プロジェクト管理の手法を専門家が解説 代表的な3つを図解つきで紹介
事業承継を終えると経営者として実現したい目標が色々と出てきます。その目標を達成するために重要なのが、プロジェクト管理です。この記事では、プロジェクト管理について、その目的や管理手法などを紹介しています。
事業承継を終えると経営者として実現したい目標が色々と出てきます。その目標を達成するために重要なのが、プロジェクト管理です。この記事では、プロジェクト管理について、その目的や管理手法などを紹介しています。
目次
プロジェクト管理とは、ある目的を達成するため実行されるプロジェクトを成功に導く一連の管理プロセスをいいます。
プロジェクトとは、ある目的を達成するために策定し、実行される計画のことをいいます。その特徴は
があります。
プロジェクトは、事業に直接関連するものと間接的に関連するものがあります。
事業そのものに直接関連するものとしては、建設業の工事商談管理、IT事業者のいるソフトウェア開発管理などがあります。メンバーがある程度限定されること、売り上げに対するコスト管理を重視するのが特徴です。
事業には直接関連しないプロジェクトとしては、システム導入、決算早期化、TQC(全社的品質管理)などがあります。事業承継もプロジェクトの一つといえるでしょう。
特徴は、特定の部門だけではなく、製造、営業、管理部門など全社的な取り組みになる、業務効率化や社員の資質向上など定性的な目標も設定されるなどです。
プロジェクト管理の目的は、計画通したスケジュールやコストで目標を達成することにあります。一般的にプロジェクトは、立ち上げ、計画、実行、分析・評価、完了の流れとなります。
プロジェクト管理とは、目標を達成するために、「ヒト・モノ・カネ・情報・時間」のリソースを管理し、配分することです。
プロジェクト管理の手法は様々ですが、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は、プロジェクト管理に関するノウハウや手法を体系立ててまとめたもので、現在では、プロジェクト管理の事実上の標準となっています。
PMBOKは、プロジェクト管理に関する知識を10のエリアに分類し、それにそってプロジェクトをコントロールしていきます。
もちろん、プロジェクトの目的や規模は様々ですので、プロジェクトによって重視する知識エリアは異なってきます。
プロジェクト管理の目的は、次の3つです。
当然のことですが、プロジェクトを完了させ、目標を達成することが一番重要です。しかし、プロジェクトが途中で頓挫した事例は少なくありません。
例えば、ERP(企業経営の基本となる資源要素(ヒト・モノ・カネ・情報)を適切に分配し有効活用するソフトウェア)導入プロジェクトでは、計画が中途で頓挫し、顧客・IT事業者間でトラブルとなった事例もあります。
プロジェクトが何とか完了しても、予定したコストを大きく超過したり、スケジュールが大幅に遅れたりするとプロジェクトが失敗したと評価されます。
特に、工事商談やソフトウェア開発商談など事業に直接関連する商談では、QCD(品質・コスト・スケジュールの3つの管理)の目標値を達成することは厳しく求められます。
QCDの悪化は、自社だけでなくお客様に多大な迷惑をかけることになり、今後の事業展開にも悪影響を及ぼす可能性があります。
プロジェクトを進める中で最大のリスクは、プロジェクトの中止やQCDの悪化を招く事象の発生です。
プロジェクト管理でのリスク管理は、プロジェクトにマイナスとなる事象が起きる確率と影響度を少なくさせることです。
例えば、メンバー間の情報の伝達や共有などコミュニケーションを良好に維持できれば、リスクの発生確率が減少します。
プロジェクト管理を進めるうえでの注意点は三つあります。
プロジェクトは、複数のメンバー、時には社外のメンバーも参加して実行されます。
メンバーひとりひとりがゴールをきちんと理解し共有していないとプロジェクトの方向性がぶれてしまいます。
共有すべきことの一つに、プロジェクトの成果を最終的に評価するのは誰かということがあります。
