目次

  1. 事業再構築補助金とは
  2. 2021年度補正予算案の事業再構築補助金のポイント
  3. 申請はいつから?
  4. 申請要件
  5. 5つの申請類型の補助上限と補助率
    1. 最低賃金枠
    2. 回復・再生応援枠(新設)
    3. 通常枠
    4. 大規模賃金引上枠
    5. グリーン成長枠(新設)
  6. 対象経費
  7. 申請する上での注意点

 事業承継補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響で、需要や売り上げの回復が難しいなかで、新規事業分野への進出等の新分野展開、業態転換、事業再編などに取り組む中小企業を支援する補助金です。2020年度補正予算に盛り込まれたのが始まりです。

 事業再構築補助金は、新たに2021年度補正予算案に盛り込まれました。予算規模は、6123億円。2020年度補正予算と比べると6割程度となっています。

 ポイントは次の通りです。

  • 売上高減少要件を一部緩和
  • 業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者に対する特別枠を創設
  • グリーン分野への取組に対する特別枠を創設

 2021年12月に開かれる臨時国会で補正予算が成立した後、2022年に入ってから申請の受け付けが始まる予定です。補正予算を審議するための臨時国会は、2021年12月6日に召集し、21日までの16日間とすることで与野党が合意しました。

 過去最大35兆円超の歳出総額となった補正予算は2021年12月20日に成立しました。

 補正予算案発表時に決まっている申請要件は次の通りです。

 まず、2020年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少していることです。

 また、複数事業者が連携する場合は売上高減少分の合算が可能となりました。このほか、事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定することも要件に含まれています。

 2021年度補正予算案の事業再構築補助金は、5つの申請類型があります。いずれも補助下限額は100万円です。回復・再生応援枠とグリーン成長枠が新設されました。

申請類型 補助上限 補助率
最低賃金枠 500万円、1000万円、
1500万円(従業員規模で異なる)
中小3/4
中堅2/3
回復・再生応援枠
通常枠 2000万円、4000万円、
6000万円、8000万円(従業員規模で異なる)
中小で2/3(6000万円超は1/2)、中堅企業は1/2(4000万円超は1/3)
大規模賃金引上枠 1億円
グリーン成長枠 中小1億円、中堅1.5億円 中小1/2
中堅1/3

 それぞれの類型について補助上限と補助率を紹介します。

 最低賃金枠とは、最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい事業者を支援する特別枠です。

 補助上限は500万円、1000万円、1500万円と従業員規模によって異なります。補助率は中小企業が3/4、中堅企業が2/3です。

 2020年度補正予算の第3回公募で新設された特別枠です。このときは中小企業、中堅企業ともに次のような補助額でした。

【従業員数5人以下】100万円~500万円
【従業員数6~20人】100万円~1000万円
【従業員数21人以上】100万円~1500万円

 回復・再生応援枠とは、業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者を支援する特別枠です。

 補助上限は500万円、1000万円、1500万円と従業員規模によって異なりますが詳細は明らかになっていません。補助率は中小企業が3/4、中堅企業が2/3です。

 通常枠の補助上限は、2000万円、4000万円、6000万円、8000万円と従業員規模によって異なります。補助率は、中小企業で2/3(6000万円超は1/2)、中堅企業は1/2(4000万円超は1/3)です。

 前回、2020年度補正予算による事業再構築補助金では、次のような区分でした。

【従業員数20人以下】100万円~4000万円
【従業員数21~50人】100万円~6000万円
【従業員数51人以上】100万円~8000万円

 大規模賃金引上枠とは、多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、 従業員を増やして生産性を向上させる事業者を支援する特別枠です。

 補助上限は1億円、補助率は、中小で2/3(6000万円超は1/2)、中堅企業は1/2(4000万円超は1/3)です。

 前回、2020年度補正予算による事業再構築補助金では、従業員数101人以上で補助額が8000万円超~1億円でした。

 グリーン成長枠とは、研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う事業者を支援する特別枠です。

 補助上限は中小企業で1億円、中堅企業で1.5億円。補助率は中小企業が1/2、中堅企業が1/3です。

 14分野は次の通りです。

  • 洋上風力・太陽光・地熱
  • 水素・燃料アンモニア
  • 次世代熱エネルギー
  • 原子力
  • 自動車・蓄電池
  • 半導体・情報通信
  • 船舶
  • 物流・人流・土木インフラ
  • 食料・農林水産業
  • 航空機
  • カーボンリサイクル・マテリアル
  • 住宅・建築物・次世代電力マネジメント
  • 資源循環関連
  • ライフスタイル関連

 事業再構築補助金の対象経費となるのは、次の通りです。一部の経費には上限があります。

  • 建物費(移転に伴う一時的な貸工場等の賃借料も建物費の一部に)
  • 機械装置
  • システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 広告宣伝・販売促進費
  • 研修費

 中小企業庁によると、これまでの事業再構築補助金では、顧客規模の想定の積算根拠が甘い申請が多かったといいます。「なぜそれだけのお客さんが取れるか?」という点についてきちんと根拠をもって説明する必要があります。