目次

  1. 貿易手続デジタル化とは
  2. 貿易プラットフォーム活用補助金に3つの類型
  3. 応募手続きと期間
  4. 補助金審査と採択

 経産省の公式サイトによると、世界全体の貿易取引が拡大する中、貿易手続は未だに紙書類・手作業が中心であり、一般的な貿易取引において平均して36種類の書類と240部のコピーを複数の事業者間で取り交わす必要があると言われています。

 世界的な国際物流の混乱がたびたび起こっているなか、アナログな貿易手続がもたらすサプライチェーン耐性の脆弱性がこれまで以上に顕在化しているとして、政府は貿易プラットフォームの活用等を通じた貿易手続のデジタル化を進めようとしています。貿易プラットフォーム活用補助金もその一環です。

 貿易プラットフォーム活用補助金の具体的な目標として、2028年度までに貿易プラットフォームを通じてデジタル化された貿易取引の割合を10%とすることを掲げています。

 そのうえで、補助金の対象となる事業は、主に以下の3つの類型に分けられます。

【類型1】 国内外の貿易プラットフォームサービスを利用しようとする日本国の法人が、当該貿易プラットフォームと自社システムを連携構築するもの。
【類型2】 日本国の法人が、国内外の貿易プラットフォームサービスを利用し、貿易手続デジタル化や貿易コスト削減の効果を検証するもの。
【類型3】 貿易プラットフォームサービスを提供する日本国の法人が、自社の貿易プラットフォームと国内外の貿易その他のプラットフォームを連携構築し、利便性向上を図るもの。

 補助対象となる事業者は、上記各類型に該当する日本国内で法人登記され、日本国内で事業を営む法人です。補助対象となる経費は、各類型におけるシステム連携構築や効果検証、プラットフォーム連携構築に必要な費用の一部です。
類型ごとの補助上限・補助率は以下の通りです。

類型 類型1 類型2 類型3
補助対象事業 貿易プラットフォームサービスを利用しようとする日本国の法人が、当該貿易プラットフォームと自社のシステムの接続を図るもの 日本国の法人が、貿易プラットフォームサービスを活用し、貿易手続デジタル化・貿易コスト削減の効果を検証するもの 貿易プラットフォームサービスを提供する日本国の法人が、貿易その他のプラットフォームと接続することで、貿易プラットフォームの利便性向上を図るもの
補助対象事業者 貿易プラットフォームサービスを利用しようとする
日本国の法人
貿易プラットフォームサービスを利用しようとする日本国の法人 貿易プラットフォームサービスを提供する日本国の法人
補助上限額 2000万円 1000万円 5000万円
補助対象経費 人件費、旅費、補助員人件費、委託・外注費、サービス利用経費(※類型2のみ)
補助率 大企業:1/2、中小企業:2/3

 1次公募期間は、令和7年5月19日(月)から令和7年6月16日(月)正午必着です。2025年度は計3回の公募を予定しています。

第1次公募 第2次公募 第3次公募
公募期間 2025年5月19日(月)〜6月16日(月)12時必着 2025年6月下旬〜7月下旬【予定】 2025年7月下旬〜8月下旬【予定】
審査~採択 7月下旬採択事業者決定【予定】 9月上旬採択事業者決定【予定】 9月下旬採択事業者決定予定】
実績報告および確定検査 2026年2月【予定】
補助金の支払い 2026年3月【予定】
フォローアップ報告 事業終了後5年間は、事務局または経済産業省からの貿易手続のデジタル化推進に関する問い合わせに応じてフォローアップ報告が必要

 応募申請は、原則として補助金申請システム「jGrants(Jグランツ)」を通じて電子申請で行います。jGrantsの利用にはgBizIDプライムアカウントの取得が必要であり、アカウント取得には時間を要する場合があるため、早期の利用登録が推奨されています。

 補助金事務局の公式サイトによると、公募説明会の動画が5月23日から公開予定です。

 採択にむけて、第三者の有識者で構成される委員会で審査します。審査は、以下の基準に基づいて総合的に評価されます。事業内容が公募要領で示す補助対象事業類型に合致するか、応募対象者・要件を満たすか、応募対象外の事業・事業者でないかなど、公募要領で示している必須事項を満たさない場合は、他の評価にかかわらず採択されません。

 そのほかの評価項目としては、貿易円滑化・コスト削減への貢献度、デジタル化への貢献度、システム接続・効果検証の明確性・効果性、費用対効果の見込み、貿易分野データの国際標準規格の活用・将来的な実装検討、貿易の国際標準・ルール策定関連団体活動への参加などがあります。ほかにも、賃上げ、ワークライフバランスの取り組みも評価されます。