目次

  1. 人材確保等支援助成金とは
  2. 人材確保等支援助成金の申請の流れ
  3. 生産性要件とは
  4. テレワークコースは新設
    1. 機器等導入助成
    2. 目標達成助成
  5. 雇用管理制度助成コースは維持
    1. 雇用管理制度整備計画の作成
    2. 計画にもとづく雇用管理制度の導入
    3. 申請は計画期間終了から12カ月後
  6. 人事評価改善等助成コースは一部廃止
    1. 助成金額
  7. 設備改善等支援コースは廃止
  8. 働き方改革支援コースは廃止
  9. 介護福祉機器助成コースは一部廃止
    1. 対象となる機器
    2. 目標達成
    3. 助成金額
  10. 介護・保育労働者雇用管理制度助成コースは廃止
  11. 中小企業団体助成コースは維持
    1. 助成金額

 人材確保等支援助成金とは、魅力ある職場づくりをすることで人材確保や人材育成につながるよう事業主や事業協同組合などが活用できる厚生労働省の助成金です。

 補助金と違い、決められた要件を満たしていればほぼ支給されるという特徴があります。ただし、申請してすぐに支給されるものではないので注意してください。

 これらの助成金を受ける際は、都道府県労働局に計画書を提出し、認定を受けた上で、各コースが規定する要件を満たす必要があります。

 要件の詳細や申請先は、都道府県労働局の職業安定部職業対策課(助成金センター)へ問い合わせてください。

 人材確保等支援助成金を申請する前に知っておきたいのが「生産性要件」です。生産性要件とは、生産性を向上させた事業所が労働関係の助成金の一部を利用するときに、助成額または助成率の割り増しが受けられる制度です。主な条件は次の通りです。

  • その3年度前に比べて6%以上生産性が向上していること
  • その3年度前に比べて1%以上6%未満生産性が向上し、金融機関から一定の「事業性評価」を得ていること

 ただし、3年度前の初日に雇用保険適用事業主であることが必要です。「事業性評価」などについて、詳しくは厚生労働省のパンフレット(PDF方式:316KB)を参照してください。

 2021年度から、テレワークコースが新設されます。厚労省の公式サイトによると、助成対象となる取り組みは以下の通りです。機器等導入助成と、目標達成助成の2段階となっています。

  • 就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
  • 外部専門家によるコンサルティング
  • テレワーク用通信機器の導入・運用
  • 労務管理担当者に対する研修
  • 労働者に対する研修

 2021年12月、助成金の給付対象が拡充されました。具体的には、仮想デスクトップやウイルス対策などテレワーク用サービス利用料も新たに助成対象になったほか、テレワーク勤務を試行的に導入している、または試行的に導入していた事業主も対象となります。

 下記のことを事業主が実施する必要があります。

  1. テレワーク実施計画を作成し、労働局に提出して認定を受ける
  2. 計画認定日以降、助成金の支給申請日までに、テレワークに関する内容を規定した労働協約又は就業規則を整備する
  3. 1.のテレワーク実施計画にもとづいて取り組む
  4. 評価期間に、1回以上、対象の労働者全員がテレワークを実施する。さらに評価期間に対象の労働者が週平均1回以上テレワークを実施する

 支給額は、1企業あたり、支給対象となる経費の30%です。ただし、以下のいずれか低い方の金額が上限となります。

  • 1企業あたり100万円
  • テレワーク実施対象労働者1人あたり20万円

 下記のことを事業主が実施する必要があります。

  1. 評価期間後1年間の離職率が、計画提出前1年間の離職率以下であること。
  2. 評価期間後1年間の離職率が30%以下であること
  3. 評価期間初日から1年を経過した日からの3か月間に1回以上テレワークを実施した労働者数が、評価期間初日から1年を経過した日における対象事業所の労働者数に、計画認定時点における対象事業所の労働者全体に占めるテレワーク実施対象労働者の割合を掛け合わせた人数以上である

