目次

  1. ふすまから建具の製造へと拡大
  2. 大手ITで教わった顧客提案力
  3. ふすまを洗練されたデザインに
  4. ネットショップをスモールスタート
  5. DIYとネットをかけ合わせる
  6. 売り上げゼロから重ねた改善
  7. BtoCが売上高の15%に成長

 谷元フスマ工飾は1946年、谷元さんの祖父が「谷元表具店」として創業しました。高度経済成長期に新築住宅が増え、大手のゼネコンやハウスメーカーからふすまの発注が増えて売り上げが急伸し、1970年に法人化。現在は約40人の従業員を抱えています。

 バブル期までふすまの生産数は右肩上がりでしたが、父で2代目の一男さん(80)は「これからは洋室の時代」と見込み、洋室のドアなど建具の製造も始めました。

 バブル崩壊の頃から和室がない新築住宅やマンションが徐々に増え、ふすま製造専業の業者の業績が徐々に悪くなるなか、同社は堅調を保ちました。

高級ホテルのふすまなど、BtoBの施工事例も豊富です(谷元フスマ工飾提供)
高級ホテルのふすまなど、BtoBの施工事例も豊富です(谷元フスマ工飾提供)

 谷元さんは子どもの頃、一男さんが夜遅くまで働き、土日も出社していた姿が記憶に残っています。ただ、一男さんと家業を継ぐことを話題にしたことはありません。社員旅行について行った時に社員から「あんたが後継ぎなんやね」と言われて、少し家業との関わりを意識した程度でした。

谷元さんの父・一男さんは今も職人として活躍しています
谷元さんの父・一男さんは今も現役です

 高校生になると、谷元さんは弁護士になる夢を持ち始めました。大学は法学部に進み、司法試験を2回受けましたが不合格。弁護士はあきらめ、卒業後は日本IBMに入社し、官公庁営業の担当となりました。

 この会社で谷元さんは後のビジネス人生につながる考え方を身に付けました。それは「お客さまの課題を解決する最適なソリューションを提案する」というものです。

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