例えば、経営者視点でBPR(Business Process Re-engineering、業務改革)を前提としたシステム導入が、現場の声に押されて、今の業務プロセスの延長線上に再構築されてしまい、当初のゴールが達成されない……といった事例をよく見かけます。
プロジェクトの評価者がいつのまにか経営者から現場になってしまったことで、当初のゴールである業務改革がブレてしまったのです。
プロジェクト管理では、プロジェクトの見える化が重要です。タスクやスケジュールなどの見える化を行うことで、プロジェクト作業の進捗管理が把握できます。
見える化によりメンバー間での情報共有ができるようになり、リソース不足などの問題が発生した場合も速やかな対応により標準化が図れます。
プロジェクト管理ツールは、プロジェクトの進行状況を効率的に管理するソフトウェアです。
エクセルなどアナログな方法では、入力、更新、伝達・共有などに手間暇がかかり、また不正確なこともあります。
今では、規模や重視する管理項目などに応じた様々なプロジェクト管理ツールが提供されています。
世界標準の管理ツールであるPMBOKでは、知識は10のエリアに分類されていますが、すべてのプロジェクトにPMBOKを適用すると逆に非効率になることもあります。
特に、メンバー数が少なかったり、期間が短かったりするとプロジェクト管理自体に工数がかかってしまいがち。
そのため、プロジェクトごとに重視する知識エリアに有効な手法を採用することが大切です。
多くのプロジェクト管理で重視される「スケジュール管理」「タスク管理」「コスト管理」には、つぎのような管理手法があります。
ガントチャートとは棒グラフの一種で、横軸に「タスク」「成果物」「担当者」「スケジュール」などを表現した表です。QC活動の七つ道具の一つとして多くの企業で採用されています。
ガントチャートのメリットは、全体の計画や進捗状況が一目でわかりやすく、全体像がつかめることです。
ガントチャートを使うとタスクごとの進捗状況をメンバー間で共有でき、タスクの優先度など調整が容易になります。
そのため、ガントチャートは、期間が長く、メンバーやタスクが多いプロジェクトに有効なツールです。
例えば、決算早期化プロジェクトやTQC活動は、参加メンバーも各部門であり、また、成果を出すまで時間がかかるためガントチャートが有効です。
WBSはWork(作業) Breakdown(分解) Structure(構成)の略で、作業を分解して構造化する手法です。
プロジェクトに必要なタスクを洗い出し、タスクの関連性や時間・担当者を決めて一覧表にします。
WBSのメリットとして、プロジェクト全体が把握できること、タスクの関係性が見えること、メンバー間でタスク範囲の共通認識ができることにあります。
特に、業務経験の少ないメンバーや社外メンバーが多いプロジェクトでは、タスク範囲や関連性を明確にするために必須のツールとなります。
ガントチャートを作成する前に、WBSでタスクの洗い出し・構造化を行うことで、精度の高いスケジュールやコストを計画することができます。
EVM(Earned Value Management)とは、プロジェクトが滞りなく進んでいるかどうかを、予定されていた予算額(PV)と完了した作業量(EV)、使用したコスト(AC)を比較しながらチェックする方法です。
EVMの特徴は、コストやスケジュールの進捗状況を、同じ尺度で捉えられる点です。
当初の計画よりも遅れが生じていたら、プロジェクト完了までに要する時間やコストを算定し直せます。その計算式や意味合いは複雑ですので詳細は省略いたします。
建設業やソフトウェア会社などは、プロジェクト(商談)単位の損益が会社の損益に直結しますので、この手法を使って最終損益を予想しているところもあります。
プロジェクトを成功させるためには、プロジェクト管理をきちんと行って、「ヒト・モノ・カネ・情報・時間」のリソースを適切に配分することが大切です。
プロジェクト管理の手法には色々なものがあり、現在では、数多くの支援ツールも提供されています。
まずは、事業承継に関連して一つのプロジェクトを立ち上げてみてはいかがでしょうか。
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