけるのが難しい立地にもかかわらず、欧州などから観光客が定期的に訪れています。

 「昨日(取材前日)はフランス人旅行客6人組が来て、建物やだるまを見て大きな声を上げていました。ディープな田舎の観光がはやっているようで、海外からのお客さんはよく店に来ます」

老舗和菓子店を思わせる今井だるま店NAYAの店構え(今井だるま店NAYA提供)
老舗和菓子店を思わせる今井だるま店NAYAの店構え(今井だるま店NAYA提供)

 今井さんは2008年にチェコでだるまの絵付け体験を開いて以来、海外市場の開拓に力を入れてきました。旅行客を呼び込むため、2015年に店を京都の和菓子店のようなシックな構えに改装。2020年にはホームページを改修し、英語、フランス語、ポルトガル語に対応しています。

 輸出にも力を入れ、2020年からジェトロ(日本貿易振興機構)との連携を本格化します。地元のジェトロ群馬から海外バイヤーのリストの提供を受け、オンライン商談会を開催。2022年に米国の大型ディスカウントストア・TJXカンパニーズから、だるま千個の受注に成功しました。2024年の輸出額は売り上げ全体の10%に達しています。

 今井さんが家業に入ってからだるまの年間生産数は3万個から5万個で推移していますが、付加価値の高い製品の販売で、平均販売単価は500円から2千円に上昇。入った当時は5人だったスタッフも12人に増えました。「10年かけてようやく成果が出ました」。そう話す今井さんは、どんな道を歩んできたのでしょうか。

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