目次

  1. ロシアへの追加制裁(2月公表)
  2. SWIFT(スイフト)制裁にも参加
  3. 石炭・機械類の禁輸などを追加(4月発表)
  4. 国内の燃料高騰・輸出入事業への対策にも言及
  5. 中小企業向け相談窓口・セーフティネット貸付の運用緩和

 岸田首相が侵攻前の2月23日に公表していたロシアへの制裁措置は次の3項目です。

  1. いわゆる2つの共和国(ドネツク人民共和国・ルガンスク人民共和国)の関係者の査証発給停止及び資産凍結
  2. いわゆる2つの共和国との輸出入の禁止措置の導入
  3. ロシア政府による新たなソブリン債の我が国における発行・流通の禁止

 首相官邸の公式サイトによると、岸田首相は25日の記者会見で、ロシアによる侵攻に対して「主権と領土の一体性を侵害する明確な国際法違反。国際秩序の根幹をゆるがす行為として断じて許容できず厳しく非難します」と話したうえで、さらに3項目の追加制裁を公表しました。

  1. ロシア個人・団体に対する資産凍結・査証発給停止
  2. ロシアの金融機関を対象とする資産凍結
  3. ロシアの軍事関連団体に対する輸出、国際的合意に基づく規制リスト品目半導体や汎用(はんよう)品のロシア向け輸出禁止

 首相官邸の公式サイトによると、27日には、世界の金融機関の送金業務を担う国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの大手銀行を排除するという欧米の枠組みに、日本も参加することを岸田首相が表明しました。

SWIFT(国際銀行間通信協会)のしくみ(朝日新聞デジタルから引用)

 28日には、岸田首相はロシア中央銀行との取引を制限する制裁措置をとることを表明。さらに、ベラルーシに対する制裁についても「今回の侵略に対するベラルーシの明白な関与に鑑み、ルカシェンコ大統領をはじめとする個人、団体への制裁措置や輸出管理措置等を講じていきます」と話しました。

 岸田首相は4月8日、さらに5項目の経済制裁を追加すると発表しました。具体的には次の通りです。

  1. ロシアからの石炭の輸入を禁止
  2. 機械、木材、ウォッカなどのロシアからの輸入を禁止
  3. ロシアへの新規投資を禁止
  4. 金融制裁の強化。ロシア最大手の政府系銀行ズベルバンクと最大の民間銀行アルファバンクの資産を凍結
  5. 資産凍結の対象を400人近くのロシア軍関係者や議員、国有企業を含む約20の軍事関連団体に拡大

 岸田首相は、2月25日の記者会見で原油高にも言及しています。

 「当面は燃油価格の激変緩和事業を大幅に拡充・強化し、小売価格の急騰を抑制します。この対策を中心とし、業種別対策や地方の取り組み支援、中小企業対策なども含む緊急対策を関係閣僚会合において早急に取りまとめます」

 輸出入事業に対しても「貿易保険の迅速な保険金支払いなど輸出入の事業活動に影響をうける日本企業の支援も講じて参ります」と話しました。

 首相会見を受けて、経産省は相談窓口を設置するとともに、厳しい状況に直面する事業者に対する資金繰り支援すると発表しました。

 相談窓口では、日本政策金融公庫などにある「原油価格上昇に関する特別相談窓口」を「ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」として拡充します。相談窓口の一覧は、経産省の公式サイトから探せます。

 さらに、日本政策金融公庫などが実施するセーフティネット貸付の要件を緩和し、支援対象をウクライナ情勢や原油高など今後の影響が懸念される事業者にまで拡大します。