ロシアとの貿易どうなる?工作機械など輸出品の審査手続きが厳格化
経済産業省は2022年3月5日から、ロシアに対し軍事転用できる可能性のある輸出品の審査をより厳しくすると発表しました。改正の通達は2月26日。日本から輸出されている工作機械が対象になる可能性があります。4月5日からはぜいたく品の輸出禁止も始まります。今後の日本とロシアの貿易がどうなるのかをわかりやすく整理しました。(3月29日更新)
経済産業省は2022年3月5日から、ロシアに対し軍事転用できる可能性のある輸出品の審査をより厳しくすると発表しました。改正の通達は2月26日。日本から輸出されている工作機械が対象になる可能性があります。4月5日からはぜいたく品の輸出禁止も始まります。今後の日本とロシアの貿易がどうなるのかをわかりやすく整理しました。(3月29日更新)
経産省は2月26日「国際輸出管理レジームの対象品目のロシア連邦向け輸出及び役務の提供について、審査手続を一層厳格化するとともに、輸出の禁止等に関する措置を導入します」と発表しました。今回の発表によると、国際輸出管理レジームの対象となる品目で、ロシア向けの輸出品は、まず審査を厳しくすることから始めるといいます。
国際輸出管理レジームとは、武器や軍事転用可能な貨物・技術が、日本や国際社会の安全性を脅かす国家やテロリストなどに渡ることを防ぐための国際的な枠組みのことを指します。
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今回の輸出審査の厳格化を詳しく説明すると、経産省が「輸出貿易管理令の運用について」の通達を改正し、ロシアを特別一般包括許可、特定包括許可、特定子会社包括許可の対象外にするということです。
軍事転用される可能性のある品目は元々、個別の申請で案件ごとに対応する必要があります。ただし、技術の機微度が比較的低く、一部の国以外をのぞけば、一度の申請で一括して許可する制度があります。
今回、ロシアがこの対象から外れることになります。つまり、審査が厳しくなり、長期化する可能性があります。これまで機微度が低く、包括許可で済ませられていた工作機械や通信機、半導体などに影響が出る可能性があります。
3月3日、ベラルーシについても同じように輸出審査の厳格化が公布され、3月10日から施行されます。
経済産業省は4月5日からぜいたく品も輸出禁止とします。輸出貿易管理令にもとづく輸出禁止品は次の通りです。
このほか、財務省告示にもとづき、紙幣、金貨、金の地金も輸出禁止の対象となります。
財務省の政府の貿易統計によると、2020年の日本からロシアへの輸出額は約6280億円で前年比19.8%減でした。主要な輸出品には、工作機械や通信機などが含まれます。
自動車(41.9%)
自動車部品(11.0%)
ゴム製品(5.4%)
建設用・鉱山用機械(4.8%)
原動機(4.5%)
ポンプ・遠心分離機(2.3%)
荷役機械(2.2%)
金属製品(1.3%)
通信機(1.1%)
一方、2020年のロシアからの輸入額は約1兆1450億円で26.6%減。輸入額の方が輸出額よりも倍近いことがわかります。主要な輸入品は次の通りです。
液化天然ガス(21.9%)
非鉄金属(21.2%)
石炭(17.0%)
原粗油(16.8%)
魚介類(9.0%)
石油製品(3.8%)
木材(3.4%)
その他(6.9%)
エネルギー資源について、経産省は「国家備蓄、民間備蓄を合わせ、約240日分の石油備蓄を保有しており、LNG(液化天然ガス)についても、電力企業、ガス企業が2~3週間の在庫を保有するなど、充分な備蓄を有している」と説明しています。
ただし、ロシアからの輸出が減ると、今後の国際的な価格は高騰する可能性があります。
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