M&A支援機関の初の登録取り消し 中小M&Aガイドラインに違反
中小企業庁は2025年1月24日、M&A支援機関「M&A DX」(代表取締役 牧田彰俊)に対し、資金力に疑義がある不適切な買手であることを認識しながらM&Aを成立させた行為が中小M&Aガイドラインに違反するとして、登録を取り消すと発表しました。欠格期間は8ヵ月で、登録取り消しは初めてとなります。
中小企業庁は2025年1月24日、M&A支援機関「M&A DX」(代表取締役 牧田彰俊)に対し、資金力に疑義がある不適切な買手であることを認識しながらM&Aを成立させた行為が中小M&Aガイドラインに違反するとして、登録を取り消すと発表しました。欠格期間は8ヵ月で、登録取り消しは初めてとなります。
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中小企業庁の特設サイトによると、M&A支援機関登録制度とは、中小企業が安心してM&Aに取り組める基盤を構築するために設けられた制度です。
中小企業が登録されたM&A支援機関を利用するメリットとして、事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)のM&A支援機関の活用に係る費用(仲介手数料やフィナンシャルアドバイザー費用等)の補助が受けられるといったことがあります。
登録されたM&A支援機関は、M&Aの基本的な事項や手数料の目安を示すとともに、M&A業者等に対して、適切なM&Aのための行動指針を示した中小M&Aガイドラインを守って適切なM&A支援をする必要があります。
ただし、近年、登録されたM&A支援機関のなかでも、不適切な営業行為が確認されています。
武藤経産相は2025年1月24日の閣議後会見で「M&A支援機関登録制度に登録されているM&Aの仲介事業者、株式会社M&A DXについて、同社が仲介した買手が資金力に疑義があり、仲介するには不適切な事業者であることを認識しながら、売手にこの買手を紹介し、M&Aを成立させた事実が確認された」として登録の取り消しを発表しました。
M&A DX(旧:株式会社すばる)の公式サイトによると、M&A DXは2018年設立。公認会計士を代表とする組織で「M&Aやファイナンスの専門知識と長期的な視点により、顧客が将来にわたり安心して事業を継続できる環境を整える」ことを掲げています。
取り消し理由は、資金力に疑義がある不適切な買手であることを認識しながらM&Aを成立させた行為が「中小M&Aガイドライン」において求める善管注意義務規定に違反したためだといいます。欠格期間は、2025年1月24日から8ヵ月です。
M&A支援機関登録制度の登録取り消しにより、47都道府県に設置している公的相談窓口「事業承継・引継ぎ支援センター」は、M&A DXとの連携を停止しました。
中小企業庁によると、このほかにも、不適切な譲り受け側とのM&Aを支援した登録M&A支援機関6社に対し、不適切な譲り受け側の排除の徹底が求められる旨の注意を出しました。改善が見込めない場合は、2026年度以降の登録継続を認めないといいます。
M&Aを検討する中小企業は、M&A支援機関を選ぶときに、以下の点に注意する必要があります。
まずは、M&A支援機関登録制度に登録された機関の中から選ぶようにしましょう。登録機関は、中小M&Aガイドラインの遵守を宣言しており、一定の基準を満たしていると見なせます。
ただし、登録されているからといって、必ずしも自社にとって最適な支援を受けられるとは限りません。各機関の具体的な説明をよく聞き、比較検討することが大切です。
契約を検討しているM&A支援機関の手数料体系を詳細に確認しましょう。登録支援機関の場合、手数料体系をデータベースで確認できます。報酬率だけでなく、最低手数料、報酬を算定する基準額(譲渡額、総資産額等)、発生タイミングなどを確認することが重要です。
M&Aは、バリュエーション、マッチング、基本合意の締結、最終契約の締結など、多岐にわたるプロセスで構成されています。各プロセスで具体的にどのような支援を受けられるのか確認しましょう。
担当者の保有資格、経験年数、成約実績の確認:M&Aの専門知識や経験が豊富な担当者がいるかどうかを確認しましょう。
仲介・FA契約書には、専任条項、直接交渉制限、テール条項の内容を把握し、自社にとって著しく不利な条件がないかを確認しましょう。
M&Aに不安がある場合は、事業承継・引継ぎ支援センターに相談しましょう。また、手数料や支援内容について疑問がある場合は、専門家(士業など)への相談や、セカンドオピニオンを求めることも有効です。
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