目次

  1. 働き方改革推進支援助成金とは
  2. 助成金の目的と対象となる事業主
  3. 助成金申請に必要な「成果目標」の設定
  4. 助成対象となる具体的な取り組み
  5. 助成額と申請の流れ

 厚労省の公式サイトによると、2020年4月1日から、中小企業に、時間外労働の上限規制が適用されています。

 働き方改革推進支援助成金とは、生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援する助成金です。

 働き方改革推進支援助成金の対象となる事業主は、以下の条件をすべて満たす中小企業事業主です。

  • 労働者災害補償保険の適用を受けていること
  • 年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること
  • 交付申請時点で、後述する「成果目標」のいずれか一つ以上を設定するための条件を満たしていること

 働き方改革推進支援助成金助成金は、以下の「成果目標」から1つ以上を選択し、その達成を目指して取り組みを実施する必要があります。

  1. すべての指定対象事業場において、2025年度または2026年度内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下、または月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出を行うこと
  2. すべての指定対象事業場において、年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入すること
  3. すべての指定対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、「労働時間等設定改善指針」に規定された、特に配慮を必要とする労働者について事業主が講ずべき措置として、特別休暇の規定をいずれか1つ以上を新たに導入すること

 この成果目標に加えて、指定対象事業場で指定する労働者の時間当たりの賃金額を引き上げることを成果目標に加えることができます。

 働き方改革推進支援助成金助成金の支給対象となる取り組みは多岐にわたります。以下のいずれか一つ以上を実施することで、助成金の対象となります。

  • 労務管理担当者に対する研修
  • 労働者に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 人材確保に向けた取組
  • 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
  • 労務管理用機器の導入・更新
  • デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
  • 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(小売業のPOS装置、
  • 自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)

 ただし、パソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。

 助成額は、「成果目標」の達成状況に応じて、実施に要した経費の一部が助成されます。具体的な助成額は、選択した成果目標の上限額、または対象経費の合計額に補助率(原則3/4)を乗じた額のいずれか低い金額となります。

  • 成果目標①(月60時間超の36協定時間外・休日労働時間数縮減):達成レベルにより上限額50万~150万円
  • 成果目標②(計画的付与制度の新規導入):上限額25万円
  • 成果目標③(時間単位年休制度等新規導入):上限額25万円

 賃金の引上げを成果目標に加えた場合は、引き上げ人数と賃上げ率に応じて加算があります。

引き上げ人数 1~3人 4~6人 7~10人 11人~30人
3%以上引上げ 6万円 12万円 20万円 1人あたり2万円
(上限60万円)
5%以上引上げ 24万円 48万円 80万円 1人あたり8万円
(上限240万円)
5%以上引上げ 36万円 72万円 120万円 1人あたり12万円
(上限360万円)

 常時使用する労働者数が30人以下の中小企業事業主の場合は加算額が倍になります。

 申請の流れは以下の3ステップです。

  1. 「交付申請書」の提出(締切は2025年11月28日)
  2. 事業の実施(事業実施は2026年1月30日まで)
  3.  労働局に支給申請(事業実施予定期間が終了した日から起算して30日後の日、または2026年2月6日のいずれか早い日)