目次

  1. 水門設備企業がキャンプギアの新規事業
  2. 事業立ち上げ 結果を出そうとガムシャラに
  3. 満を持して挑んだ展示会 直前にまさかの虫垂炎
  4. それでも展示会は大成功した理由とは
  5. 「良い報告したい」周囲が奮闘
  6. 緊急入院で生まれた仕事を任せる覚悟
  7. 新規事業の目的を多面的に捉える
  8. 楽しさを主軸にした企業経営

 乗富鉄工所は水門などの水利用施設機械を主力事業としていますが、水門事業は大手企業参入による競争の激化や製品寿命の長寿化による発注量の低下など、将来に向けて大きな課題を抱えていました。また、社内では職人の大量離職という問題に直面していました。

 そんな中、乗冨さんはITツールのkintoneを活用して業務の見える化・共有化を図る事で職人の離職を防止し、新規事業の『ノリノリプロジェクト』を立ち上げます。

 ノリノリプロジェクトとは、鉄工職人のクリエイティビティを活かし、外部のデザイナーや大学・行政と連携してプロダクトを製作し世に届ける事業です。現在はキャンプギアを製作・ECサイトで販売し、SNSを中心に情報発信。コンセプトのユニークさや製品の魅力が注目を集め、多くのメディアから取り上げられています。

ノリノリプロジェクト発の製品 ヨコナガメッシュタキビダイ(写真奥)とスライドゴトク(写真手前)

 ノリノリプロジェクトの立ち上げ当初は、叔父である専務の後押しもあり早い段階で社内の承認を得る事ができました。ですが、現場からの反発は根深くあったそうです。

 「水門屋としてのプライドがあったんだと思います。1億2億の水門を受注している会社が1万円の仕事をして何になる、といった声が漏れ聞こえていました。特に営業部にとっては畑違いの領域ですし、営業事務の方に新しい作業をお願いする形になっていたので、営業部との関係は決して良くなかったです」

 社内の反応に悔しい思いを抱きながら、結果を出して社内を納得させるため、乗冨さんはガムシャラに事業を推し進めていきました。

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