 支給額は、1企業あたり、支給対象となる経費の20%となります。生産性要件を満たす場合は35%です。ただし、以下のいずれか低い方の金額を上限となります。

  • 1企業あたり100万円
  • テレワーク実施対象労働者1人あたり20万円

 評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間正社員制度(保育事業主のみ)を通じて従業員の離職率の低下に取り組む事業主が助成を受けられます。2021年度も継続されます。支給までの流れは次の通りです。

 上記5つの制度を導入する計画をつくり、都道府県労働局に提出し認定を受ける必要があります。

 計画にもとづき、決められた実施期間内に制度を導入・実施する必要があります。このとき、制度の内容は労働協約または就業規則に明文化されている必要があります。

 計画を提出する前の1年間の離職率よりも、目標値以上に下げられれば、助成金の支給申請ができます。申請は計画期間が終わってからさらに12か月後となります。目標値は対象事業所の雇用保険一般被保険者の数によって変わります。目標が達成されれば57万円助成。生産正要件を満たしていれば72万円を助成となります。

 生産性向上に資する人事評価制度を整備し、定期昇給のみによらない賃金制度を設けることを通じて、生産性の向上、賃金アップ、離職率の低下を目指す事業主に対して助成されます。①制度設備助成と、②目標達成助成の2段階の助成でしたが、2021年3月31日で①制度設備助成は廃止されます。

 制度設備助成を申請したい場合は、2021年3月31日までに人事評価制度整備計画を、管轄の都道府県労働局の助成金窓口に提出する必要があります。

 制度整備助成は人事評価制度などを整備し、賃金アップの実施した場合に50万円が助成されます。目標達成助成は従業員の2%以上の賃金アップ、生産性向上、離職率の低下が図られた場合に80万円が助成されます。

 雇用管理の改善を図る事業主が、「雇用管理改善計画」を作成し、当該計画に係る設備投資を行い、一定の雇用管理改善及び生産性の向上を達成した場合に助成されます。ただし、2021年3月31日で廃止される予定です。

 詳しくは、リーフレット「人材確保等支援助成金(設備改善等支援コース)は令和3年3月31日をもって廃止を予定しています」(PDF方式:200KB)を確認してください。

 働き方改革のために人材を確保することが必要な中小企業事業主が、新たに労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を達成した場合に助成されます。ただし、2021年3月31日で廃止される予定です。

 詳しくは、リーフレット「人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)は令和3年3月31日をもって廃止を予定しています」(PDF方式:164KB)を参照してください。

 労働者の身体的負担を軽減するため新たな介護福祉機器の導入などを通じて従業員の離職率の低下に取り組む介護事業主に対して助成されます。①機器導入助成と②目標達成助成の2段階の助成でしたが、2021年3月31日で①機器導入助成は廃止されます。

 機器導入助成を申請したい場合は、2021年3月31日までに導入・運用計画書を、管轄の都道府県労働局の助成金窓口に提出する必要があります。

移動・昇降用リフト(立位補助器、非装着型移乗介助機器を含む。)
装着型移乗介助機器
体位変換支援機器
特殊浴槽

 計画を提出する前の1年間の離職率よりも、目標値以上に下げられれば、助成金の支給申請ができます。申請は計画期間が終わってからさらに12か月後となります。目標値は対象事業所の雇用保険一般被保険者の数によって変わります。

 目標達成助成は離職率低下できた場合に、150万円を上限に、導入費用の20%(生産性要件を満たした場合は35%)が助成されます。

 賃金制度の整備を通じて従業員の離職率の低下に取り組む介護・保育事業主に対して助成されます。ただし、2021年3月31日で廃止される予定です。
詳しくは、リーフレット「介護・保育労働者雇用管理制度助成コースの廃止について」(PDF方式:128KB)を確認してください。

 改善計画の認定を受けた中小企業団体(事業協同組合等)が構成中小企業者のために、人材確保や従業員の職場定着を支援するための事業を行った場合に助成されます。2021年度も継続されます。

 中小企業団体が構成中小企業者に労働環境向上事業を実施した場合に、費用の3分の2が助成されます。上限額は、団体の規模に応じて600~1000万円です。