目次

  1. ワクチン・検査パッケージとは
  2. ワクチン・検査パッケージの活用手順
  3. ワクチン・検査パッケージ制度の適用範囲
    1. 飲食
    2. イベント
    3. 移動
  4. 民間事業者による活用と注意点
  5. ツアーと宿泊施設でのワクチン・検査パッケージ制度
  6. ワクチン接種歴・検査の確認方法
    1. ワクチン接種歴
    2. 検査結果
  7. ワクチン接種歴・検査の確認範囲
  8. ワクチン・検査パッケージの活用時の注意点

 政府が公開している「ワクチン・検査パッケージ制度要綱に関するQ&A」(PDF方式)によると、ワクチン・検査パッケージとは、ワクチン接種歴または陰性の検査結果を活用して感染リスクを抑えつつ、飲食やイベント、人の移動における行動制限の緩和を可能にする制度です。

 今後の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出された場合でも、ワクチン・検査パッケージの制度を活用すれば制限は緩和されます。ただし、感染が急拡大し、医療体制が逼迫すれば制限がかかる可能性もありますので、注意が必要です。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策本部が公表した要綱(PDF方式)によると、制度を利用したい飲食店やイベント主催者はまず都道府県に登録する必要があります。

 そのうえで、入店者・入場者のワクチン接種歴またはPCRなど検査結果の陰性のいずれかを確認することで行動制限を緩和します。ただし、飲食やイベントで、ワクチン・検査パッケージを活用することは義務ではありません。

 ワクチン・検査パッケージで行動制限の緩和が緩和される分野は3つあります。

  1. 飲食
  2. イベント
  3. 移動

 地域の状況により、都道府県知事が国と協議したうえで下記よりも厳しい対応を求める場合もあります。概要は次の通りです。

 第三者認証制度を適用する店は、利用者の人数制限が緩和され、酒類の提供もできるようになります。時短要請も一部緩和されます。具体的には次の通りです。

飲食の制限緩和の考え方
  • 緊急事態措置区域の第三者認証店では、酒類の提供を認め、21時まで営業できます
  • 重点措置地域の第三者認証店では、酒類の提供を認め、21時まで営業または時間制限なく営業できます
  • それ以外の区域の第三者認証店では、感染拡大の傾向がみられる場合でも、酒類の提供を認め、時間制限なく営業できます
  • それ以外の区域では、人数制限の要請をしませんが、感染拡大している場合は都道府県知事の判断で、同一グループの同一テーブルでの5人以上の会食を避けるよう要請します
  • 緊急事態措置区域と重点措置地域では、同一グループの同一テーブルでの5人以上の会食を避けるよう要請します
  • その上で、上記の人数制限が要請されている区域の第三者認証店においては、ワクチン・検査パッケージ制度を適用する場合、人数制限は行いません

 感染防止安全計画を作り、都道府県の確認を受けたイベントは、営業時間の制限がなくなり、収容人数の上限が緩和され、定員まで収容できます。

制限の緩和 従来
収容率 大声ありは50%、大声なしは100%

緊急事態宣言区域は50%

重点措置、それ以外の区域は大声ありは50%、大声なしは100%

人数の上限

緊急事態宣言区域は1万人

まん延防止等重点措置区域は2万人

それ以外の区域は収容定員まで

※上限のある区域でもワクチン・検査パッケージの制度を適用すれば収容定員まで追加できる

緊急事態宣言とまん延防止等重点措置区域は5000人まで

それ以外の区域は5000人または収容定員の50%のいずれか大きい方

時短 なし 緊急事態宣言区域は21時まで
  • 緊急事態措置区域と重点措置地域では、時短要請は原則行わず、人数上限についてはそれぞれ1万人、2万人(いずれもワクチン・検査パッケージ制度を適用する場合は、収容定員まで可能)とし、収容率の上限を100%とします
  • その他区域においては、人数上限を収容定員まで可能とし、収容率の上限を100%とします

