著作権侵害とは 文化庁が個人クリエーターの対策費を最大400万円支援
自分が描いたイラストが無断でSNSアイコンに使用されてしまったというイラストレーターや自作の曲が許可なく他人の動画で使われているという音楽クリエーターなどの著作権侵害対策の支援を文化庁が始めます。著作権侵害行為に対し、削除請求、発信者情報開示請求、損害賠償請求をする場合、最大で400万円を支援するといいます。申請の流れや申請方法について整理しました。
自分が描いたイラストが無断でSNSアイコンに使用されてしまったというイラストレーターや自作の曲が許可なく他人の動画で使われているという音楽クリエーターなどの著作権侵害対策の支援を文化庁が始めます。著作権侵害行為に対し、削除請求、発信者情報開示請求、損害賠償請求をする場合、最大で400万円を支援するといいます。申請の流れや申請方法について整理しました。
文化庁によると、著作権侵害とは、自分の著作物(イラスト、画像、テキスト、写真、音楽、動画など)が無断でコピー・販売されたりし「著作者の権利」や「著作隣接権」が侵害されることを指します。
文化庁の公式サイトによると、インターネットの普及により、著作権侵害も増えているといいます。
特に、イラストレーター、漫画家、音楽家、映像クリエーターなど、個人で活動するクリエーターは、自身の作品が無断で複製されたり、改変されたりする場合があります。
こうした場合、権利者が「告訴」を行うことを前提として、「10年以下の懲役」又は「1000万円以下の罰金」(懲役と罰金の併科も可)という罰則規定が設けられています(著作権法119条第1項)。
企業などの法人等による侵害(著作者人格権や実演家人格権の侵害を除く)の場合には、「3億円以下の罰金」とされています。
一方、民事では、以下のような対抗措置もあります。
ただし、著作権侵害に対抗するためには、弁護士に依頼して削除請求や損害賠償請求をする必要があり、個人クリエーターにとっては時間や費用が負担となっていました。
文化庁は、2022年8月から、著作権等の侵害に関する弁護士による相談窓口を開設し、弁護士知財ネットに事業を委託してきました。
さらに2025年1月14日から、著作権侵害に対し、削除申請、侵害者特定、損害賠償請求等個人クリエーター等の権利行使のための弁護士等費用の支援を始めます。
この事業は、一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)の「共通目的事業」として実施され、一般社団法人日本ネットクリエイター協会(JNCA)がSARTRASから委託を受けて運営します。
インターネット上の著作権侵害等への権利行使支援事業は、個人クリエーターがインターネット上で著作権侵害に遭った際に、以下の費用を支援します。
支援上限額は1件あたり150万円ですが、損害賠償請求に関する費用を含む場合は400万円までとなります。ただし、申請時には自己負担額として1.1万円(税込)が必要です。
個人クリエーターが制度を利用するためには、まず文化庁が運営する「インターネット上の海賊版による著作権侵害の相談窓口」に相談してください。この相談窓口では、弁護士が無料で相談に応じ、著作権侵害の状況を詳しくヒアリングします。
相談の結果、弁護士が著作権侵害の蓋然性が高いと判断した場合、弁護士から個人クリエーターに対して、事業への申請が案内されます。
支援事業は、単に費用を補助するだけでなく、著作権侵害への対応をサポートすることを目的としています。「弁護士知財ネット」から、著作権トラブル対応の経験値の高い弁護士の先生を紹介することができるところが特徴だといいます。
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