日本政策金融公庫から低金利の融資を受けるポイント【手順を解説】
日本政策金融公庫は、新型コロナや自然災害など経営環境の変化に対応するための中小企業、小規模事業者の資金調達に役立つ政府系金融機関です。ほかの金融機関よりも低金利で融資を受けやすい特徴があります。申し込みの手順を解説しつつ、メリットや注意点を税理士法人小林会計事務所の小林清所長に聞きました。
日本政策金融公庫は、新型コロナや自然災害など経営環境の変化に対応するための中小企業、小規模事業者の資金調達に役立つ政府系金融機関です。ほかの金融機関よりも低金利で融資を受けやすい特徴があります。申し込みの手順を解説しつつ、メリットや注意点を税理士法人小林会計事務所の小林清所長に聞きました。
目次
日本政策金融公庫(日本公庫)とは、政府が100%出資している金融機関です。「一般の金融機関が行う金融の補完」も目的としており、大規模な災害や新型コロナなど経済が大きく混乱するときにも金融支援をします。2008年に国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫などが統合してできました。
日本公庫には、個人事業主、中小企業、農林漁業者向けという3つの事業があります。中小企業向けには長期固定金利の融資があります。融資先は4.4万社で、平均融資額は1億200万円、融資の半分ほどが期間5年超で固定金利です。
中小企業経営力強化資金や、IT活用促進資金、事業承継・集約・活性化支援資金などたくさんありますので、日本公庫が示している融資制度一覧から会社の状況に合うものを選んでください。申請に必要な各書式は、日本公庫のサイトから入手してください。
ただし、利用できる企業は業種及び企業の規模(資本金・従業員)により定められています。詳しくは、こちら(PDF形式:60KB)で確認してください。
日本公庫の融資のなかで最近、注目を浴びたのが新型コロナ対策でした。小林会計事務所の小林所長は「売上高の減少という基準はありますが、既存の借り入れとは別枠で無担保・実質金利負担無しで融資を受けられます」と話します。
小林所長は、実際に融資を受けたケースのなかから次のような利点を挙げました。
ただし、注意点もあるといいます。
新型コロナ対応に限らず、ほかの金融機関と比べて低金利で融資が受けられます。公庫の融資を受けること自体が融資実績になり、今後、ほかの銀行で借りやすくもなります。
融資を受けたい場合は、まず相談の申し込みから始めましょう。小林所長は「必要書類や手順は、融資の種類や業種によって変わってきます。日本政策金融公庫の公式サイトで最新の情報を確認してください」と話します。
日本公庫によると、一般的な流れは以下の通りです。
公庫の各支店の中小企業事業の窓口へ相談してください。電話や、最寄りの 商工会議所での定例相談の場でも相談を受け付けています。会社案内、決算書、事業計画書などがあれば、より具体的な相談ができます。
融資を申し込むにあたり、以下のような資料が求められることがありますので、事前に必要な資料を確認してください。また、あらかじめ留意事項にも目を通しましょう。
公庫の職員が事業や計画の内容の理解を深めるために会社を訪れて面談し、融資を検討します。
融資が決まると、貸付契約、抵当権設定などの手続きをしたうえで、日本公庫から送金されます。資金は、原則として会社の預金口座に振込まれます。
日本公庫はほかの金融機関と比べて、審査が通りやすいとは言われていますが、それでも準備不足があれば、落ちてしまいます。
小林所長は「新型コロナ対策融資の場合には限りませんが、やはり会社の構造が公庫の信頼を得られるものではない場合は審査を通るのは難しいと思われます。資金の調達方法や資金ショートの問題、事業計画などを改善することが重要です」と話します。
税理士法人小林会計事務所長
横浜の中小企業を中心に、事業計画から資金計画、合理的な会計の仕組みを作り、人事の問題等のノウハウをこれから展開するステージに応じて経営のパートナーとしてサポートしてきた。事務所は、2019(令和元)年に設立40周年を迎えた。
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。