海外出張で使える「ワクチンパスポート」とは メリットや申請条件を紹介
新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、いわゆる「ワクチンパスポート」の申請受け付けが始まりました。厚生労働省によると、仕事などで海外に行く人が対象です。外務省によると、9月24日時点で約40カ国・地域でワクチン接種したことを渡航先で証明でき、入国の手続きがしやすくなる場合があります。接種済証や接種記録書との違いや申請方法、いつ発行されるのかについて整理しました。(2021年9月24日更新)
新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、いわゆる「ワクチンパスポート」の申請受け付けが始まりました。厚生労働省によると、仕事などで海外に行く人が対象です。外務省によると、9月24日時点で約40カ国・地域でワクチン接種したことを渡航先で証明でき、入国の手続きがしやすくなる場合があります。接種済証や接種記録書との違いや申請方法、いつ発行されるのかについて整理しました。(2021年9月24日更新)
目次
「ワクチンパスポート」という名前は通称で、正式には「新型コロナワクチン接種証明書」と言います。希望者が自治体に申請をすると紙で発行され、ワクチン接種が完了したことを海外で証明する書類になります。政府のデジタル社会推進会議などによると、年内にはオンラインでの発行もできるようになる見通しです。
ワクチンパスポートには、接種者の名前、生年月日、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種記録(ワクチンの種類、接種年月日等)に加え、海外渡航時に利用できるよう、旅券番号などが日本語と英語で記載されます。
ワクチンパスポートの発行は原則無料としていますが、郵送代などがかかる場合があるので申請する自治体で確認してください。
ワクチン接種時に自動的に発行される「接種済証」もしくは「接種記録書」と名前は似ていますが別物です。厚生労働省のサイトなどによると、ワクチン接種したことを国内で証明するときには「接種済証」「接種記録書」で十分ですが、海外で証明するにはワクチンパスポートが必要になります。
現在、多くの諸外国が日本からの渡航者になんらかの入国制限を設けています。外務省のサイトによると、このうち約40カ国(9月24日時点)で、ワクチンパスポートの所持によってなんらかのメリットを受けられることが確認されています。入国時にワクチンパスポートの提示が必要だったり、ワクチンパスポートの所持によって隔離措置が緩和されたりするケースがあります。
対応は国ごとに異なり、最新情報は外務省のサイトで見ることができます。欧州連合(EU)については、最終的な判断は欧州各国にゆだねられるため、国ごとの対応を個別に確認する必要があります。
9月24日時点で、ワクチンパスポートによるメリットが受けられると外務省が確認できた国・地域は以下の通りです。
イタリア
インドネシア
エクアドル
エストニア
オーストリア
オランダ
カナダ
ガボン
ギリシャ
コソボ
サモア
シンガポール
スペイン
スリランカ
スロバキア
スロベニア
セントクリストファー・ネービス
セントビンセント
タイ(プーケット島、サムイ島、パンガン島、タオ島のみ)
デンマーク
ドイツ
トルコ
パプアニューギニア
パラオ
パラグアイ
フランス
ブルガリア
米国(グアムのみ)
ベトナム
ベラルーシ
ベリーズ
ポーランド
香港
ホンジュラス
マレーシア
モルディブ
リトアニア
韓国
一方、海外渡航から日本に戻った際には、ワクチンパスポートによるメリットはありません。ワクチンパスポートの有無にかかわらず、滞在していた地域に応じて一定期間の隔離などが求められることになります。水際対策の詳細は厚労省のサイトで確認できます。
日本国内での使用が承認された新型コロナウイルスのワクチンを接種した人が対象です。現在使われているファイザー製、モデルナ製、アストラゼネカ製のワクチンであれば、2回接種することが基本になります。
そのうえで、仕事や留学などで近く海外に行く予定があり、ワクチンパスポートによって渡航先でメリットを受けられることが条件になります。一方、申請が殺到すると受け付け業務が追いつかないことなどから、海外渡航の予定が当面ない人は申請の対象外としています。
自治体での接種、職域接種のいずれもの場合でも、ワクチン接種時に住民票のあった自治体が申請先になります。接種後に転居した場合など、1回目と2回目で別の市町村の接種券を使用して接種を受けた場合には、それぞれの市町村が申請先となります。詳しい対応を知りたい場合は厚労省のサイトのQ&Aで確認できます。
申請する場合は次の資料を用意してください。
3と4は自治体に確認を求められますが、提出する必要はありません。その後もなくさぬよう保管が必要です。
想定以上の申請があるケースや、政府のワクチン接種記録システムへの登録に時間がかかっているケースなどがあるため、即日交付できない場合があります。申請から発行までの期間は自治体によっても異なります。申請方法を郵送に限定している自治体や発行までに要する目安の期間を示している自治体もありますので、各自治体で確認してください。
国内でも、ワクチン接種の証明書を活用する議論が出ています。経団連は2021年6月、証明書の提示によって飲食代金の割引やイベントの入場制限緩和を受けられるようにといった提言をまとめました。ただワクチンが十分いきわたらないと大きな不公平を生むため、大々的な実施には課題が多いのが実情です。
今後、ワクチン接種による優遇措置が国内で広がるとしても、いわゆる海外向けの「ワクチンパスポート」が即座に必要になるわけではないとみられます。まずは、接種時にもらえる「接種済証」または「接種記録書」をなくさないよう保管しておくことが重要です。
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。