藤安醸造とは

 藤安醸造(本社・鹿児島市)は、創業した明治3年(1870年)以来、味噌、醤油、食酢などを通して、地元の食文化を支えてきた老舗です。その藤安醸造が2017年に高級調味料の新ブランド「休左衛門亭」を立ち上げました。開発リーダーを務めた創業家の藤安健志専務に聞きました。

専務の藤安健志さん

大手勤務を機に使命感「地域の味を残す」

――現在までのキャリアを教えてください

 私は藤安家の3人兄弟の次男として生まれました。長男が医療の道に進んだこともあり、私が高校生の頃に継ぐようにと告げられました。大学卒業後は藤安醸造に入社せずに、大手醤油メーカーに就職しました。現社長である父親も勤めていた会社でもあり、そこで東海地方、北陸地方の営業担当をしていました。

 東海地方も、北陸地方も、地場の醤油メーカーがスーパーの棚を確保しています。そこに大手メーカーが入るということは、半ば地域の味を塗り替えるように棚を確保するという仕事でした。この時に、いずれ地元に戻る自分は、逆の立場として地域の味を残すことが私の使命なのだなと感じるようになりました。

仕事を手伝おうとすると「大丈夫ですから」

――いつ藤安醸造に戻りましたか?

 今や笑い話なのですが、5年ほどたったころの上長面談時に「今年の3月で退職なんだってね」と話されて驚いたんです。帰ってこない自分を帰らせるために、父が上層部と話を付けていて、自分の知らないところで退職が決まっていました。

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