バイオプラスチック、日本の強みとは 特許庁が出願動向を分析
海洋に流出しているプラスチックごみが世界的な課題となり、アジア各国で廃プラの輸入規制が広がるなか、バイオプラスチックの導入を進める企業が増えており、今後の市場拡大が期待できる分野です。そこで特許庁は、国内外の特許出願動向をもとに今後の強みとなる分野を分析しました。
海洋に流出しているプラスチックごみが世界的な課題となり、アジア各国で廃プラの輸入規制が広がるなか、バイオプラスチックの導入を進める企業が増えており、今後の市場拡大が期待できる分野です。そこで特許庁は、国内外の特許出願動向をもとに今後の強みとなる分野を分析しました。
環境省によると、バイオプラスチックとは、微生物によって生分解される「生分解性プラスチック」と、バイオマスを原料に製造される「バイオマスプラスチック」の総称です。
それぞれをもう少し詳しく説明します。
プラスチックとしての機能や物性に加えて、ある一定の条件の下で自然界に豊富に存在する微生物などの働きによって分解し、最終的には二酸化炭素と水にまで変化する性質を持つプラスチックのことを指します。
世界経済フォーラムの報告書によると、世界で少なくとも年間800万トンのプラスチックごみが、海に流出し、半永久的に分解されないことが国際的な問題となっています。2050年までに海洋中のプラスチックが魚の重量を上回ると言われており、微生物の働きで分解されるプラスチックの開発が進んでいます。
バイオマスプラスチックとは、原料として植物などの再生可能な有機資源を使用するプラスチック素材のことを指します。世界では、化石燃料を使うことで排出される温室効果ガスにより、地球温暖化などの気候変動問題が注目されています。
そんななかで、再生可能な資源から作ったバイオマスプラスチックは、化石燃料の使用を減らすことにつながります。
プラスチックの資源循環への関心が高まり、今後の市場拡大が期待できるなか、特許庁は出願先が日米欧中韓、出願年が2005-2018年の関連技術について出願者の国籍をもとに分析し、「特許行政年次報告書2021年版」で報告しました。
全体な傾向としては、中国が最も多く全体の48.1%を占め、次いで、日本(25.4%)、韓国(8.3%)、米国(8.2%)、欧州(7.6%)の順となりました。中国の件数は増える一方で、日本は減少傾向にあります。
こうしたなか、日本の出願が多い分野は、シートやフィルムを初めとする「成形体」の「成形技術」に関する出願が多い傾向にありました。
また、改良技術については、ほかの国では次のものが上位にありました。
一方の日本は「耐熱性・熱安定性」、「強度・剛性・弾性率」、「着色や外観」の改良技術に関する出願が上位だったため、報告書では「日本は、強みである成形技術や加工技術、着色・外観等の特性改良技術、包装技術を活かし、バイオプラスチック等の素材について、用途に適した高機能化(成形性、加工性、着色・外観等)を迅速に進め、市場に投入することが望まれる」と結論づけています。
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