目次

  1. 味の要望もオーダーメイドで対応
  2. 全員を正社員にした理由
  3. 甘酒を使ったジェラート開発
  4. コロナ禍から生まれた「発信」
  5. 「教育はがまん」を心がけて

――前編では、「多品種少量生産」を経営の柱にしていく過程まで伺いました。具体的には、どのように取り組んだのでしょうか。

 「多品種少量生産」では、飲食店や食品メーカーなどの取引先の要望に徹底的に合わせて、本醸造のしょうゆに交ぜる調味料の内容や量を作りあげます。営業・開発・製造と、どの段階でも手間がかかるので、大手はまずやりません。うちが手を付けられるのは、小ロットで調味料を調合できる工夫をしているからです。

 品種が増えても対応できる工程管理システムや、社員一人ひとりのスキルレベルの把握など、教育計画も作っています。

 加えて開発部は「味を調える」レベルが高い。お客様から「もう少し、まるみがほしい」といった漠然とした要望があっても、きっちり分解して味に落とし込みます。部門間の密な連携で、「素材にこだわりたい」「コストを下げたい」といったお客様の要望ごとに、オーダーメイドで提案できます。

日本丸天醤油の開発部のメンバー(日本丸天醤油提供)

 飲食店や食品メーカーが、新メニューやギフト商品を作ろうとするとき、「丸天に相談すればやってくれる」と思ってもらえればありがたいです。1件当たりの量は小さくても、競合がいないので利益率が全然違います。2020年、コロナ禍で外食や土産物関係の顧客向けは下がりましたが、「多品種少量生産」の積み上げが業績を支え、最終的には黒字を確保できました。

――約100人の従業員全員が、正社員だと聞いて驚きました。

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