目次

  1. 観光コンテンツ事業者の収益性改善モデル構築事業とは
  2. 申請対象者:体験型観光コンテンツに取り組む事業者
  3. 募集する事業内容:収益性改善へ4つの取り組み
    1. 現在販売中の体験商品に関する分析
    2. 分析結果に基づく収益性改善アクションプランの作成
    3. 作成したアクションプランに基づく取組の実行・効果検証
    4. 中長期経営戦略の策定
  4. 対象経費と経費の上限
  5. 応募申請の方法
  6. 公募説明会

 インバウンド需要の増加に伴い、観光コンテンツ市場への新規参入事業者が増えています。体験型観光コンテンツはインバウンドにとって大きな魅力となり、地方誘客と地域消費の拡大につながります。

 しかし、収益化に課題を抱える事業者は少なくなく、特にネイチャーアクティビティなどは、激しい繁閑差、天候によるキャンセルリスクの高さ、安全対策に関するコストの増大などが収益化が難しい場合があります。

 こうしたなか、観光コンテンツ事業者の収益性改善モデル構築事業とは、観光コンテンツ事業者が、持続的に収益を向上させるための優良モデルを構築することを目的としています。

 観光庁の調査事業の一環として実施し、事業によって得られた知見等について他地域へ広く横展開することを目的にしています。経費は国費で負担します。

 具体的には、専門家による伴走支援を通じて、国際競争力のあるコンテンツとしての質を確保しつつ、継続的に販売できる収益性改善モデルを確立し、その成果を中長期経営戦略としてまとめることを目指します。

 申請対象者は、体験商品を造成・販売する観光コンテンツ事業者、または観光コンテンツ事業者を構成員や連携先事業者とする組織や団体、協議会等であり、「募集する事業内容」に示す取り組みが可能であることだとしています。

 複数の主体が申請する場合は、代表事業者を定め、他の主体との連携体制を明確にする必要があります。

 また、観光コンテンツ事業者の収益性の改善を目的としているため、募集する事業は以下の条件を満たす必要があります。

  • 収益性改善の対象となる観光コンテンツ事業者(すでに体験商品の造成に取り組んでいる)が申請主体もしくは申請体制の中に含まれており、収益性改善の対象となる観光コンテンツ事業者が明確であること
  • 収益性改善の対象となる観光コンテンツ事業者が、アドベンチャーツーリズムを始めとする「自然環境を観光資源として活用する体験型観光コンテンツ(ネイチャーアクティビティ)」を取り扱う観光事業者であること。ただし、天候リスクが高い体験商品、来訪者の安全管理に対するコストが高い体験商品、需要の繁閑の差が激しい体験商品については例外として支援対象となります
  • 観光コンテンツ事業者で取り扱う体験商品について、継続的に販売を続けていくことを目指すものであること

 募集する事業は、体験商品を地域で持続的に販売していくために、体験商品を扱う観光コンテンツ事業者の収益性改善モデルの構築により、持続可能な経営体制を目指し、事業目標となるKPIを設定した上で、以下の4つの取り組みをする必要があります。

 収益性改善の対象となる事業者で、現在販売中もしくは販売を検討している体験商品の棚卸しを行い、個々の体験商品のミクロの視点と、当該事業者の事業全体のマクロの視点の双方から現状分析を行い、現在の強みや課題となっていること等を具体的に把握します。

  • ミクロの視点での分析項目例: 売上の詳細分析(販売経路別、ターゲット層別など)、成約状況の整理(予約が入りやすいタイミングなど)、他社の類似商品と比べた場合の商品の質の分析、当該商品の実施に必要なオペレーション工数や人工・経費の整理、リスク要素の整理など
  • マクロの視点での分析項目例: 当該事業者の「稼ぎ頭」となる商品など各商品の役割の整理、事業者全体での共通コストの整理、マーケティングコストなど中長期目線で計上しておくべき費用の整理など

