目次

  1. 家業がどんな仕事かも分からず
  2. 兄の事故死で事態が急変
  3. 「継いでもらえる会社に」と決心
  4. 赤字を15年以上積み重ね
  5. 「どんぶり勘定」だった資金繰り表
  6. 従業員に具体的な改善提案
  7. 作成で心がけた三つのポイント
    1. 1カ月を3分割に
    2. 工事受注明細と連動
    3. 受取手形の残高を記載
  8. 業界ならではの課題に向き合う
  9. 会社の仕組みづくりにも注力
  10. 資金繰り表は苦しいときこそ
  11. 「会社を継ごう」という気持ちに
  12. 経営者こそ資金繰り表作成を
  13. 踏み出して良かったと実感

 田中工業所は1949年に創業し、「加圧浮上装置」という機械の製造を主力としてきました。

 加圧浮上装置は排水処理装置の一種で、浄化槽や濾過機による排水処理の前段階を担います。加圧によって微細な泡を発生させ、水中の浮遊物質を泡に付着させて取り除き、濁った水を透明にします。

 装置の価格帯は300万円から2千万円くらいで、年間の販売台数は多いときで10台ほどといいます。メーカーや商社などが主要取引先で、エンドユーザーはスーパーや食品加工会社、自動車整備工場など多岐にわたります。

 現在の売上高は1億3千万円で、従業員数は12人です。

田中工業所の加圧浮上装置

 そんな家業について、田中さんは「高校生までどんな仕事をしているかも分かりませんでした」と振り返ります。

 家業を継ぐのは、6歳年上の兄と思っていました。兄が承継の準備を進め、田中さんは一般企業に就職します。

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