目次

  1. 就業規則を変更するタイミング
    1. 就業規則の見直しチェックリスト
    2. 労働関連の法改正チェック方法
  2. 就業規則未作成のリスク
    1. 問題がある従業員に懲戒が行えない
    2. 欠勤などの不就労への対応が出来ない
    3. 助成金や奨励金の申請が出来ない場合も
  3. 就業規則の変更手順
    1. 労働者代表の意見を聴きながら改定案を作成
    2. 就業規則・就業規則変更届・意見書を作成
    3. 遅滞なく所轄労働基準監督署へ提出
    4. 労働者へ周知
  4. 就業規則変更の事例
  5. ワードのアウトライン機能を使って番号管理を楽に
    1. ワードの「新しいアウトラインの定義」を開く
    2. アウトラインレベル1見出しの設定を行う。
    3. アウトラインレベル2「章」の設定を行う
    4. アウトラインレベル3「条」の設定を行う
    5. アウトラインレベル4「項」の設定を行う
    6. アウトラインレベル5「号」の設定を行う

 就業規則は会社のルールブックとして、労働者に対する待遇の根拠となるものです。

 常時10人以上の労働者を使用する事業場の使用者は就業規則を作成して、労働基準監督署へ届け出る義務があります(労働基準法第89条)。

 就業規則の変更や見直しのタイミングとしては、労働関連の法律(労働契約法、育児・介護休業法、パートタイム・有期雇用労働法など)が改定施行されたときや内容と会社の実態が乖離(かいり)したとき、また、経営状況が著しく悪化し変更せざるを得ないときが考えられます。

 就業規則には多くの労働関連の法律が関係しています。

 2016年(平成28年)から2021年(令和3年)4月1日までに改定された法律を中心にチェックリストを作成しました。現在の就業規則に当てはまる事項があればいま一度、就業規則の変更を検討してみてください。

  • 介護休業の分割取得ができない
      本来:対象家族1人につき通算93日まで3回の分割取得が可能
  • 介護を行う労働者に対して所定外労働(残業)・深夜労働の免除制度がない
      本来:介護期間は所定外労働(残業)・深夜労働の免除を請求できる権利を設ける
  • 育児休業期間の延長について、子が1歳6カ月に達した時点までとなっている
      本来:最長2歳まで延長が可能
  • 小学校入学までの子を養育する労働者が、育児目的で利用できる休暇制度がない
      本来:労働者の性別に関係なく育児目的で取得できる休暇制度を設ける
  • 子の看護休暇や介護休暇の規程がない/日単位の取得しかない/休暇取得できる労働者が限定されている
      本来:全ての労働者が時間単位での取得が可能
  • パートタイム・有期雇用労働者がいるが相談窓口を設けていない
      本来:相談窓口を設けて対象労働者へ周知する
  • 正社員と同一の労働条件(業務の内容、責任の程度、職務内容・配置転換の有無と範囲)で働く非正規社員がおり、待遇に差がある
      本来:不合理な待遇差を設けない
  • 正社員と非正規社員がおり、待遇に差があるが根拠は説明できない
      本来:各待遇差について、客観的・具体的な実態に照らして根拠を明確にし、労働条件通知書もしくは就業規則に記載する
  • 時間外労働・休日労働を行っているが就業規則に記載していない、もしくは法律上限(原則月45時間・年間360時間)を超えている
      本来:就業規則に時間外労働・休日労働に関する定めをしたうえ、36(サブロク)協定の提出が毎年度必要
  • マイナンバー(個人番号)を預かって年末調整や雇用保険・社会保険手続きを行っているが就業規則にマイナンバーに関する記載や附則がない
      本来:マイナンバーを含む特定個人情報の保護・取り扱い・利用目的を定めて運用を行う

 上記チェックリストを使いやすくエクセル形式にまとめたものもご用意いたしましたので、ご活用ください。

 労働関係の法律改正をその都度チェックするのは、経営者にとって手間であり、つい後手になりがちな作業だと思います。

 顧問の社会保険労務士がいる場合は情報提供がされますが、そうでない場合は「年に一度3月に、東京労働局の法改正のご案内一覧をチェックする」ことをおすすめします。

 当該ページは全国の事業者が把握しておくべき労働関係の法改正内容が簡潔にまとめられているうえ、厚生労働省へのリンクもあるので東京都内の経営者に限らず便利なページです。

