目次

  1. 補正予算案に盛り込まれた生産性向上に関する補助金
    1. ものづくり補助金
    2. 持続化補助金
    3. IT導入補助金
    4. 事業承継・引継ぎ補助金
  2. 補助金の目的
  3. 補助金の申請いつから?

 政府の2021年度補正予算案に、生産性向上を目的とした次の4つの補助金が盛り込まれました。

  1. ものづくり補助金
  2. 持続化補助金
  3. IT導入補助金
  4. 事業承継・引継ぎ補助金

 持続化補助金は、2023年10月に導入されるインボイス制度の発行事業者に転換する場合の環境変化への対応を支援する特別枠が設けられました。IT導入補助金はインボイス制度への対応も見据えてITツールの導入やPCなどのハード購入が補助対象になります。

 4つの補助金についてそれぞれ紹介します。

 ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)とは、中小企業や小規模事業者、個人事業主などが、生産性を向上させる設備投資をするときに、最大2000万円まで受けられる補助金です。

申請類型 補助上限額(従業員規模で異なる) 補助率
通常枠 750万円、1000万円、1250万円 1/2(小規模事業者・再生事業者は2/3)
回復型賃上げ・雇用拡大枠 2/3
デジタル枠
グリーン枠 1000万円、1500万円、2000万円

 赤字など厳しい中でも、賃上げに取り組む中小企業向けに特別枠「回復型賃上げ・雇用拡大枠」が新設されました。優先採択や補助率引上げのメリットがあります。最大1250万円、補助率2/3です。

 このほか、グリーン・デジタル分野への取組に対する特別枠も新設されます。グリーン枠は最大2000万円、デジタル枠は最大1250万円、補助率はいずれも2/3です。

 赤字など厳しい状況でも、賃上げなどに取り組む事業者や、事業規模の拡大に取り組む 事業者向けに特別枠を設け、補助率や上限額を引き上げます。

申請類型 補助上限額 補助率
通常枠 50万円 2/3(成長・分配強化枠の
一部の類型において、
赤字事業者は3/4)
成長・分配強化枠(賃上げや事業規模の拡大) 200万円
新陳代謝枠(創業や後継ぎ候補者の新たな取組) 200万円
インボイス枠(インボイス発行事業者への転換) 100万円

 後継ぎ候補者が実施する新たな取組や創業を支援する特別枠、インボイス発行事業者に転換する場合の環境変化への対応を支援する特別枠を創設し、上限額を引き上げます。

 IT導入補助金はインボイス制度に対応するための会計ソフト、受発注システム、決済ソフトなどのITツールのほか、PC、タブレット、レジなどが補助対象になります。

 インボイス制度への対応を後押しするため、補助率の引き上げ、クラウド利用料の2年分の補助、ハード購入補助が今回のポイントです。

 また、商業集積地・サプライチェーンなどで密に連携した複数の中小・小規模事業者によるITツール・機器の導入を支援するため、複数社連携型IT導入枠を設けてデータ共有やデータ活用なども支援する予定です。

 補助上限額と補助率は次の通りです。

  • ITツール……~ 50万円(補助率3/4)、50~350万円(補助率2/3)
  • PC、タブレット……10万円(補助率1/2)
  • レジ……20万円(補助率1/2)

 事業承継・引継ぎ補助金の補助対象には、事業引継ぎ時の専門家活用費用(セカンドオピニオンを含む)や事業承継・引継ぎに関する廃業費用などが含まれます。

 仲介・FA手数料は「M&A支援機関登録制度」に登録された者の支援に限定されます。

  • 補助上限額……150万円~600万円
  • 補助率……1/2~2/3

 中小企業は販売価格を上げにくい一方で、材料の高騰化や人材不足の影響を受けています。さらに、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など様々な制度変更への対応が求められています。

 こうした変化に対応し、生産性を向上するための設備投資、IT導入、販路開拓などの支援をすることがこれらの補助金の目的です。

 過去最大35兆円超の歳出総額となった補正予算は2021年12月20日に成立しました。2022年に入ってから申請の受け付けが始まる予定です。