連鎖倒産の危機に陥る

 CFは中小企業が、消費者から直接資金を集められる手段として、脚光を浴びています。インターネットを通して多くの人に呼びかけて資金を調達し、支援者に対し、商品や特典などでリターン(お返し)するシステムです。

 大阪市で紳士服の製造卸を手掛ける川辺友之さんは、家業の3代目です。東京でIT系の仕事に関わり、起業も視野に入れていた川辺さんが、家業が危ないからと呼び戻されたのは1998年、27歳の時でした。

 2001年には大手の得意先が倒産し、経営危機に陥ります。04年に紳士服の製造卸を引き継ぐ形で、「NFL」という株式会社を新しく設立しました。取引先頼りの手形商売に危機意識を感じた川辺さんは、卸売りを減らして小売りを増やす戦略を打ち出し、大手のインターネットショッピングモールに出店しました。

スーツの製造現場

CFで企画した「型紙ファンド」

 ネット通販が軌道に乗り、08年には東京・表参道に実店舗も出店。順調に小売りで業績をのばしていましたが、広告費がかさみ、結局は赤字でした。川辺さんがCFと出会ったのは13年ごろです。地元の有志との勉強会で仕組みを聞いて、「これだ!」と思ったといいます。

 川辺さんがCFで最初に企画したのは、「型紙ファンド」でした。「新商品のスーツを一着作るための型紙は、50万円くらいの費用がかかります。CFを利用すれば、先にアイデアを提案して、興味を持っていただけたお客様から少しずつ資金提供を受けられます。集めた資金で型紙を作り、商品を作ってお返しするという『型紙ファンド』を考えました」

 川辺さんは14年、400周年を迎えた「大坂の陣」で、華々しい伝説を残した真田幸村にちなんだデザインのスーツを企画しました。

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