目次

  1. 一般建設業許可とは 特定建設業許可との違い
  2. 建設業許可の新規取得の状況
  3. 建設業種別の傾向
  4. 事業承継許可件数の状況
  5. 建設業の今後の動向

 国土交通省の公式サイトによると、建設工事の完成を請け負うことを営業するには、軽微な建設工事を除き、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法3条にもとづき建設業の許可を受けなければなりません。

 建設業の許可は、下請契約の規模等により「一般建設業」と「特定建設業」に区分されています。特定建設許可を取る方が、一般建設業許可より厳しくなります。

 特定建設業許可を要する下請代金額の下限は、4500万円(建築工事業の場合は7000万円)でしたが、2025年2月1日から5000万円(建築工事業の場合は8000万円)に引き上げられます。

 国交省の公式サイトによると、2025年3月末時点の許可業者数を建設業の種類別に見ると、「一般建設業」と「特定建設業」のいずれも前年同月比で増加しています。

 一般建設業許可業者数は、45万8055業者で、前年同月比0.9%増となりました。ただし、ピーク時の2000年3月末と比較すると、一般建設業許可業者数は20.7%の減少となっています。

 特定建設業許可業者数は4万9739業者で、前年同月比1.4%の増加となりました。ただし、ピーク時からは2.8%の減少となっています。

 建設業許可業者の資本金階層別に見ると、個人及び資本金の額が3億円未満の法人の数は48万1374業者となっており、建設業許可業者数全体の99.5%を占めています。ただし、ピーク時の2000年3月末と比較すると、「個人」の許可業者数は57.5%減となっています。

 都道府県別の建設業許可業者数の推移を見ると、2000年3月末のピーク時と比較して、減少率が高くなっているのは、秋田県(36.4%減)、宮崎県(33.5%減)、群馬県(32.3%減)などです。

 2024年度中に新たに建設業許可を取得した業者は 1万6164業者でした。これは前年度比で0.6%減ですが、許可業者数の総数が増加している背景には、廃業等(廃業や許可の失効など)が低く推移していることが影響しています。

 2025年3月末時点で、許可を取得している業者の数が多い業種は、以下の通りです。

とび・土工工事業(18万3700業者、全体の38.0%が取得)
建築工事業(14万3593業者、全体の29.7%が取得)
土木工事業(13万1889業者、全体の27.3%が取得)

 一方、取得している業者の数が少ない業種は以下の通りです。

清掃施設工事業(384業者、全体の0.1%が取得)
さく井工事業(2249業者、全体の0.5%が取得)
消防施設工事業(1万5996業者全体の3.3%が取得)

 建設業者が事業の譲渡、会社の合併、分割を行った場合、譲渡、合併後または分割後の会社は新たに建設業許可を取り直すことが必要でしたが、2020年の建設業法改正で、事前の認可を受けることで、建設業の許可を承継することができるようになりました。

 2024年度の認可件数は1060件で、内訳は、譲渡及び譲受け868件、合併78件、分割43件、相続71件でした。

 2025年3月末時点の建設業許可業者数は2年連続の増加を記録し、13年ぶりに48万業者台を回復しました。一般建設業、特定建設業ともに業者数が増加しましたが、2000年のピーク時と比較すると減少傾向にあるのは間違いありません。

 今後の最大の課題は深刻化する人手不足と高齢化です。若年層の入職が進まず、団塊の世代の引退が進むことで、技能継承や労働力確保が一層困難になります。

 資材価格の高騰も経営を圧迫しており、中小事業者を中心に厳しい状況が続く可能性があります。

 一方で、老朽化したインフラの維持補修や更新、防災・減災対策、国土強靱化への投資は継続的に見込まれ、一定の建設需要を下支えします。また、デジタル技術の活用による生産性向上や業務効率化への期待も高まっています。

 今後は、働き方改革への対応、処遇改善による人材確保・定着、DX推進による生産性向上、そしてこれらの変化に対応できる企業とそうでない企業との間で、経営状況の二極化が進むと考えられます。