目次

  1. 官公需とは
  2. 契約の中小企業比率の目標は61%
  3. 2020年度・2021年度の契約実績
  4. 契約までの主な手続き
    1. 資格審査申請書の提出
    2. 資格審査結果の通知
    3. 官公需情報ポータルサイト
  5. 官公需適格組合とは
  6. 国などの発注機関・官公需相談窓口

 相次ぐ自然災害や新型コロナなどの影響を受け、中小企業は厳しい経営環境に置かれています。こうした状況下でも、最低賃金引き上げを含む働き方改革が求められています。

 政府は、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(官公需法)で、中小企業などの受注機会を増やそうとしています。具体的には、国などが中小企業と契約する目標を毎年度定めています。

 政府は2022年8月「令和4年度(2022年度)中小企業者に関する国等の契約の基本方針」を閣議決定しました。具体的な数値目標は次の通りです。

 中小企業・小規模事業者向け契約目標の比率は前年度と同じ61%ですが、金額は前年度4498億円増の5兆2738億円となりました。

 このほか、創業10年未満の新規中小企業者向け契約目標比率を3%としました。

 そのうえで、スタートアップが「新しい資本主義に向けた重点投資分野」の一つとされているため、2022年度は、近い将来における新規中小企業者の契約比率の目標値の更なる引上げを視野に入れつつ、スタートアップ支援策の対象となる中小企業者の受注機会の増大を目指す方針が明記されました。

 令和2年度(2020年度)の官公需の契約実績は、中小企業などの契約比率が55.5%、金額は5兆2244億円でした。

 令和3年度(2021年度)の官公需の契約実績は、中小企業などの契約比率が61%、金額は4兆8240億円でした。

 機関ごとの実績は中小企業庁の公式サイトで公表されています。

 国などは原則、一般競争契約で、物品の購入などの契約を結んでいます。参加するにはおもに次のような手続きが必要です。

 まず、資格登録をしたい機関に「一般競争参加資格審査申請書」を提出する必要があります。持参、郵送、インターネットのいずれでも申請できます。申請を受けた機関が、参加資格を審査します。

 全省庁統一資格審査の申請や各省庁の調達情報の検索は、政府の「統一資格審査申請・調達情報検索サイト」へ。

 審査の結果、A・B・Cなどのランクが決められ、資格者名簿に登録されます。資格者登録されると、格付けに応じた予定価格の競争入札に参加できます。

 一定の資格を有する不特定多数の希望者を競争に参加させ、契約主体に最も有利な条件を提供した場合に契約締結に至ります。

 官公需の情報は、官公庁がホームページ上で提供している入札情報を一括して検索・入手できる官公需情報ポータルサイトで探すことができます。

 中小企業は1社で受注するのは難しくても、組合による共同受注であれば契約を進めやすくなります。そこで、中小企業庁が事業協同組合の要件を満たしているかを証明する「官公需適格組合」という制度があります。証明を受けた組合は、2021年3月末時点で897団体に上ります。

 官公需適格組合は、競争契約参加資格審査において、総合点の算定方法で特例措置の対象になるなどメリットがあり、2019年度の契約実績は、国だけで5393件、金額にして約128億円に上ります。

 詳しくは、中小企業庁の公式サイトで確認してください。

 官公需適格組合の要件はたとえば次のようなものがあります。

  • 官公需の受注に関し、熱心な指導者がいること
  • 組合運営を円滑に遂行するに足りる経常的収入があること
  • 共同受注担当役員の定め、共同受注委員会の設置があること
  • 役員及び実施組合員が共同受注案件に関して連帯して責任を負うこと

 相談窓口は各都道府県に設けられており、中小企業庁の公式サイトで確認できます。