目次

  1. PFデジタル化指標とは
    1. 想定される利用者
    2. DX推進指標との違い
  2. PFデジタル化指標でわかること
  3. PFデジタル化指標の評価の流れ
  4. 評価結果の表示方法
  5. PFデジタル化指標の活用方法

 PFデジタル化指標とは、自社の既存のITシステム全体や、業務・部門単位のシステムごとに設定された評価項目を回答していくと、点数が集計され、結果がレーダーチャートなどのグラフで表示されるエクセル形式のツールです。評価項目は全部で76に上ります。

PFデジタル化指標の構成(IPAの公式サイトから引用)

 DXを進めるには経営者自らデジタル活用を進めることが大切で、そのためには既存のITシステムの状況を把握する必要があります。そんな経営者を助けるため、PFデジタル化指標は次の3つの役割があります。

  1. ITシステムを詳細に評価して問題を可視化する
  2. 対策が必要なITシステムを特定し、優先順位決定のためのビジネス上の重要性などについて明確にする
  3. 優先順位に従って対策を実行するためのロードマップを策定して実行に移していくことを進める

 想定される利用者は、DXを推進しようと考えている企業経営者やIT分門の責任者ですが、専門的な知識も必要になるため、ITコンサルやITベンダーなどの協力が必要になることもあります。

 似たような指標として、デジタル経営改革のための「DX推進指標」を経済産業省が提供しています。

 DX推進指標とは、簡易な自社診断をすることで経営幹部や事業部門、DX部門、IT部門などの関係者の間で現状や課題を共有し、次のアクションにつなげる気付きの機会を提供することを目的としています。

 DX推進指標とPFデジタル化指標の使い分けとしては、まずDX推進指標で自社の状況を把握したうえで、課題が見えたときや経営者が自社のITシステム状況を十分に把握できていないと感じたときにPFデジタル化指標を活用するのが良いでしょう。

DX推進指標とPFデジタル化指標の関係性(IPAの資料から引用)

 PFデジタル化指標でわかることとしては、次の5つがあります。

  1. ITシステム全体の問題点、ITシステムの全社課題
  2. ITシステムの問題箇所
  3. DXに求められるデータ活用の度合や、デジタル技術の活用の度合
  4. 基本的なITシステム要件の充足度合
  5. 現在のITシステムの技術的負債の度合

 PFデジタル化指標の評価をする流れは次の通りです。詳しくは、IPAのPFデジタル化指標の解説ページに詳しい手順書が公開されています。

  1. ITシステム全体を把握
  2. ITシステム全体に関する評価
  3. 機能システムごとにDX対応状況を評価
  4. 影響度、事業特定を考慮して総合評価
  5. 評価結果のレビューと対策の検討

 評価結果は、ITシステム全体、機能システム別にそれぞれ4種類のグラフで表示されます。

 ITシステム全体の評価結果は、次の6つの軸のレーダーチャートで表示されます。

  • 機能システム間の独立性
  • データ活用の仕組み
  • 運用の標準化
  • プロジェクトマネジメント/品質
  • セキュリティ/プライバシー
  • CIO/デジタル人材

 次に、機能システム別の評価結果は、次の6つの軸のレーダーチャートで表示されます。

  • データ活用性
  • アジリティ
  • スピード
  • 利用品質
  • 開発品質
  • IT資産の健全性
PFデジタル化指標の機能システムの評価結果の例

 企業がDXを推進するには一からITシステムを構築するのではなく、現行のITシステムをベースに追加、変更、廃棄しながら段階的に目指すことが望ましいとIPAは説明しています。

 そんなときに場当たり的な対応をするのではなく、問題点を明らかにしながら検討を進めるうえでPFデジタル化指標は役立ちます。