【事業再構築補助金とは】2021年募集予定 補助額や補助率、活用例を解説

2020年(令和2年)12月の閣議決定で、最大1億円が給付される「事業再構築補助金」の創設が発表されました。新規事業や事業転換、事業再編に取り組む中小企業、中堅企業を支援する補助金です。申請開始に向けて補助額や補助率、補助金が活用できる具体例などを紹介します。(2021年1月16日改訂)
2020年(令和2年)12月の閣議決定で、最大1億円が給付される「事業再構築補助金」の創設が発表されました。新規事業や事業転換、事業再編に取り組む中小企業、中堅企業を支援する補助金です。申請開始に向けて補助額や補助率、補助金が活用できる具体例などを紹介します。(2021年1月16日改訂)
事業承継補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響で、需要や売り上げの回復が難しいなかで、新規事業分野への進出等の新分野展開、業態転換、事業再編などに取り組む中小企業を支援する補助金です。
政府は2020年12月、新型コロナウイルス対策など総額21兆8353億円の追加歳出を盛り込んだ2020年度(令和2年度)第3次補正予算案を閣議決定しました。このなかで目玉となる事業の一つが、総額1兆1485億円の事業再構築補助金関連の事業です。
2020年12月の閣議決定では「付加価値の5割以上、雇用の7割を生み出すなど地域の経済を支える基盤である中小・小規模事業者に対して、淘汰を目的とするものではない」と明言した上で、生産性の向上、賃金の継続的な上昇につなげることが目的だと説明しています。
補助額と補助率は事業規模などに応じて4つのパターンがあります。
補助額は100万円以上6,000万円以下で、補助率は3分の2です。中小企業の定義については、中小企業基本法の通りです。
400社限定です。事業再構築を通じて中小企業から中堅企業または大企業へ成長する事業者を支援する特別枠です。そのため、通常枠に比べて、補助上限額を1億円まで引き上げ、より手厚い支援を受けられます。
計画期間内に、①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかのために、資本⾦または従業員を増やし、中⼩企業から中堅企業へ成⻑する事業者向けの特別枠です。補助額6,000万円超~1億円以下で、補助率は3分の2です。
補助額は100万円以上8000万円以下で補助率は2分の1です。ただし、補助額が4000万円超の場合、補助率は3分の1となります。
中堅企業の定義については、公募要領で公表される予定です。
100社限定で、以下の3つの条件をすべて満たす中堅企業向けの特別枠です。補助額は8000万円超~1億円以下で、補助率は2分の1です。
補助となる企業は次の通りです。
認定支援機関の一覧については、中小企業庁のサイトで確認してください。
補助対象の経費としては、たとえば、下記のような項目が当てはまります。
建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)など。
ただし、補助対象となった企業の従業員の人件費や旅費は補助対象外となりますので、注意が必要です。
対象となる事業の具体例として「第1回中堅企業・中小企業・小規模事業者の活力向上のための関係省庁連絡会議」などの資料で業種別に紹介されています。事業再構築の具体例は次の通りです。
産業機械向けの金属部品を製造している事業者が、人工呼吸器向けの特殊部品の製造に着手、新たに工作機械を導入する。
光学技術を用いてディスプレイなどを製造している事業者が、接触感染防止のため、タッチレスパネルを開発する。医療現場や、介護施設、公共空間の設備等向けにサービスの展開を予定している。
ガソリン⾞の部品を製造している事業者が、コロナ危機を契機に従来のサプライチェーンが変化する可能性があるなか、今後の需要拡⼤が⾒込まれるEVや蓄電池に必要な特殊部品の製造に着⼿し、⽣産に必要な専⽤設備を導⼊する。
これらの場合は、たとえば、需要が減少した事業の圧縮にかかる設備撤去の費用、新規事業に従事する従業員への教育のための研修費用などが補助対象となる見込み。
売上が激減した飲食店が客席や厨房等の設備を縮小して経費を節減。その一方で、オンライン上で注文を受付できるサービスを導入。宅配や持ち帰りにも対応する。
飲食店が、観光客の三密回避のため、来客データの収集と分析を行い、来店予測、混雑予報AIを開発する。飲食店をはじめ様々な業種にサービスを展開する。
この場合は、店舗縮小にかかる建物改修の費用、新規サービスにかかる機器導入費や広告宣伝のための費用などが補助対象となる見込み。
小売店が店舗への来客数減少に伴い、売上が激減したことを契機に店舗を縮小、ネット販売事業やサブスクリプションサービス事業に業態を転換する。
この場合は、店舗縮小にかかる店舗改修の費用、新規オンラインサービス導入にかかるシステム構築の費用などが補助対象となる見込み。
金属表面処理技術を活かし、銀の抗菌被膜を形成する抗ウイルス製剤の製造に着手、生産ラインを新規に立ち上げて主力事業化する。
宿泊客数が激減し、ホテルの稼働率が低下している中、テレワークの拡大を受けて、客室をテレワークルームやコワーキングスペースに改造して不動産賃貸業に業種転換する。
事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%(⼀部5.0%)以上増加、または従業員⼀⼈当たり付加価値額の年率平均3.0%(⼀部5.0%)以上の増加を目指しています。
付加価値額の求め方ですが、ものづくり補助金でも同じような事業計画が求められており、これを参考にすると、付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費として計算できます。
経済産業省が公表している事業概要に「電⼦申請のみを受け付けます」と明記されており、申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要となる見込みです。未取得の場合は、事前のID取得をお勧めします。
2020年度(令和2年度)第3次補正予算が2021年に開かれる国会で成立した後、数カ月以内に申請手続きが始まる見込みです。
今回の補助金の特徴は、最大1億円に上る補助額です。新型コロナウイルス感染症の影響の下で経済社会の変化に対応しようと、新規事業への進出、業態転換を考えている企業にとっては追い風になります。
原則として、同一の事業や機械装置について、ものづくり補助金など別の国の補助金と同時に受給することはできません。
また、事業再構築補助金に申請しても審査、採択の後の支給のため、時間がかかります。申請してもすべての企業が採択されるわけではないことにも注意が必要です。
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