目次

  1. 大阪府内の企業の夏のボーナスの支給状況
  2. 中小企業へのアンケートでは80%が「支給」
  3. 企業側の悩み「社員への評価・賞与の査定基準」
  4. 具体的な人事評価の悩みとは
  5. 人事評価制度が必要な理由

 大阪シティ信用金庫が2021年6月上旬、大阪府内の取引先約1000社に対し、夏季のボーナスの支給額について尋ね、集計を発表しました。「支給する」と答えた企業が52%に上り、2年ぶりに増えました。

中小企業の2021年夏季ボーナス支給予定額(大阪シティ信用金庫の公式サイトから引用)

 さらに1人あたりの平均支給予定額は28万2714 円で、昨夏より3768円(1.4%)増える見込みです。業種別でみると、サービス業と建設業が減少し、小売業が大幅に増加しました。

 一方、エン・ジャパンが人事向け総合情報サイト「人事のミカタ」で実施した中小企業280社に聞いたアンケート結果では、回答企業の80%が夏のボーナスを支給予定と回答しました。

 支給予定の企業に前年と比較した支給予定額の変動を尋ねると次の通りでした。

  • 「賞与支給額は変わらない予定」(47%)
  • 「増額予定」(28%)
  • 「賞与支給額は変わらないが、決算賞与を支給予定」(3%)
  • 「減額予定」(21%)

 社員への賞与支給に関する悩みや課題を尋ねたところ、「社員への評価・賞与の査定基準」が40%と最多でした。

 2020年12月の冬季のボーナスの調査では、「新型コロナウイルスによる業績への影響の長期化」が44%でトップでしたが、今回は13ポイントダウンしていました。

 「社員への評価・賞与の査定基準」と回答した人に自由記述で具体的な悩みを尋ねると、人事評価制度などに関する内容でした。

  • 役員が通常の事業業務を兼務しており、実務の繁忙により人事システム改善の検討まで手が回らず、慣例通りの賞与額継続による社員のモチベーション低下を懸念している。(サービス関連/10~29人)
  • 考課者により評価のバラツキがあることが悩み。(メーカー/50~99人)
  • 個人の査定がなく拠点ごとの査定な為、結果を出している人とそうでない人で差が出ないので、社員のモチベーションが上がらない。(商社/100~299人)

 人事評価制度の必要性について、ITストラテジスト社労士の緒方瑛利さんはツギノジダイの記事で次のように指摘しています。

 一般的に、評価というのはする側もされる側も緊張感が伴います。低い評価を与えるときには、双方嫌な気持ちになることもあるかもしれません。

 それでも人事評価に取り組んだ方が良い理由として、私は次の2点を挙げます。

・公平・誠実な処遇を用意し、従業員の成長を促すため

・組織文化を発展させるため

人事評価はなくても大丈夫?人事評価制度の基本から導入フローまで解説

 人事評価は、単に給与やボーナスの基準をつくることだけではありません。経営者は人事評価を通して「自分たちがどのような組織でありたいか」「組織が重視する価値基準はなにか」を考え、全従業員に伝えることになります。
 経営層は多忙であってもまず検討してみることをおすすめします。