金型の無償保管は下請法違反 公取委、東京ラヂエーター製造に勧告
杉本崇
(最終更新:)
下請事業者に対し計2389型の金型を自己のために無償で保管させていたとして、公正取引委員会は2025年1月24日、ラジエーター等の熱交換器及び燃料タンク等の車体部品の製造販売を手がける「東京ラヂエーター製造」(神奈川県藤沢市)に対し、下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)に該当する行為があったとして勧告しました。東京ラヂエーター製造は支払の意思を示したうえで「コンプライアンスの一層の強化と再発防止に努めてまいります」とコメントしました。
東京ラヂエーター製造とは
東京ラヂエーター製造の公式サイトによると、東京ラヂエーター製造は1938年設立。1963年には日本初のトラック用コルゲートタイプラジエーターを生産開始。トラックや産業建機などの熱交換器部品を提供しています。
公取委が下請法違反と認定した事実
公取委の公式サイトによると、東京ラヂエーター製造は、下請事業者に対して自社が所有する金型を貸与していました。
遅くとも2022年12月1日以降、金型を用いて製造する製品とその部品の発注を長期間行わないにもかかわらず、下請事業者30社に対し、合計2389型の金型を自己のために無償で保管させることにより、下請事業者の利益を不当に害していたといいます。
東京ラヂエーター製造「再発防止に努める」
東京ラヂエーター製造の公式サイトでは以下のようにコメントしています。
本勧告による勧告対象金型の保管費用に相当する額については、対象事業者様と既に協議をさせていただいており、全30社の対象事業者様とお支払いを合意しております。お支払いについては、公正取引委員会の確認を得た上で、速やかに対象事業者様にお支払いいたします。
当社は、本勧告を厳粛に受け止め、今後の取引において下請法に抵触する行為が発生することのないよう、金型の適切な管理に留意した下請法の教育を従来の教育体系から見直すなど、社内体制の整備のために必要な措置を講じ、コンプライアンスの一層の強化と再発防止に努めてまいります。
東京ラヂエーター製造の公式サイト
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この記事を書いた人
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杉本崇
ツギノジダイ編集長
1980年、大阪府東大阪市生まれ。2004年朝日新聞社に記者として入社。医療や災害、科学技術・AI、環境分野、エネルギーを中心に取材。町工場の工場長を父に持ち、ライフワークとして数々の中小企業も取材を続けてきた。
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