 分析結果を踏まえ、収益性改善のために必要と考える取り組みや、本事業内で実証する内容を具体化した『収益性改善アクションプラン』を作成し、本事業期間中の取り組み方針とします。この際、『販売単価の向上』『購入者数の拡大』『コスト(経費)の合理化』の3つの視点を意識した上で、戦略的に実証したい内容についてアクションプランを作成します。

  • 『販売単価の向上』に資する取組例: 商品の高付加価値化、ガイディングの質の品質管理・向上、経常経費などを踏まえた販売価格の合理化
  • 『購入者数の拡大』に資する取組例: 口コミやレビューの獲得、プロモーション用素材の見直し、予約可能日数の拡大(即時予約への対応強化など)、販売経路の合理化、宿泊施設などの関連施設との連携強化
  • 『コスト(経費)の合理化』に資する取組例: 地域一体で共有できるコストの合理化、(経費が過少となっている場合)本来計上すべき費用の洗い出し

 この事業では、予算の範囲内において、複数のモニターツアーを実施することができます。具体的なモニターツアーの目的や内容、スケジュール等は、収益性改善アクションプランにおいて定めることになります。

 特に、同一の体験商品において、価格差やサービス差を設けたモニターツアーを複数実施し、消費者の購入意欲や満足度の違いを調査するなど、収益性改善に向けた実践的かつ戦略的なモニターツアーが求められます。

 この事業は、体験商品を販売する観光コンテンツ事業者の収益性改善を目的としたものですが、地域内の複数の観光コンテンツ事業者の収益性を改善するため、地域一体となったスケールメリットを生かした取り組みを推奨します。

 作成したアクションプランに基づく取り組みを実施した上で『収益性の観点』『持続可能性の観点』『顧客満足度の観点』から、取り組み効果を総合的に検証します。事業期間の許す限り、『仮説の再設定』→『実施』→『効果検証』→『仮説の再設定』→『実施』のように、PDCAサイクルを効果的に回していく取り組みを推奨します。

 効果検証の結果を踏まえ、中長期経営戦略をつくります。

 事業規模で国費でまかなわれる経費は異なりますが、1事業あたり税込1300万円を上限とします。対象経費は以下の通りです。

  • 人件費・賃金(例:報告書等の作成、評価・検証、モデルケース構築等に従事する者の人件費)・事業等に係る事務を補助するために任用する臨時職員の賃金
  • 旅費(事業等を行うために必要な出張等に係る経費。航空機のファースト・ビジネスクラス、列車のグリーン料金など、特別料金は計上不可)
  • 謝金(事業等を行うために必要な謝金。例:会議等に出席した外部専門家等に対する謝金)。貴団体の謝金規定等に基づき国の支出基準を超えない範囲で計上してください
  • 広告宣伝費(事業内で行う、当該事業の魅力発信に向けた企画・開発・広報等に必要な費用。例:ウェブサイト・パンフレット等の制作費、SNS 運営費、メディア等へのリリースに要する費用)
  • 借料及び損料(事業等を行うために必要な機械器具、会場、物品等のリース・レンタルに要する経費)
  • 消耗品費(事業等を行うために必要な消耗品。例:紙、封筒、ファイル、文具用品類)の購入に要する経費。ただし、本事業等のみで使用されることが明確に確認できるものに限る)
  • その他諸経費(例:通信運搬費・光熱水料・振込等手数料・翻訳通訳・速記費用・印刷費)
  • 再委託費(事業実施者が収益性改善戦略の策定及び事業等の一部を当該事業者以外に行わせるために必要な経費)
  • 一般管理費(事業等を行うために必要な経費で、事業等に要した経費としての抽出・特定が困難なもので、上記の合計額の1割未満まで支払を認められた経費)

 申請は電子メールによる提出のみとなります。紙媒体やCD-ROM等の電子媒体を郵送・持込み等の方法で提出することはできません。メールアドレスや必要書類は観光庁の公式サイトへ。申請期限は2025年5月2日(金)15時必着です。

 観光庁は4月11日14~15時、事業の公募に係る説明会を開きます。事前登録用フォームはこちら。