目次

  1. クリスマスも正月もなく
  2. 「親父通信」で後継ぎを意識
  3. 意欲を高めた「かまぼ考」
  4. 商社でサバを買い付け
  5. 自信が付いた矢先の壁
  6. 「大変な時期に戻っていないと」
  7. 右肩下がりの数字に焦り
  8. 「かまぼこ離れ」の対策も急務に
  9. 長友選手に感じた可能性

 かまぼこは正月の「おせち料理」に欠かせない、日本の伝統食の一つです。鈴廣蒲鉾本店(以下、鈴廣)は年末年始が繁忙期にあたります。

 鈴廣の事業内容はかまぼこの製造販売で、日常づかいをはじめ、お正月や箱根土産など、顧客がシーンに合わせて選べるように、豊富な種類を取りそろえています。駅やスーパー、箱根界隈の土産物店などが卸し先で、売り上げは約100億円、従業員数は約700人になります。

鈴廣一番人気の板かまぼこ「謹上蒲鉾 紅・白 2本箱入」(鈴廣蒲鉾本店提供)

 11代目の鈴木さんは子どものころから、年末年始に家族が忙しくしている様子を見て、家業がかまぼこ屋であることを感じていたそうです。

 毎年1月2、3日は、鈴廣蒲鉾本店やかまぼこ博物館などがある「鈴廣かまぼこの里」が、箱根駅伝の小田原中継所になります。

 「年末はおせちの販売で忙しく、梱包作業も小さいときから手伝っていました。もちろんクリスマスはありません。駅伝があるため年明け早々も忙しい家庭でした」

 後を継ぐことを意識したきっかけは、鈴廣の社長で父の博晶さんから、家族あてにときどき届く「仕事にまつわる近況報告」のファクスでした。「父は新商品のことや、会社で起きていることなどを、文章や絵に書いてファクスで送ってくれていました」

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