ライトウェイトスポーツカーを修復させる「匠」の工場を公開
ロータス・カーズやケータハム・カーズといった英国の小型スポーツ車「ライトウェイトスポーツカー」を専門に扱う自動車整備工場「杉山自動車工業」(静岡県三島市)では、これまでに2800台を修復してきました。国内でも数少ないボディ修復を手がける工場や作業の様子などの写真を紹介します。
ロータス・カーズやケータハム・カーズといった英国の小型スポーツ車「ライトウェイトスポーツカー」を専門に扱う自動車整備工場「杉山自動車工業」(静岡県三島市)では、これまでに2800台を修復してきました。国内でも数少ないボディ修復を手がける工場や作業の様子などの写真を紹介します。
杉山自動車工業(愛称:スギジ)は、ロータスエラン、ヨーロッパ、スーパー7(LOTUS・CATEHAM・バーキン)、ニューロータス(ELISE・EXIGE)、ミニなど英車の車検、一般整備(修理)、鈑金塗装(FRP・フレーム修正)を手がけています。
ライトウェイトスポーツカーに多いのは、繊維強化プラスチック(FRP)ボディです。ボディをFRPにすると軽くできる一方、修理や手入れには手間がかかります。FRPは風雨に弱く、ボディの塗装も丁寧な手入れをしないと劣化しやすいのです。長年乗り続けていると変色や変形が起き、サーキットで走ってボディをこすれば、大きな損傷することもあります。
塗装や補修だけでなく、限りなくオーナーの要望に沿った復元ができる工場は、スギジを含め、日本でも限られているといいます。
そこで、FRPボディに穴が開いてしまった場合、どう対処するのでしょうか?そこで、「匠」の技術を持つスギジの杉山公男社長に詳しい修復方法を聞きました。
↓ここから続き
FRPボディーの中でも、ロータスエラン、ロータスヨーロッパなどはメインフレームが貧弱で、FRPボディーとメインフレームが一体となって剛性を保っています。そのためにエアロパーツを簡単に直すような考えで作業をすると、ボディー合成不足やクラックの発生が起きてしまいます。
そこで、表面だけ綺麗に仕上げるだけではなく芯から元通りに仕上げる必要があります。
FRPボディーに穴を開けてしまった場合は作業方法としては3種類の作業があるかと思います。今回は、穴の部分の繊維がなくなり、完全に穴が開いた場合を想定しています。どの作業も境目がなくなるように作業をするのがコツです。
穴の大きさが5~10センチ程度であれば、裏面からレベルを出しながら固定し、表面にマットを積層し仕上げ、さらに裏面にマットを貼って強度をコントロールしていきます。強度差が出ないよう元の状態より厚くならないように心がけています。
穴がさらに大きい場合は、穴の内側に発泡ウレタンを発泡させてウレタン面をボディーラインに合わせ削ります。ただこの時にボディーの厚み分だけ下げてラインを作りその上にマットを積層し仕上げていきます。
費用がかかるのと、パーツを見つけるのに時間がかかってしまいます。この作業もカットした切り口が作業が終わった時にはまったく分からないようにFRPマットの貼り込みをします。
(続きは会員登録で読めます)
ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。
ライトウェイトスポーツカーの整備中の様子
ライトウェイトスポーツカーがならぶ杉山自動車工業
ケータハム・スーパーセブンのスプレーアート
2018年9月にツーリングで訪れた富山県氷見市。手前からロータスエリーゼ ルノースピーダー、ロータスエスプリ、ロータスヨーロッパ、ケーターハムスーパーセブン5台
岐阜県高山市を2019年10月にツーリングしたときの様子。ロータスエリーゼ 、バーキンセブン、ロータスヨーロッパ、ケーターハムスーパーセブン、BMC MONOが並ぶ
岐阜県高山市を2019年6月にツーリングしたときの様子。バーキンセブン、ロータスエリーゼ、ロータスヨーロッパ、ケーターハムスーパーセブン、ルノースピーダーなどが並ぶ
杉山自動車工業の整備工場内の様子
杉山綾野さん(左)と公男さん
1990年、湘南ヒストリックカークラブのジムカーナの様子
杉山自動車工業の2代目社長の杉山公男さん(右)と3代目の綾野さん。杉山自動車工業(静岡県三島市)は1966年創業で、1960~80年代にかけてイギリスを中心に販売されていたライトウェイトスポーツカー専門の自動車整備工場。公男さん、綾野さんを含む5人が取り扱うのは車検、修理、鈑金塗装など(写真はいずれも杉山自動車工業提供)
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。