目次

  1. ワクチン・検査パッケージとは
    1. ワクチンの有効性
  2. ワクチン・検査パッケージの開始いつから?
  3. ワクチン・検査パッケージの確認方法
    1. ワクチンの接種歴の確認
    2. 検査の確認
  4. ワクチンパスポートとの違い
  5. 「行動制限の緩和」とは
    1. ワクチン・検査パッケージの適用を考え得る場面の例
    2. 適用すべきか否か検討すべき場面の例
    3. 適用すべきではない場面の例
  6. ワクチン・検査パッケージの注意点

 ワクチン・検査パッケージとは、ワクチン接種歴やPCR検査などの結果をもとに他者に二次感染させるリスクが低いことを示すしくみです。

 新型コロナのワクチン接種が全国で進んでいますが、年代別のワクチン接種率について政府の分科会は次のようなシナリオがもっともありうる想定だと説明しています。

  • 60代以上……85%
  • 40,50代……70%
  • 20,30代……60%

 接種率が上記の水準でとどまる場合、ワクチン未接種者を中心に、接触機会を50%程度低減しなければ、感染を一定水準に抑制することが難しいと想定しています。

 こうした状況で、感染対策と日常生活の回復に向けた取り組みが両立できるしくみとして政府の分科会が示したのが、ワクチン・検査パッケージです。

 新型コロナワクチンの有効性については、国立感染研究所が公式サイトでまとめています。

 9月5日時点でまとめた情報によると、日本で感染が拡大しているデルタ株へのワクチンの有効性について、一定の留保を加えた上で「発症と感染に対して減弱の可能性があるものの、重症化に対しては不変」と説明しています。

 ワクチン・検査パッケージが始まるのは「ほとんどの希望者にワクチンが行き渡ると考えられる頃から」だとされています。

 早くても2021年11月以降になる見込みですが、医療が逼迫している状況が長引けば、開始が難しくなる可能性があります。

 ワクチン・検査パッケージの確認には、ワクチンが接種済みであることと、PCRなどの検査が陰性であることの2つがあります。

 ワクチン接種歴については、接種済証や接種記録書を使ってワクチンの2回接種後から2週間過ぎていると確認することが考えられます。

市町村から届く、ワクチン接種のクーポン券のイメージ。接種が完了すると右端の部分にシールが貼られ、国内で接種済証として使えるようになる=厚生労働省のホームページから

 ただし、ワクチン接種後に一定の期間が過ぎると感染予防効果が下がる可能性も考えて、最後のワクチン接種後から一定期間のみ有効となる可能性もあります。

 検査結果の確認については、PCRなどの検査を民間検査機関で受け、検体採取日時などが書かれた「検査結果証明書」で確認することが考えられます。

 ワクチン・検査パッケージを活用する現場で検査をする場合は、必ずしも検査結果証明書が必要とは限りません。

 ワクチンパスポートは、正式には「新型コロナワクチン接種証明書」と言い、希望者が自治体に申請をすると発行され、ワクチン接種が完了したことを海外で証明する書類として使うものです。そのため、今回のワクチン・検査パッケージとは用途が違います。

新型コロナワクチン接種証明書(いわゆるワクチンパスポート)のイメージ=厚生労働省のサイトから

 分科会では、ワクチン・検査パッケージを「ワクチンパスポート」と呼ぶべきでないと説明しています。理由については次のように説明しています。

 「国内でこの言葉を用いると、“パスポート”という言葉がそれを保持しない人が社会活動に参加できないことを想起させ、社会の分断に繋がる懸念がある。したがって、国内では“ワクチンパスポート”という言葉は使用すべきではないと考える」

 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置下では、飲食店の利用や、イベントの参加、県をまたぐ移動などが制限されていますが、ワクチン接種がある程度行き渡れば、今度は「行動制限の緩和」が必要になります。

 この「行動制限の緩和」に向けて、ワクチン・検査パッケージの活用が検討されています。ワクチン・検査パッケージの適用が考え得る場面、適用すべきでない場面について分科会は次のように例示しています。

  • 医療機関や高齢者施設、障害者施設への入院・入所及び入院患者・施設利用者との面会
  • 医療・介護・福祉関係等の職場への出勤
  • 県境を越える出張や旅行
  • 全国から人が集まるような大規模イベント
  • 感染拡大時に自粛してきた大学での対面授業
  • 部活動における感染リスクの高い活動
  • 同窓会等の久しぶりの人々と接触するような大人数での会食・宴会
  • 冠婚葬祭や入学式、卒業式後の宴会

 百貨店等の大規模商業施設やカラオケなどでは基本的な感染対策を徹底することが重要で、その従業員については適用するか否かについて検討する必要があるとしています。

 また、飲食店については“ワクチン・検査パッケージ”や第三者認証をどのように活用するのかについて検討する必要があると指摘しています。

 修学旅行や入学試験、選挙・投票、小中学校の対面授業などは、参加機会を担保する必要があるため、基本的な感染防止策を優先し、ワクチン・検査パッケージを適用すべきではないと指摘しています。

 注意点の一つとして、ワクチンを接種済みで、PCRなどの検査が陰性であっても、自ら感染しないことやほかの人に二次感染をさせないことを100%保証できません。そのため、マスクなどの感染対策は当面、続ける必要があります。

 もう一つとして、日本でワクチン接種は予防接種法により努力義務とされています。しかし、新型コロナの検査やワクチン接種は本人の意思により行われています。

 ワクチン・検査パッケージが始まるまでに、接種していない人が一定の制約を受けるという不利益をどこまで社会的に受け入れるべきかを議論する必要があります。

 分科会は次のようにも指摘しています。

ワクチン・検査パッケージは、国民的な議論を通して得られた考え方に基づき、基本的には、自発的な民間の創意工夫を加えて具体的に活用されることが期待される。国及び自治体は、検査体制の強化など、その民間の取り組みを後押しすべきである。

新型コロナウイルス感染症対策分科会2021年9月3日資料(PDF方式)