 法改正は年度の途中でも行われますが、適用・運用が開始される改定施行時期は4月1日からのものがほとんどです。

 外部から情報提供がされない経営者の方は、3月中に東京労働局のページを見て、対応しなければならない事項について把握されるとよいと思います。

「東京労働局:法改正のご案内」公式サイトはこちら

 就業規則の作成義務や届け出義務に違反した場合は、30万円以下の罰金が科せられる場合があります(労働基準法第120条)。

 また労基法に違反した罰則だけではなく、次のようなリスクも考えられます。

  • 問題ある従業員が居ても懲戒が行えない
  • 欠勤などの不就労への対応が出来ない
  • 助成金や奨励金の申請が出来ない場合がある

 それぞれのリスク解説と、厚生労働省が公開しているモデル就業規則より参考となる条文番号を挙げていきます。不安がある方は参照してみてください。

「厚生労働省:モデル就業規則について」公式サイトはこちら

 就業規則の内容は、必ずルールを定めて記載しなければならない「絶対的必要記載事項」と、ルールを定める場合には記載しなければならない「相対的必要記載事項」に分けられます。

 懲戒(制裁)に関する事項は相対的必要記載事項ですので、懲戒について定める場合には就業規則に記載しなければならない事項です。ただ、相対的事項ではありますが、懲戒事項を記載していない就業規則を私は見たことがありません。

 もし就業規則に懲戒に関する記載がないとどうなるでしょうか。業務怠慢や職場の風紀を乱す労働者がいたとしても、根拠がないため懲戒処分を行うことが出来ず、仮に解雇とした場合には不当な解雇として訴えられる可能性があります。

 モデル就業規則では、第51条解雇・第65条懲戒の種類・第66条懲戒の事由、が参考になります。

 欠勤・遅刻・早退など、労働に従事していなかった時間(不就労)分の賃金については支払う必要がありません。これはノーワークノーペイの原則といわれ、就業規則に定めておかなくとも適用となるものです。

 しかし、現実的には不就労への対応(不就労に対する制裁・不就労減額の計算根拠)を、就業規則で明確にしておかないと、労働者トラブルの原因となりやすいです。

 モデル就業規則では、第18条遅刻、早退、欠勤等・第31条賃金の構成・第43条欠勤等の扱い・第50条退職を参考にして下さい。

 助成金は、要件を満たして支出を行い、さらに申請した事業所に対して交付される給付金です。一方、奨励金は要件を満たして申請すると交付される給付金です。

 厚生労働省や都道府県、市区町村が管轄となることが多く、申請書類の1つに就業規則が含まれることも多々あります。

2020年(令和2年)就業規則が必要だった助成金・奨励金の一例

  • 東京都の働き方改革宣言奨励金・制度整備事業
  • 東京都の事業継続緊急対策(テレワーク)助成金
  • キャリアアップ助成金(正社員化コース、賃金規程等改定コースなど)
  • 人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース、介護・保育労働者雇用管理制度助成コースなど)
  • 両立支援等助成金(出生時両立支援コース、介護離職防止支援コースなど)

 就業規則を整備していなかったため申請出来なかった、ということがないようにしましょう。

 就業規則を変更する手順は、おおむね次のようになります。

  1. 労働者代表の意見を聴きながら、改定案を作成する
  2. 就業規則・就業規則変更届・意見書を作成する
  3. 遅滞なく所轄労働基準監督署へ就業規則・就業規則変更届・意見書を提出する
  4. 労働者へ周知する

 次に、各手順について説明します。

 就業規則を変更する場合は、改定案について労働者代表から意見を聴いたという証拠の意見書が必要となります。

 労働者代表は管理監督者以外の労働者から、労働者の過半数支持を得て選出されます。

 管理監督者は、役職名によらず、職務内容・責任・権限・待遇など実態を鑑みて個別に判断されます。労働組合がある場合は過半数組合の代表者が労働者代表となります。

 意見を聴く、は合意を得るまではありませんが、意見を尊重することが必要です。

 ただし、会社の経営状況が悪化し就業規則を労働者の不利益となるよう変更する場合には、合理的な理由がある場合を除いて、労働者代表のみならず対象労働者の同意が得ないと有効な就業規則にはなりません。