 不要不急の都道府県をまたぐ人の移動について、ワクチン接種済みの人または検査を受けて陰性とされた人は、自粛要請の対象外です。

 外出についても、混雑した場所や感染リスクが高い場所を訪れる場合を除き、ワクチン接種の有無にかかわらず自粛要請の対象外になります。

 要綱は「民間事業者や施設設置者が、利用者のワクチン接種歴や検査結果を活用することは、原則として自由であり、特段の制限を設けない」と説明しています。

 店舗やイベント会場に入るときにワクチン接種歴や検査結果の提示を求めることもできますが、注意点があります。

  • 旅館業法などが定めている利用制限の排除について抵触しないようにする
  • 公共的なサービスは、より一層の慎重さが求められる
  • ワクチン・検査パッケージの名前を使う場合は、要綱に準拠する

 ツアーや宿泊施設へのワクチン・検査パッケージ制度の適用の詳細については、観光庁が公式サイトで「旅行業・宿泊業におけるワクチン・検査パッケージ運用ガイドライン」を公表しました。

 ガイドラインでは次の場面での運用方法を示しています。

  1. 商品造成・販売時(販売時に明記する事項など)
  2. 販売後~旅行開始日・宿泊開始日当日(証明書の確認体制・ポイントなど)

 そのほか、条件を満たさない場合の運用として、検査結果陽性時の対応、確認書類を持参していないケースでの対応も紹介しています。

 確認方法については、ワクチン接種歴と検査によって分かれます。

 飲食店やイベント主催者は、予防接種済証や接種証明書、接種記録書などで、利用者が2回接種を完了していること、2回目接種日から14日以上過ぎていることを確認する必要があります。予防接種済証などを撮影した画像や写しでも確認できます。

 同時に、運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証、学生証で本人確認が必要です。

 検査結果については、PCR 検査や核酸増幅法、抗原定量検査などが推奨されています。症状のない人に抗原定性検査をすることは、確定診断としては推奨されていません。ただし、ウイルス量の多い人を発見することにはある程度使えるとして抗原定性検査も利用可能だとされています。

 6歳未満の未就学児は、同居する保護者と一緒であれば検査不要です。6歳以上12歳未満の児童は、検査結果の陰性の確認が必要です。

PCR検査結果の確認

 飲食店やイベント主催者などは、医療機関などが発行した結果通知書で、陰性を確認してください。同時に、運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証、学生証で本人確認が必要です。

 有効期限は検体採取日より3日以内としています。

抗原定性検査結果の確認

 抗原定性検査は、医療機関などのほか、当日、飲食店やイベント主催者が設けた場所で、検体採取の注意点などを理解した者の管理下で適切な感染防護を行いながら、検査キットを使って実施することもできます。当日の検査の場合は結果通知書の発行は必須ではありません。

 検査結果の有効期限は、検査日から1日以内です。

 飲食店で、制限を緩和する場合のみ、ワクチン接種歴または検査結果を確認すれば良いのか、それとも入店者全員分を確認するのかについて、要綱では「飲食店で同一テーブル5人以上で利用する場合には、そのグループ全員のワクチン接種歴または検査結果を確認する」と説明しています。

 接種証明、検査結果通知書を忘れた人への対応について「登録飲食店においても、同一グループの同一テーブルでの4人以下での会食の場合には、ワクチン接種歴または検査結果の陰性の確認をする必要はない」という方法も示しています。

 イベントについては、「ワクチン・検査パッケージ制度により緩和される部分(上限人数を超えて追加可能となる入場者数分)について、入場者のワクチン接種歴または検査結果を確認する」と説明しています。

 ワクチン・検査パッケージを活用する注意点として、ワクチンを接種したとしても感染するなど予防効果に限界があることをあらかじめ念頭に入れておきましょう。

 事業者は、利用者に対し、ワクチン接種歴または陰性の検査結果のいずれかを選択して提示するよう求める必要があります。このとき、利用者がワクチン接種歴か検査結果のどちらかしか選べない場合はワクチン・検査パッケージに該当しません。

 検査については、事業者が事前検査か当日現場検査のいずれか、またはは両方を選択できるようにする必要があります。