目次

  1. 墜落制止用器具とは 安全帯との違い
  2. 墜落制止用器具の新規格、いつから?
  3. 法改正の理由
  4. 3つの改正ポイント
  5. 墜落制止用器具の選び方
  6. 墜落制止用器具の選び方

 墜落制止用器具とは、2019年2月に改正された労働安全衛生法施行令などにより、高所作業時に必要だった安全帯が改称されたものです。

 墜落制止用器具として認められるのは、「胴ベルト型(一本つり)」と「ハーネス型(一本つり)」のみです。安全帯で認められていた「胴ベルト型(U字つり)」が使用できなくなりました。

 墜落制止用器具の新規格は2019年2月1日に施行されました。施行日以降は原則、新規格に適合する必要がありましたが、猶予期間(経過措置)が設けられ、旧規格でも2022年1月1日までは使用できました。

 しかし、1月2日に完全施行日を迎えたため、これ以降は以前の規格の安全帯は使えなくなりました。

 厚労省によると、胴ベルト型の安全帯はこれまで、墜落時に内臓の損傷や胸部などの圧迫による危険性が指摘されており、国内でも胴ベルト型が関係する災害が確認されているといいます。

 また、国際規格も、着用者の身体を肩、腰部、腿などの複数箇所で保持するフルハーネス型安全帯が採用されているといいます。

 そこで、墜落による労働災害を防ぐため、関係法令を改正することにしました。

 今回の関係法令の改正のポイントはおもに3つあります。

安全帯を墜落制止用器具に名称変更

 「安全帯」という名前を「墜落制止用器具」に改めました。ただし、建設現場で「安全帯」という名前を使うことは差し支えないと厚労省は説明しています。

 以前の安全帯に含まれていたU字つり用胴ベルトは、墜落制止用器具としては認められなくなりました。

墜落制止用器具は「フルハーネス型」が原則

 墜落制止用器具はフルハーネス型が原則となりました。ただし、フルハーネス型の着用者が墜落時に地面に到達するおそれのあるという高さが6.75m以下の現場では「胴ベルト型(一本つり)」を使うこともできます。

 6.75mを超える作業現場と、6.75m以下の現場が混在するときは、常時フルハーネス型を使うことができます。

安全衛生特別教育が必要

 高さが2m以上かつ、作業床を設けることが困難な場所で、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを使う作業をする労働者は、特別教育(学科4.5時間、実技1.5時間)を受けなければいけません。

 ただし、フルハーネス型墜落制止用器具の十分な知識及び経験を有すると認められる者は、学科・実技の一部の科目を省略できます。詳しくは、厚労省の公式サイトで確認してください。

 安全な墜落制止用器具の選び方や使い方について、厚労省はガイドラインを公表しています。

 おもなポイントは次の通りです。

  • 高さ6.75mを超える現場では、フルハーネス型を選ぶ
  • 墜落制止用器具は85kgまたは100kg用などがあり着用者と装備品の重量に耐える器具を選ぶ
  • ショックアブソーバは、フック位置によって第一種か第二種か適切な種別を選ぶ

 ガイドラインでは、適切な使い方についても説明しています。主なポイントは次の通りです。

  • 取扱説明書を確認し、安全上必要な部品が揃っているか確認し、緩みなく確実に装着する
    墜落制止用器具の取付設備は、ランヤードが外れたり、抜けたりするおそれのないもので、墜落制止時の衝撃力に耐えるものである
  • 墜落後にフック等に曲げの力が掛かることによる脱落・破損を防ぐためフックなどの主軸と墜落時に掛かる力の方向が一致するよう取り付ける
  • 垂直親綱に墜落制止用器具のフック等を取り付ける場合は、親綱に取り付けたグリップなどの取付設備にフックなどをかけて使用する。取付設備の位置は、ランヤードとフルハーネス等を結合する環の位置より下にならないようにする
  • 水平親綱は、ランヤードとフルハーネスなどを結合する環より高い位置に張り、それに墜落制止用器具のフックなどを掛けて使用する