 就業規則の作成は、OfficeのWordを利用される方が多いです。後ほど、条項番号の採番についてワード機能の活用例をご紹介します。

 就業規則変更届・意見書は、厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーで参考様式をダウンロードできます。

 就業規則についても厚生労働省より作成支援ツールが公開されているので、初めて作成するという方はこういったツールを利用するのも良いと思います。

 所轄労働基準監督署は、厚生労働省の全国労働基準監督署の所在案内ページから、事業所がある都道府県を選択し、労働基準監督署一覧の管轄一覧表をクリックすると管轄地域が確認できます。

 提出は「遅滞なく」とされ具体的な期限はありませんが、改定日から1カ月以内が望ましいかと思います。

 早く提出するに越したことはありませんが、改定日から1カ月以上過ぎてしまった場合でもそのまま放置せず必ず提出しましょう。

 作成した就業規則は、各職場に掲示したり、共有フォルダに入れていつでも閲覧可能にしたり、労働者がいつでも見られるように周知することが義務付けられています(労基法第106条)。

 周知がなされていない就業規則は効力が認められず、周知義務違反として30万円以下の罰金が科せられる場合があります(労基法第120条)。

 作成・提出した就業規則は、必ず労働者全員に周知しましょう。

 ここで、就業規則変更にまつわる事例をご紹介します。

 就業規則を変更した時点では管理監督者でなかった労働者代表が、後に昇格し管理監督者となった場合、意見書を取り直し再提出が必要かどうかという問い合わせを受けたことがあります。

 都内の会社でしたので所轄の労働基準監督署へ確認したところ、結果として再提出の必要はなく、就業規則の提出・周知の時点で労働者代表が適格であれば、その就業規則は有効ということでした。

 ただし、休業協定書など、期間の定めがある協定について同様のことが起きた場合には、当初定めた期間中は協定が有効とされますが、更新の場合は新しい労働者代表が必要となります。

 労働者代表が管理監督者となった場合や、退職したときにはすぐに新しい労働者代表を選出した方が、就業規則変更や各協定締結・更新の際、スムーズに対応できます。

 このほかにも、就業規則に関して不明なことがあるときは、所轄の労働基準監督署に確認し正しい対応をしましょう。

ワードのアウトライン機能を使った番号管理のサンプルイメージ

 就業規則は章・条・項・号で番号が振られています。条項の削除や追加があったときに、手作業で番号を管理することは容易ではありません。

 ワードのアウトライン機能を使ったテクニックを紹介いたします。面倒かもしれませんが、一度設定しておけば良いのでぜひ活用してみてください。

  1. ホームメニュー「段落」を開く
  2. 1- a- i-が三段になっているマークの下向き三角をクリック
  3. 新しいアウトラインの定義を選択
  1. オプションをクリック
  2. レベルと対応付ける見出しスタイルに見出し1を選択
  3. 番号書式を空欄にする
  4. すべてのレベルに設定をクリック

 すべてのレベルに設定ウインドウでインデント(文字開始位置)を設定する。画像ではレベル毎に3mmずつ増やす設定にしています。

  1. レベル2を選択
  2. レベルと対応付ける見出しスタイルに見出し2を選択
  3. 「番号書式」で、図のように番号を第と章で挟む。番号が網掛けになっていることを確認
  4. リストを開始するレベルを指定するのチェックを外す
  5. 番号に続く空白の扱いにスペースを選択
  1. レベル3を選択
  2. 「レベルと対応付ける見出しスタイル」に見出し3を選択
  3. 「番号書式」で、図のように番号を第と条で挟む。番号が網掛けになっていることを確認
  4. 「リストを開始するレベルを指定する」のチェックを外す
  5. 番号に続く空白の扱いにスペースを選択
  1. レベル4を選択
  2. 「レベルと対応付ける見出しスタイル」に見出し4を選択
  3. 番号が網掛けになっていることを確認
  4. 番号に続く空白の扱いにスペースを選択
  1. レベル5を選択
  2. 「レベルと対応付ける見出しスタイル」に見出し5を選択
  3. 「番号書式」で、図のように番号を第と条で挟む。番号が網掛けになっていることを確認
  4. 番号に続く空白の扱いにスペースを選択
  5. OKをクリック

 アウトラインを設定したあとは、ホームメニューから表示→アウトラインを選択します。アウトライン画面では本文を入力し、レベル設定を行うと自動で番号が振られます。