介護職員の処遇改善へ 厚労省が介護人材確保・職場環境改善等事業

政府の2024年度補正予算で公表された「介護職員1人あたり5.4万円の一時金」に相当する補助事業の概要が明らかになりました。厚生労働省は、介護業界の人材の確保と定着のため、2024年度介護人材確保・職場環境改善等事業を実施します。この事業は、介護現場における生産性の向上や職場環境の改善を通じて、介護職員の処遇改善を図り、介護人材の確保・定着を支援することを目的としています。厚労省が公表した実施要綱をもとにポイントを整理しました。
政府の2024年度補正予算で公表された「介護職員1人あたり5.4万円の一時金」に相当する補助事業の概要が明らかになりました。厚生労働省は、介護業界の人材の確保と定着のため、2024年度介護人材確保・職場環境改善等事業を実施します。この事業は、介護現場における生産性の向上や職場環境の改善を通じて、介護職員の処遇改善を図り、介護人材の確保・定着を支援することを目的としています。厚労省が公表した実施要綱をもとにポイントを整理しました。
介護現場は、依然として人材不足が深刻な課題となっています。少子高齢化で、介護サービスの需要は高まっていますが、介護職員の数はそれに追いついていません。離職率の高さも問題となっています。
このような状況で、介護職員の定着を促進するためには、賃上げだけでなく、生産性向上や職場環境の改善を図るのが、2024年度介護人材確保・職場環境改善等事業です。
ちなみに介護職員の持続的な待遇改善のためには、事業所が介護職員等処遇改善加算を取得する必要があります。福祉・介護職員の処遇改善のための3つの加算を、4段階の「福祉・介護職員等処遇改善加算」に一本化する福祉・介護職員等処遇改善(処遇改善加算一本化)が2025年4月から完全施行されるなど、大きな制度改正が進んでいます。
厚労省が都道府県向けに通知した文書(PDF)によると、2024年度介護人材確保・職場環境改善等事業の実施主体は都道府県です。
介護職員等処遇改善加算を取得し、生産性向上に向けた取組を行っている事業所に対して、職場環境等の改善又は人件費の改善に必要な費用を補助するのがこの事業の目的です。
対象事業所は、介護保険事業費補助金(介護人材確保・職場環境改善等事業)対象サービスの事業所等であって、基準月に、処遇改善加算(処遇改善加算Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ又はⅣに限る)を算定しており、かつ「補助金の支給要件」を満たすものとされています。
基準月は、原則として、2024年12月です。ただし、12月のサービス提供分が他の平常月と比較して著しく低いなど、各事業所の判断により、2025年1月、2月または3月の任意の月を対象月とすることができます。
処遇改善加算を取得していない場合でも、2025年4月1日まで(体制届出の提出期限が4月15日まで延長された場合は4月15日まで)に2025年度の処遇改善加算の体制届出をしていれば、補助対象となります。
事業を活用して賃金改善を行う場合の対象者は、事業対象となる介護サービス事業所等に勤務する介護職員です。介護サービス事業所等において、介護職員以外の職員を改善の対象に加えることも可能です。
補助額は、以下の式で計算します。
補助額=1月あたりの介護総報酬×サービス累計別交付率
1月あたりの介護総報酬は、1月あたりの介護報酬総単位数に、1単位の単価を掛けたものです。サービス類型別交付率は、標準的な職員配置の事業所で、常勤の介護職員一人あたり5.4万円相当の補助を実施するために必要な割合のことです。
補助金の要件として、本事業の対象となる事業所等を運営する介護サービス事業者等は、職場環境改善等に向けて、以下のいずれかを計画またはすでに実施している必要があります.
補助対象経費は、以下の通りです。
介護サービス事業者等は、補助額に相当する職場環境改善の取組の経費に充てることができます。介護助手等を募集するための経費及び職場環境改善等のための様々な取組を実施するための研修費等の経費が含まれます。
退職手当を除く手当、賞与などの人件費の改善に充てることができます。ベースアップに充てられることは想定していませんが、各事業者の経営判断として、各種の生産性向上・職場環境改善等の取組の効果により、持続的な賃上げ余力が生じることを見越して、それまでの間のつなぎの原資とすることまで一概に妨げられるものではないと説明しています。
補助金の交付を受けるためには、介護サービス事業者等が介護人材確保・職場環境改善等事業計画書を作成し、都道府県知事に提出する必要があります。計画書には、以下の事項を記載する必要があります。
また、介護サービス事業者等は、介護人材確保・職場環境改善等実績報告書を作成し、都道府県知事に提出、2年間保存する必要があります。実績報告書には、以下の事項を記載する必要があります。その際、補助金の総額よりも、人件費改善所要額と職場環境改善の所要額が上回る必要があります。
また、補助金の交付を受けようとする介護サービス事業者等は、計画書の提出に当たり、計画書のチェックリストを確認するとともに、記載内容の根拠となる資料及び以下の書類を2年間保管し、都道府県知事から求めがあった場合には提示しなければなりません。
問い合わせは、厚生労働省の介護職員等処遇改善加算等コールセンターへ。電話番号:050-3733-0222(受付時間:土日含む9:00~18:00)
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