目次

  1. 緊急事態宣言はいつからいつまで?
  2. 飲食店やカラオケボックスには時短要請
  3. 厚労省が発表した支援とは
  4. 生活費に困っている労働者向けの支援
  5. 売上減少の中小企業などに最大60万円支給

 政府が2021年1月7日に発表した緊急事態宣言は、首都圏を中心に、新規感染者は急増し医療体制がひっ迫している現状に歯止めをかけるのが目的です。
 期間は1月8日から埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県(1都3県)で始まりました。住民に対し不要不急の外出や移動について自粛を要請しています。事業者にも「出勤者数の7割削減」を目指し、テレワークやローテーション勤務、時差通勤などを要請しました。

 1月13日には、大阪、京都、兵庫の関西3府県と、愛知、岐阜の東海2県、福岡、栃木の両県の計7府県も追加されましたが、栃木県は2月8日に解除され、大阪・兵庫・京都の関西3府県、愛知・岐阜の東海2県と福岡県は2月28日に解除されます。

 埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県(1都3県)は延長され、3月21日に解除される予定です。

 飲食店やカラオケボックスなどへ、営業時間の短縮(営業は20時まで、酒類の提供は11時から19時まで) を要請しています。時短要請で支払う「協力金」は月30日換算で120万円から180万円へ引き上げます。遊戯場や大規模な店舗などに対しても、飲食店と同様の働きかけをしています。

緊急事態宣言の前回と今回の比較(1月8日付け朝日新聞デジタルから引用)

 緊急事態宣言の支援策として、以下の内容を厚労省が発表しています。シフト制、日々雇用などでも、仕事がなくなった日にも雇用関係が継続するなど、要件を満たせば対象となります。

  • 雇用調整助成金の新型コロナウイルス感染症特例
  • 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
  • 産業雇用安定助成金(仮称)

3-1.雇用調整助成金の新型コロナウイルス感染症特例

 雇用調整助成金とは、新型コロナの影響で、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、労使間の協定に基づき、「雇用調整(休業)」を実施する事業主に、休業手当などの一部を助成するものです。

 政府は1月22日、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで現行措置を延長する予定だと発表しました。緊急事態宣言が3月7日に解除された場合、4月末までとなります。

 雇用調整助成金は、1日1万5000円を上限として休業手当に対し助成します。これまで、中小企業は総額の5分の4(解雇しない場合は満額)、大企業の場合は3分の2(解雇しない場合は4分の3)まで助成してきました。

雇用調整助成金の仕組み(厚生労働省のパンフレットから引用)

 今回新たに大企業の場合も、各府都県の知事による営業時間短縮要請に協力した場合は満額まで助成を引き上げます。

 これに加え、売上高などが前年または前々年の同期と比べ、最近3か月の月平均値で30%以上減少した全国の大企業について、緊急事態宣言が解除された月の翌月末まで、雇用調整助成金等の助成率を以下のとおりにする予定です。

  • 解雇等を行わない場合の助成率……満額(これまでは4分の3)
  • 解雇等を行っている場合の助成率……5分の4(これまでは3分の2)

 さらに、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌々月から、雇用情勢が大きく悪化しない限り、原則的な措置を段階的に縮減します。

 雇用調整助成金などの1人1日あたりの助成額の上限を現行の1万5千円から1万3500 円とします。事業主が解雇などをせず、雇用を維持した場合の中小企業の助成率を満額から10分の9とします。

雇用調整助成金の特例措置による雇用維持(厚生労働省のサイトから引用)

 その一方で、感染が拡大している地域・特に業況が厳しい企業について特例を設ける予定です。具体的には、売上高などが前年または前々年の同期と比べ、最近3か月の月平均値で 30%以上減少した全国の事業所の雇用維持を支援するため、上限額 1万5000 円、助成率は最大で満額を維持します。

 こうした変更について、厚労省のハンドブック(PDF形式:1.76MB)にも随時反映される見込みです。

3-2.新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

 中小企業の労働者で、会社から休業手当の支払いを受けられない場合は1日1万1000円を上限として、休業前の賃金の8割を支給します。

3-3.産業雇用安定助成金(仮称)

 コロナ禍において事業活動の一時的な縮小を余儀なくされ、労働者の雇用を在籍型出向により維持するため、労働者を送り出す事業主と労働者を受け入れる事業主に対して、一定期間の助成をする制度(PDF形式:444KB)です。こちらは、令和2年度第3次補正予算成立後速やかに実施すると説明しています。

 夜間営業の制限で生活費に困っている労働者向けの支援としては次の2つを案内しています。

  • 緊急小口資金・総合支援資金(生活費)
  • 住居確保給付金(家賃)

4-1.緊急小口資金・総合支援資金(生活費)

 休業などで一時的な資金が必要な人や、失業などで生活の立て直しが必要な人に向けた貸付です。2022年(令和4年)3月末より前に返済時期が来る予定の貸付について、返済の開始時期を同年3月末まで延長します。

  • 緊急小口資金:20万円(上限)
  • 総合支援資金:20万円/月×3月=60万円(上限)*日常生活の維持が困難な場合、3か月以内の延長貸付あり

4-2.住居確保給付金(家賃)

 休業などに伴う収入減少等により住居を失うおそれのある人に対して、家賃相当額を原則3か月(最長9か月、2020度中に新規申請した方は最長12か月)支給します。

 さらに政府は1月22日、再支給する方針も明らかにしました。申請は、自治体や社会福祉協議会などで2月上旬から受け付ける見込みです。

 政府は、緊急事態宣言による飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛により影響で、売上が減少した中堅・中小企業に対し、最大60万円の一時金を支給すると発表しました。イベント中止の経費も負担します。

 政府は宣言を解除しても、午後8時までとしている飲食店への営業時間の短縮要請について、一部緩和しながら続ける見通しです。要請に応じた店への協力金の上限は、現在の6万円から4万~2万円となります。イベント制限は段階的に緩和しますが、全国で停止している観光支援策「Go To トラベル」の再開は当面、先送りします。

緊急事態に伴う中小企業などへの支援(2021年1月15日時点の経済産業省のサイトから引用)