PR TIMES=プレスリリースか?目的に応じたPRを【コラム】
プレスリリースを出さないの?と質問をすると「PR TIMESへの出し方がわからなくて……」と答えが返ってきました。さて、自社の取り組みをPRしたいとき、PR TIMESが最適なのでしょうか?自社の取り組みをメディアに掲載したいときのプレスリリースの活用方法について、ツギノジダイコラムで考えてみます。
プレスリリースを出さないの?と質問をすると「PR TIMESへの出し方がわからなくて……」と答えが返ってきました。さて、自社の取り組みをPRしたいとき、PR TIMESが最適なのでしょうか?自社の取り組みをメディアに掲載したいときのプレスリリースの活用方法について、ツギノジダイコラムで考えてみます。
7月25日、記事「『この子たちに活躍の場を』ツイッターで呼びかけた土田化学4代目」で紹介した土田化学4代目の土田翔大さんと打ち合わせしていたときのことです(下記の写真は7月掲載の取材記事から)。
廃棄するはずだったプラスチック容器を子ども用の遊び道具などに再活用している土田さんの取り組みは、ツギノジダイだけでなく、もっとほかのメディアで紹介されてもおかしくないと思いました。そして、今後も、地元で使ってもらえる教育施設を探しているとのことでした。
筆者が「プレスリリースは出さないの?」と質問すると、土田さんからは「PR TIMESへの出し方がわからなくて……」と答えが返ってきました。
「プレスリリース=PR TIMES」という第一想起になっているんだなという感想を抱くと同時に、このケースはPR TIMESでよいのだろうかと思いました。
たしかに、土田さんの活動は全国に広く知られてもいいかもしれませんが、プレスリリースを出す目的が地元で活用先を探すこと、自社の取り組みを地域のみなさんに知ってもらうことであれば、PR TIMESでなくてもいいはずです。
そこで、一緒に考えてみました。
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まず土田化学のある兵庫県丹波市には、地元の新聞があるそうです。そこで地元の記者クラブがないか探してみることから始めることにしました。市役所に電話をかけて広報担当の部署につないでもらい、地元記者クラブがないか聞いてみることを提案しました。記者クラブがない場合でも近隣市に同じような機能があるかもしれません。
都道府県庁には都道府県政記者クラブがあり、兵庫県庁にある記者クラブにも情報提供できるのですが、より地域に密着した記者の方がニュースとして取り上げる可能性は高いだろうと考えました。
また、記者クラブにプレスリリースを投げ込むだけなら、費用はリリースの印刷代、交通費程度しかかからないというメリットもあります。
次に、本当にプレスリリース経由で中小企業に取材が来るのかを調べてみました。実はツギノジダイでは、プレスリリースが起点となって取材・掲載に至ることはほとんどありません。
記事「企業のSNSは何のためにバズらせるのか?【ツギノジダイコラム】」で登場した企業にあらためて、どんなきっかけでメディアが取材に来ているのかを聞いてみました。
創業72年で初めてプレスリリースを出した産業用包装資材メーカー「シコー」は、阪急うめだ本店で7月27日から8月2日に開催される「HANKYUこどもカレッジ」に出展し、ワークショップなどを開催します。
開催前となる7月13日にPR TIMESでプレスリリースを出し、ほかのPRサービスにも登録。さらにローカルメディアにも直接連絡するなどして、合計4件の取材が決まりました。このうち、3件の取材依頼はすでに面識のあるメディアだったそうです。
PR TIMESによると、月3万1000件のプレスリリースが掲載されるため、実は中小企業が掲載しただけでは取材に至る可能性は高くありません。それでもシコーの白石忠臣社長は次のような点がよかったといいます。
このように、プレスリリースを出したときに取材件数だけを追い求めず、いろんな場面で活用するのがよさそうです。
製本業「藤沢製本」(滋賀県大津市)は、色とりどりの紙の写真とともに、製本の過程で生まれる紙の端切れ(紙出:しで)を「紙様」と呼び、市内の幼稚園・保育園に寄贈する活動がNHKの地元放送局や、読売新聞の地域版などで紹介されました。
共同代表の藤沢佳織さんは、滋賀県政記者クラブのほか、地元メディアに直接プレスリリースを送ったそうです。こちらは、活動内容と地域性が合っていた例です。
一方、側島製罐(愛知県大治町)の新しい自社商品「Sotto」はPR TIMESにプレスリリースを出して20件ほどの取材が決まったそうです。側島製罐の場合は、これまでに何度もメディアで取り上げられており、取材されやすい下地ができていたことが大きいように思います。
そのうえで、6代目石川貴也さんは「取材された記事が掲載されたことをきっかけにさらに取材依頼が来ることもあるなど、いろんな取材のきっかけがあります」と話しています。
PR TIMESのランキングを見ていると、PR TIMESと相性のよいプレスリリースの傾向が見えてきます。
こうしたニュースは、SNSやネットメディアでも目にすることが多い話題です。このほか、ランキング以外にも、SNSで話題になっている、またはなりやすい商品・サービスの場合、PR TIMESを通じてネットメディアで取り上げられているのを目にすることがあります。
一方で、BtoBの製品・サービスであれば、業界紙の方がよいこともあるでしょうし、もし採用に力を入れているのであれば、採用媒体を通じて情報発信を続ける方が効果的かもしれません。
また、情報を届けたい人が地域の人であれば、まず地域の人たちがどんなメディアに接触しているのか、情報収集することをおすすめまします。個人的には、地元のテレビやラジオ局の情報コーナーはよく見たり、聞いたりされている印象があります。
こんな風にまず情報を届けたい人は誰か、情報を届けたい人が普段接触しているメディアは何かを考えながらプレスリリースを作って、届け先も考えてみてください。
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