「自分の和菓子店を開きたい」

――三松堂を継がれるまでのキャリアを教えてください。

 東京の大学を卒業後、和菓子の道に進もうと考え、東京と青森の和菓子店で修業しました。どちらも名店として知られるお店で、東京では厳しい師匠の下で学び、青森ではもう少しのびのびとした環境で、新商品づくりまでを任せてもらっていました。

 修業に入った時点では実家のお菓子屋を継ごうとは考えておらず、秋田に帰って、自分の店を持とうと思っていたんです。

職人の死をきっかけに、家業を継ぐことに

――どうして継ぐことになったのでしょうか?

 青森での修業を終えて、家業のお手伝いに入りました。どこにお店を開こうかと場所を探していたのですが、私が戻って3年目、うちの職人が亡くなってしまったんです。

 私の父は職人ではなく経営者で、職人が私しかいなくなってしまいました。その職人が亡くなる前から、自分が好きだったお菓子の作り方は習ってはいました。完璧に仕事を覚えていたわけではなかったけれど、もう自分で継ぐしかなかったんです。

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