目次

  1. IT導入補助金とは
  2. インボイス制度とは
  3. 2021年度(令和3年度)補正予算事業のポイント
    1. デジタル化基盤導入類型
    2. 複数社連携IT導入類型
  4. 注意点

 中小企業や小規模事業者、個人事業主などが、働き方改革や賃上げ、インボイス導入などに対応できるよう生産性向上に役立つITツールを導入するときに受けられる補助金です。

 インボイス(適格請求書)とは、売り手が買い手に対して、適用税率や消費税額などを正確に伝える書類のことです。2023年10月からインボイス制度が始まると、買い手が消費税の仕入税額控除を行うとき、売り手が交付した適格請求書の保存をしなければいけません。

 企業間取引のデジタル化を推進するため、2021年度の補正予算には、IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)が盛り込まれました。

 おもなポイントは次の通りです。

  1. クラウド利用料を2年分まとめて補助
  2. 会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトに補助対象を特化し補助率引き上げ
  3. PC・タブレット、レジ・券売機等の購入を補助対象に追加

 IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)には2つの類型があります。これまでのIT導入補助金よりも細かい規定があります。

類型 デジタル化基盤導入 複数社連携IT導入
補助額 ITツール PC等 レジ等 a. デジタル化基盤導入類
型の対象経費
⇒左記と同様
b. それ以外の経費⇒補助上限額は50万円×参加事業者数、補助率は2/3(1事業あたりの補助上限額は3000万円((a)+(b))
及び事務費・専門家費)
50万円以下 50万円超~350万円 10万円以下 20万円以下
補助率 4分の3 3分の2 2分の1
対象経費 ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料2年分)、ハードウェア購入費、導入関連費【複数社連携IT導入類型のみ】事務費・専門家費

 デジタル化基盤導入類型とは、中小・小規模事業者に会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの導入費用に加え、PC・タブレット、レジ・券売機などの導入費用を支援するものです。

 対象経費は、ITツールの場合、パッケージ購入費、初期費用(クラウド型の場合等)、システム構築費、導入作業費、役務費(導入支援)などの導入費用に加え、利用するのに必要な月額、年額サービス利用料、システム保守費用も対象です。

 このほか、ハードウェアの機器(本体・付属機器)購入費用、設置費用も対象になります。

 ITツールは50万円以下なら補助率4分の3、補助額50万円超~350万円の場合は、補助率3分の2となります。ただし、導入する機能数に応じて、補助上限額が変わる可能性があります。

 PC・タブレットは補助額10万円までは補助率2分の1、レジ・券売機などは補助額20万円まで補助率2分の1となります。

 複数社連携IT導入類型とは、複数の中小・小規模事業者が連携してITツール及びハードウェアを導入する取組を支援するものです。効果的に連携するためのコーディネート費や取組への助言を行う外部専門家への謝金も対象になります。

 取り組みのイメージとして、人流・気象・交通量などが計測できるセンサーを導入し、各店舗で需要を予測するシステムを取り入れるなど、デジタルマーケティングにより地域の来街者増や回遊性向上などをつながることが例示されています。

 商工団体のほか、まちづくり会社、観光地域づくり法人、複数の中小企業でつくるコンソーシアムが対象になります。

 補助対象はおもに3種類です。

 まずは、基盤導入経費と呼ばれるものです。会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトなどのITツール、そしてPC・タブレット、レジ・券売機などのハードウェアが対象になります。

 つぎに、消費動向等分析経費と呼ばれるものです。消費動向分析システム、経営分析システム、需要予測システム、電子地域通貨システム、キャッシュレスシステム、生体認証決済システムなどのITツール、そして、AIカメラ、ビーコン、デジタルサイネージなどのハードウェアが対象になります。

 さいごに、参画事業者のとりまとめに必要な事務費・専門家費なども対象です。

 補助率は、基盤導入経費が2分の1から4分の3、消費動向等分析経費と事務費・専門家費が3分の2です。補助上限額は、基盤導入経費と消費動向等分析経費合わせて3000万円、事務費・専門家は、基盤導入経費と消費動向等分析経費合わせた額の10%です。

 IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)は、2022年1月時点では制度設計中のため、変更の可能性があります。利用を考えている場合は、中小企業庁の公式サイトで随時チェックしてください。