漬物の需要が減り続けた理由

――漬物の需要は、なぜ減り続けているのでしょう。

 一番の理由は、塩分が多いというネガティブなイメージです。厚生労働省も長年にわたって減塩を推進してきました。塩分が高いものといえば、ラーメンと漬物とみそ汁が挙げられます。しかし、ラーメンの汁は残せばいい、みそ汁は毎日は飲まないから大丈夫と思われても、漬物は食べなければいいということになってしまいました。

 また、デフレ時代で、市販の弁当に使われる漬物は安物でおいしくないというイメージが付き、悪い歯車が回っている状況でした。

 昔、岩下食品が漬物を商材に選んだ時代は、よく食べられていましたが、世の中の大きなトレンドとして下降曲線をたどり、いつまでも漬物屋でないといけないのかという思いがありました。

「岩下の新生姜ミュージアム」は、商品のピンク色をモチーフに、華やかな世界を作り出しています(岩下食品提供)

「漬物」という言葉を使わない

――漬物のイメージを変えたきっかけは。

 テレビで食に関する健康情報を扱った番組が放映されると、その食品がスーパーで空になる現象が度々起こります。今から10年以上前ですが、生姜も「体にいい」とテレビ番組に取り上げられ、非常に売れたことがありました。ところが、その時も、当社が扱っている紅生姜やガリ、「岩下の新生姜」はピクリとも動きませんでした。生姜は体にいいとされても、漬物はネガティブなイメージだったからです。

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