目次

  1. 文集に「夢はいかめし3代目」
  2. 米国の催事で知った醍醐味
  3. 「伝える仕事」に興味を持つ
  4. 新しい顧客層を開拓
  5. SNS時代だからこそ現場主義
  6. 「私がやります」29歳で継承

――2021年は、阿部商店の「いかめし」が誕生して80年の節目です。長く愛され続けるいかめしの特徴や、おいしさの理由は何でしょうか。

 しょうゆとざらめ糖だけで作るタレは、創業時からずっと変えていません。ただ、決まったレシピがあるわけではなく、味付けは職人の口伝で受け継いできました。

 その日の気温や湿度、担当する職人によって、味が微妙に甘めだったり辛めだったりします。「家庭の味」のように、親しみやすく、飽きのこない味付けになっているのかもしれません。

創業当初のいかめしのパッケージデザイン。創業者・阿部恵三男さんの妻が考案しました

――今井さん自身は東京で生まれ育ちました。子どもの頃、家業との関わりはどのくらいあったのでしょうか。

 2代目の父が全国の催事に出張する拠点として、住まいは東京でしたが、長期の休みには、必ず本社のある北海道に帰省していました。

 工場には私の勉強机があって、職人には家族のようにかわいがってもらいました。いかめしも大好きで、小学校の文集には「将来の夢は、いかめし3代目」と書きました。

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